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食に付随する発見と発想

仰々しい題名であるが『ポテトチップス』の話である。
ゼネコンの営業時代に、京都北部の工業団地に進出するというポテトチップスの会社に出入りしたことがある。
ゼネコン時代、いろんな業界と付き合いをさせてもらい新しい発見がいろいろあった。

中国地方が本社のその会社はその本社工場から全国に製品を配送をする際には、高速道路を配送ルートに選ばないと言っていた。
事故が起きてしまったら全く配送時間が読めなくなる、との説明だった。
現在よりも交通事故が多かったとは思うが、危険を見越してそんな計算をする事に『目から鱗』だった。

そして、「我々が運んでいるのはほとんど空気です。」と言っていた事もよく記憶に残っている。
ポテトチップスの美しい形と品質を保つためにその袋には窒素を充填させて袋内の体積は気体の方が多い、箱詰めをすればほぼ気体の箱が出来上がる。
軽いポテトチップスの運送は燃費も良ければ積み降ろしををする運転手さんも楽であろう。
運送会社にはいい仕事なんだろうなぁなんて考えながら聞いていた。

そして、これも京都の北の現場でまだ事務をしていた頃のことである。
夕方、出入りの設備業者さんが近くにあった、また別の会社のポテトチップス工場の改修工事の帰りに寄ってくれた。
ゴミ袋一杯のポテトチップスをサンタクロースのように背負ってだ。
今では衛生管理面からそんなことは出来ないであろう。
製造過程で割れて出荷できない廃棄品をもらってきてくれたのだった。
ポテトチップスを持って重さを感じたのは最初で最後の事だった。
仕事後のビールのアテになったのは言うまでもない。
ずいぶん長く楽しめたように思う。

欠けた、割れたくらいで廃棄処分するならば安く市場に流して欲しい。
見栄えよりギッシリ詰めた重いたい袋のポテトチップスがあってもいいじゃないか。
と、業界のことや品質保持のことなど理解する術を持たない一消費者としての思いを持ったものである。

現在の『SDGs』なんて掛け声に乗るのであれば食品ロスもプラ廃棄物も多少減ったりするのではなかろうか。
ついでに割り箸もつけて欲しい。
ジャガイモの澱粉で箸を作る事も出来るんじゃないかと思う。
そんなSDGsへ貢献するポテトチップスの登場を私は期待する。

三十数年前、まだまだ環境保全に無頓着な幸せな日本だった頃の話である。
缶ビールもセットであれば、なお嬉しいところだがこれは勝手に調達しよう。

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