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【本解説】行動経済学が最強の学問である

今回は相良浪花さん が書かれた行動経済学が最強の学問である という本を解説します。

今世界のトップ企業で行動経済学を学んだ人材の争奪戦が繰り広げられているのをご存知ですか?たった一人の人材獲得のために何千万円もの資金が動いているそうです。

行動経済学にはたくさんの理論が関係しており、例えばナッジ理論・システム1システム2・プロスペクト理論・サンクコスト効果・確証バイアス・選択アーキテクチャーなどの非常に多くの理論があります。著者の相良奈美香さんは日本人として数少ない行動経済学博士課程取得者であり、行動経済学コンサルティング会社の代表です。

はじめに、そもそも行動経済学とは何なのかを解説していきます。
行動経済学とは経済学と心理学の融合により生まれた学問で、人間の非合理な意思決定のメカニズムを解明する学問です。行動経済学によりなぜ人はそう行動してしまうのかを理解することができ、だからこそその対策も講じることができます。

冒頭でお伝えした通り、行動経済学にはたくさんの理論が関係しており、非常に多くの理論があります。しかし行動経済学は新しい学問であるためこれまで体系化されてきませんでした。そのため理論を一つ一つ丸暗記するしかなく、なかなか本質が掴みづらかったのですが本書では行動経済学の主要理論を始めて体系化したことで掴みやすくなりました。

ビジネスや実生活において非常に役立つ行動経済学について体系的に学べるのでとてもおすすめの本です。この解説では以下の3つに分けて深掘りしていきます。

  1. なぜ行動経済学が最強なのか

  2. 行動経済学の本質

  3. 3つの要因 認知の癖・状況・感情


なぜ行動経済学が最強なのか

なぜ行動経済学が最強なのかについて
世界のビジネスエリートは行動経済学を学びます。それは人間の行動を理解することこそがビジネスの肝になると知っているからです。BtoB企業であれBtoC企業であれ企業の顧客は紛れもなく人間であり上司や同僚、取引先も皆人間です。経済とは人間の行動の連続で成り立ちます。そういうわけで行動経済学は非常に有用です。

行動経済学が有用であるのは『なぜ人はそう行動するのか』がわかるという点です。ただ単にある人が『AをしてBをしなかった』という過去の行動履歴だけでは対策を出すのは難しいです。しかし『なぜBはしないを選択したのか』が分かれば、『どうすればBをしてもらえるか』が導き出せます。このようになぜ人はそう行動するのかというのも直感や主観ではなく実験で証明された人のセオリーとして理論化したのが行動経済学です。

結局のところビジネスの中心は人間の行動を考えることです。何千万、何億もの人々を一気に動かした事例が世界各国であるというのが『行動経済学が最強の学問』と言われる所以です。

実は、Google・Amazon・Netflix・PwCコンサル・JPモルガンなど世界のトップ企業がこぞって行動経済学を取り入れ始めており、多くの企業が行動経済学チームを設け始めています。世界の企業が行動経済学に注目しています。

行動経済学の本質


行動経済学の本質について
行動経済学の本質は『非合理な意思決定のメカニズム』です。そして非合理な意思決定をしてしまう3つの主な要因は『認知の癖・状況。感情』の3つです。たくさんの理論が結局主な原因は3つであり『認知の癖か状況か感情』この3つのうちのどれかに帰結するというふうに著者は体系化しています。

これこそが行動経済学の本質です。本書ではこのことが分かりやすい図で示されていますのでみて確認した方は購入することをおすすめします。

こちらの著書にも非常にたくさんの理論がありますが結局は3つの原因・要因に帰結されるということが示されています。そもそも従来の行動経済学は人間の行動を理解する理論の集まりでした。体系化されておらず混沌と理論を羅列するだけ分野やカテゴリー別けがされておらず、それぞれの理論をただ断片的に丸暗記するしかありませんでした。

しかし本書は新しい学び方を提案しています。行動経済学の本質を明らかにし、その本質を理解するための3つのカテゴリーを設けそれぞれの理論を分類することで体系化したわけです。これにより個別バラバラの理論ではなく、本質を掴むことができるように なりました。

重要なポイントは『行動経済学の本質=非合理な意思決定のメカニズム』であり、非合理な意思決定をしてしまう3つの主な要因は『認知の癖・状況・感情』の3つであるということです。


3つの要因 認知の癖・状況・感情

3つの要因である『認知の癖・状況・感情』について
非合理な意思決定をしてしまう3つの主な要因についてそれぞれ解説していきます。
一つ目の認知の癖について。認知の癖とは脳の情報の処理の仕方のことです。認知の癖があることで私たちは情報を歪めて処理してしまい、それが非合理な意思決定に繋がっています。脳の情報の処理の仕方は一つではなく複数あります。

例えばシステム1システム2です。
これはものすごくざっくり言うと『直感と論理』です。素早く情報を把握し判断する直感がシステム1、情報分析した上で把握しゆっくり判断する論理がシステム2です。私たちにはこの両方があり場面場面で使い分けされています。システム1システム2は認知の癖の最も基本となるものです。

なぜこのシステム1システム2があることが 判断の歪みに繋がるのでしょうか。有名な研究にチョコレートケーキとフルーツサラダの実験というものがあります。この実験では、被験者を肉体グループに分け記憶力の研究ですと聞かせた上で、グループAには2桁の数字をグループBには7桁の数字を記憶してもらいました。そして実験の途中『実験中ですがお礼に軽食を用意しています』と伝えチョコレートケーキとフルーツサラダを出します。その結果2桁の数字を覚えたグループAはフルーツサラダを選ぶ人が 多く、7桁を覚えたグループBはチョコレートケーキを選ぶ人が多くいました。

