おねショタ108式の100『長い口づけ』
我々の世界とは少しだけ違う世界。
見慣れた21世紀の街の片隅でのはなし。
主人公の少年はある女性と二人暮しである。
彼女は母親ではない。姉でもない。
そして恋人でも、ない。
二人の関係は主従。ただし、まだぎこちない出来立ての主従である。
少年は、古くから続く、忍びの家系の嫡子である。
その「忍び」の仕事は世の闇に隠れながらも、国家の諜報機関としての今尚連綿と続いていた。
しかしその長である、少年の父母が合衆国への特別任務に出た折、突然に彼らの生活拠点「里」は襲撃を受ける。
長だけでなく一軍級の工作員の多くが出払っている中、里は壊滅。
生き残った者たちは離散し各々潜伏せざるを得なくなった。
そして現在。
追い打ちをかけるように少年の父母からの連絡も途絶え、上部組織の意向により少年が頭領に就任。
だがそれは、勢力を伸ばしたい別派閥の忍び、実行機関への影響力を増大させたい上部組織、そして権力を奪取せんとする一人の上忍による陰謀だったのだ。
再び、少年のもとに三方からの魔手が伸びる。
圧倒的なその力に屈しそうになったそのとき、少年は自らを護衛していた女性……俄仕立ての主従関係の従者である彼女に、長い接吻をしたのだった。
突然のことに驚く彼女だが、次の瞬間今まで感じたことのないような快感に襲われ、同時に、超常の身体能力を得て窮地を脱するのであった。
そしてしばらくの後、人気のない廃屋の中で一息ついたとき、少年は涙ながらに謝罪する。
彼女は少年の接吻により暫しの超常の力を得ると同時に、定期的に少年の体液を摂取しなければ自壊してしまうゾンビのような存在「死之美」になってしまったことを。
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