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じゃことピーマンの夕べ

子どもの頃からわりとピーマンが好きだった。
これから旬を迎えるピーマン、肉は厚くなり甘みが増してくる。
じゃことピーマン、どこのスーパーに行っても出会うことの出来る主婦の味方であろう。
どちらも生で食べることの出来るもの、だから火は通しすぎないのが私の好みである。
鷹の爪をごま油に放り込み色が変わったら刻んだピーマンを投入する。
そしてさっと火が通ったら、次はじゃこ、調味の醤油と私は砂糖をちょいと入れる。味を付けるために炒め合わせる感じである。
よく火を通したものも美味いと思うが、ピーマンはシャキシャキ感が残るくらい、これが私の好みである。
出来上がったものは半分は冷蔵庫に置いておき二、三日は食べる。
日を追って味が染みてくる。
ご飯の友なのだが、私のこの時季の酒の友でもある。
暑い一日が終わりかけ、炊事場に立ち晩飯の支度をする。
ついでに酒を湯煎する。
燗は湯煎に限る。
電子レンジはいただけない。
コップになみなみ注いだ日本酒をこぼさず口に運ぶ。
「酒の一滴は血の一滴」と大学合気道部の先輩に教えられた。
酒の香りが鼻から抜ける。
そしてじゃこピーマンを口に運ぶ。
ああ、一日が終わったなと思う。
そんな時間が好きである。
そんな時間を過ごすことの出来なかった日々を思い出し、歳を取るのも悪くはないなぁ、と思うのである。

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