一体なぜグループAの方がより健康でヘルシーなフルーツサラダという合理的な選択を取れたのでしょうか。2桁の数字を覚えたグループAの人たちは問題が簡単だったため考える余裕がありじっくり考えるシステム2を働かせられました。しかし7桁の暗記という重い負荷がかかっていて思考に余裕がないグループBの人たちはシステム1で瞬間的に判断せざるを得ませんでした。その結果、よりカロリーの高いチョコレートケーキという非合理な選択をしてしまったんです。

ただ一概にシステム2がよくシステム1が悪いというものでもありません。もし瞬間的に判断するシステム1がなければ、考える必要あることがあまりにも多すぎて私たちの脳はパンクしてしまいます。ですので場面に応じて使い分け、誤って反応しないようにすることが大事です。

人がシステム1を使いやすい場面というのは主に6場面あると言われています。

  1. 疲れている時

  2. 情報量・選択肢が多い時

  3. 時間がないとき

  4. モチベーションが低い時

  5. 情報が簡単で見慣れすぎている時

  6. 気力や意志の力がないとき

という6場面です。認知の癖は脳の中で起こることです。脳の中で起こっているというは我々の意思決定は認知の癖から逃れることはできません。なので、認知の癖は3つの要因のうち最も基盤となる要因と考えることができます。実際、認知の癖はじっくり考えないことで生じると多くの研究で証明されています。

ここからは関連する行動経済学の理論をいくつか見ていきます。

メンタル アカウンティング
直訳すると心の会計。同じお金でもどのように取得しどのように使うかによって自分の中での価値が異なってくるという理論。

自制バイアス
自分は誘惑に負けないと過大評価するバイアス。

埋没コストもしくはサンクコスト
一度何かを始めたらたとえ成果が出ていなくとも、そこに費やした時間・お金。労力を取り戻そうと継続してしまうという非合理なバイアス。

ホットハンド効果
ある事象が連続して起こると次も同じことが起こると思い込んでしまう、認知の癖

フットインザドア
頼み事をするなら最初から大きな依頼をせずに、小さなことから始めるというテクニック

確証バイアス
何か思い込んだらそれを証明するための根拠ばかり集めてしまうバイアス

真理の錯誤効果
絶対にこんなことはありえないと思っているのに繰り返し見たり聞いたりすると信じてしまう

快楽適応
人は何が起こっても繰り返しベースラインの幸福度に戻る。良いことも悪いことも時間が経てば慣れてしまう。

デュレーションヒューリスティック
サービスの内容よりもかかった時間で評価してしまう認知の癖

というわけで以上が1つ目の要因である認知の癖と認知の癖に関連する行動経済学の理論について解説でした。

続いて非合理な意思決定をしてしまう2つ目は『状況』です。
人は環境に左右されて意思決定し、状況に影響されて行動します。状況に分類される理論には次のようなものがあります。

初頭効果
はじめに得た情報が印象に残り強い影響を与える

近接効果
最後の情報が意思決定に大きな影響を与える。この初頭効果と近接効果により面接は一番最初の人と一番最後の人が最も有利だとされています

過剰正当化効果
元々内発的動機で取り組んでいるところに、金銭的報酬などの外発的動機が用意されると、モチベーションが下がってしまうという理論

情報オーバーロード
多すぎる情報は人を疲れさせ意思決定を妨げる

選択アーキテクチャー
情報や選択肢の量を絞ることで選択を誘導する設計をすること

例えばこの選択アーキテクチャーで有名なのはレストランでいくつかあるランチのうちBランチを積極的に売りたいならばAランチはあえて高い料理、Cランチはとても安いけれど一風変わった料理にしておくことで自然とBランチを選ぶように誘導するというようなことです。どのような選択肢を置いておくのかという風に状況を意図的に変えることで相手に選ばせることができます。

以上が2つ目の要因・状況に関する論理でした。

最後に人が非合理な意思決定をしてしまう3つ目『感情』についてです。
感情に分類される理論には次のようなものがあります。

拡張-形成理論
ポジティブな感情は仕事の効率も質も上げ、心身のストレスを軽減させる

心理的所有感
実際は所有していなくても自分のものだと思うと行動が変わる

認知的再評価
自分が抱いている漠然とした感情に目を向けて理解・再評価しもっと役立てる

不確実性
先が読めないことはとても大きなストレスになる。行動経済学で非常に注目され続けているのがこの不確実性です。

例えば、病院で『癌の疑いがあります』と言われた人のその後の心理状態を調べた調査では、癌の疑いがありますと告げられると皆一様にネガティブな感情が強くなり、その後の詳しい検査で癌ではありませんでしたと告げられると告げられる前よりも急激にストレス値が下がりました。

これは当然のことです。しかし実際に癌だった人はやはり癌でしたと告げられると、その時のストレス値は急上昇するものの、数日後には告げられる前よりもストレス値が下がりました。つまり人間は実際に悪い結果であることよりも、悪い結果になるかもしれないと思って不確実なままの状態の方が心理的負担が大きいということです。

このように行動経済学にはたくさんの理論があり本書ではそれを体系的にまとめて解説してあります。内容も難しくなかなか上手に解説でき なかった部分があると思いますさらに学び たいという方はぜひ本書を手に取って読んでみてくださいというわけで今回の動画で は1なぜ行動経済学が最強なのか2行動 経済学の本質3つの要因認知の癖状況感情 という順番でポイントを絞って解説してきました。まだまだ紹介できていない部分が多いです。おすすめの本ですのでぜひ読んでみてください。リンクを下記に貼っておきます。

今回の知識が何か少しでもあなたの人生の役に立てれば幸いです。
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