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むつぎ大賞2024

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#サイバーパンク

発狂頭巾二世 ep.32 レガシー・オブ・ザ・マッドネス

 発光灯が青白く照らし出す書物棚の壁の向こうに、その男はいた。 「八」  貝之介は一歩踏み出して、男の名を呼んだ。  呼びかけに、八はゆっくりと振り返った。 「遅かったでやすね」  ぴちゃり、と八の自立繊維草履が水たまりを踏んだ。水たまりを構成する紫色が自立繊維の力場から逃れるように空白を作った。紫の液体は貸本屋、馬鈴の亡骸から流れ出た人工血液だった。胸につきたてられた非振動カタナの傷口から紫色の川はなおも流れ出ている。  馬鈴の半機械の巨体は八の背後で一つの書物棚を守るよう

サイバーパンク・サーヴァント #むつぎ大賞2024

本作品は「むつぎ大賞2024」の投稿作です。 「彼を殺した凶器はこれだよ」  マスター・アイリーンがポリ袋かかげる。中には弾丸がはいっていた。硬い何かに命中したらしく、潰れていた。 それを見たサイバー魔法使いの男が鼻で笑った。 「バカバカしい。被害者は戦闘用義体の完全サイボーグだ。その弾丸は被害者の装甲に弾かれてる。大方、どこかのチンピラにでも撃たれたのだろう。死因は私が診断した通り、脳停止ウィルスによるものだ。おそらくどこぞのダークネットにアクセスして感染したのだろう

個人企画【むつぎ大賞2024】開催のお知らせ【募集終了】

【むつぎ大賞2024】を開催します。ご無沙汰しております。むつぎはじめです。 今年のお題は【〇〇パンク・ワンシーンカットアップ大賞】です。 以下の規定で小説を募集します。奮ってご参加下さい。 応募規定テーマ・内容 ・歴史の手違いにより、現実とは異なる技術・動力が主流となり、初めて、または何度目かの産業革命が起こった世界を舞台とすること。 ・大区分としてはSF、現代、ファンタジー、いずれも問いません。 ・以上を満たしたうえで、物語のワンシーンを描写すること。 禁止事項