百聞はもちろん一見にしかず
ナンパと聞くとどういったイメージをお持ちになるだろうか。
世間一般の解釈や潜在意識をだいたい私の計算式で換算するとちょうど100対0で悪いイメージになる。
それはごもっともである。
ただ私が今からお伝えする文章を見た上でもそう言えるだろうか。とりあえず見ていただきたい。
私は過去に一度、逆ナンをされたことがある。
現在、男女平等や男尊女卑はありえないという風習の中、なにが「逆」なのかとは思うが、ここでは一旦関係がないので熱を冷まし話を先に進めよう。
私は道端を歩いているだけで声をかけられるような美貌の持ち主でもなければスタイルも全く良くない短足の持ち主である。
なので女性に声をかけられた瞬間は居酒屋の勧誘か後頭部にデカめのセミでも付いているのかと思っていた。
しかしうわの空な返事をし振り返ると「もしよければお茶でもしませんか?」と清純そうな美人が確実に私に向かって声を出している。
そこから私はどんな返事をしたか定かではない。気が付いたらどこにでもあるコーヒーショップの中に釣り合わない美人と向かい合って座っていたのだ。
そこで意識を取り戻した後どこからか恐いおじさんが出てきて何故かブン殴られるところまでは想像したがそれ以降は頭に???が並ぶばかりで思考は再び停止した。
ただやはり私は男である。いや、漢である。
そんな不安を1ミリも感じさせないようあたかも当然の如くコーヒーを啜っていた。
ほどなくして、彼女が声を掛けた理由を述べ出した。
彼女の話は美貌の割には回りくどかったので私が端的にまとめてお伝えしよう。
私は声を掛けられる前、電車に乗っていた。
そして下車した際に前方を歩いていたお婆さんが何かの包み紙を落とした。私はそれを拾い上げゴミだと確認するとそのまま改札手前にあるゴミ箱へと投げ捨てた。
それを彼女は素敵だと感じたようなのだ。
嘘をつけ!!
どこぞのジジイが他人のゴミを拾っただけで逆ナンされるのか。そんなおいしい話はないはずだ。そんなメルヘンな世界が本当なら犯罪など起きるはずがない。街のオヤジ全員がゴミを拾い始める素晴らしい世界のはずだ。
そう強く思いながらも平然を装いコーヒーをかなり早いペースで啜り相槌を打つ。
お互いがある程度の素性を明かしつつ会話を進めていくのだが、結婚はしているのか?彼女はいるのか?と遠回しに聞いてくる。
あのゴミは神様の落し物だったんですか!?
「ゴミを拾った結果が美女と結婚に」という本の出版まで脳内にはっきりとイメージできるようになってきた矢先であった。
保険は入ってますか?
ここからは皆さんの想像に委ねたい。
これ以上書いてしまうと私がいかに舞い上がっていたおじさんかがバレてしまう。
ナンパと聞くとどういったイメージをお持ちになるだろうか。
世間一般の解釈や潜在意識をだいたい私の計算式で換算するとちょうど100対0で悪いイメージになる。
それはごもっともである。
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