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梅雨とトラック

仕事でトラック販売業の方々と話をする機会がある。
雨が降ろうが風が吹こうが物流を止めるわけにはいかない。
災害復旧で活躍するのはトラックであり、今回の流行り病でも生活必需品の輸送は止まることはなかった。

いや、止めることは出来なかったのである。
そこは3Kの世界である。
危険、汚い、きつい、の3Kの世界に流行り病の感染の危険も加わり4Kの中を荷を滞らさせること無く働き続けてくれた。
なんだか新しいテレビの画像の世界のようである。

そして、このトラック運送業のほとんどが中小、零細企業、個人業者である。
我々が名前を知る大手運送会社は全体事業者数のほんの数パーセントなのである。
それに加え、各社得意先を持ち、そこだけで食べてきた会社も多い。
だから、今回の流行り病は各社の明暗を分けてしまった。

柔軟に忙しい得意先に飛びつけばいいように思うが、そこにまた難しさがある。
各車両は運ぶ物によって特化している事が多いからだ。
ようは、なんでも運べるわけではない。
このトラック業界は交通事故や労働災害の安全問題、CO2削減など環境問題など世の中に与える影響は大きい。
だから、国や地方自治体の助成金や補助金は多い。しかしそれだけで経営は安定するわけでは無い。
脱炭素社会に向けても、簡単に数千万円のトラックを買い替えるわけにはいかない。

この世界でも発注者の意識改革がまだまだ必要なようである。
見合う経費は認めて、ドライバーの所得を増やしてやらねばならない。
生活の安定は質の高い仕事を生んでくれる。

以前の建設業界に似ている。
建設業界はずいぶん改善されてきたと聞く。
岡林信康の『山谷ブルース』にある『だけど俺たちゃいなくなりゃビルも道路も出来ゃしない』と同じである。
働いてくれるドライバーがいなければ、どんなに素晴らしい物を作ろうとユーザーのもとにそれを届けることは出来ないのだ。

学生時代に普段は普通の運送業を営む会社がシーズンだけ引越し屋もやっていた。
日給がよいので行ってみたが日給が多いのが理解出来た。
それまでやったどの肉体労働よりもきつかった。
お客さんの家具、家財に傷付ける事はできなく、非常に気を遣った。
事故無く指定時間に届いて当たり前の日本の運送業、物流には頭が下がるばかりである。

今年の梅雨もまた、しばらくは雨と暑さと流行り病と戦いながら日本国中を走るドライバーがいる。
そしてそれに関わるたくさんの人がいる。
今日も当たり前のように我が家にも届いた宅配便に感謝をする。

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