平均年齢70歳の男の料理サークルの講師をしています。③初めてのレッスン

市民センターの調理室に入ると、参加者はすでに集まっていました。

受講者は12名。
当然ですが、すべてシニアの男性です。
奥様から借りてきたであろう、体には少し小さめのエプロンをつけ、頭にはバンダナをぎこちなく巻いたおじさまたち。
隣りあわせた人とすぐ仲良しになれる女性たちとは違い、背中を丸めて静かに座っていました。

市民センターで開催するような料理講座はたいていの場合、「友達を作りたい人」や「料理上手な人」が参加者の中にいます。なのでこちらが特に何も言わなくてもグループごとに仲良くなるし、レシピを見てどんどん進めたりいろいろ質問したりしてくれます。
でも、目の前にいるのは不安そうな顔のシニア男性たち。料理のスキルも未知だし、彼らの緊張をほぐしたくても一体何を話せばいいのか全くわからない・・・。

「まずは、自己紹介から始めましょう。それでは私から・・・
私は隣町で料理教室をやっています。市民センターでは何度か講座をやったことがありまして・・・」

「なに、先生はどんな料理やってんの?」
一人の男性が急に声を出しました。
「家庭料理です。忙しい中でも作れるシンプルなレシピで美しくて家族が健康になる料理を作っています」
「家庭料理ってどんな料理?」
「どんなって・・・ええと、希少な素材で凝った料理も楽しいけれど、それは日々の家庭料理じゃなくて趣味の世界ですよね。そういったものを楽しむ手前に体を整えるための日々の食事があって、みなさんにはそういう基本的な家庭料理をやっていただこうと」
「おれはちょっと面白いのやりたいんだけどなー」

むむむ。手強そうな人が・・・・。

凝った面白い料理をやりたい人が多いかどうかはやってみないとわからないし、まずは今日の献立を作っている様子を見てみないと。


「そうなんですねー。それでしたらぜひ他のみなさんにも一緒にご指導よろしくお願いします!」


【なんちゃってとんこつラーメン】
材料

豚小間切れ肉60g、長ネギ1本、生姜1かけ、にんにく1かけ、もやし150g、キャベツ80g、豆乳300ml、中華麺2玉、味噌大さじ1、醤油大さじ1強、野菜コンソメキューブ1個、胡麻油小さじ2、ラー油適量、青ネギ2本

作り方
1、豚小間切れ肉は食べやすく小さめに切る。長ネギは斜め薄切り、生姜とにんにくは千切り、キャベツはざく切りにする。もやしは洗ってヒゲ根を取る。青ネギは刻んでおく。
2、鍋に胡麻油を熱して豚肉を炒め、半分くらい火が通ったところでにんにく、生姜、もやし、キャベツを入れて炒める。
3、水300mlと野菜コンソメキューブを加えて煮立たせ、少し煮る。
4、味噌、醤油を加え、豆乳を入れたら火を弱めて煮立たせないように温める。
5、鍋にたくさん湯を沸かし、中華麺を表記された時間茹でる。
7、どんぶりに4のスープを移し、6の茹でた麺をしっかり水切りして入れ、4の野菜をのせて青ネギをちらす。

【レタスサラダ】
材料
ドレッシング(玉ねぎ約1個、にんじん1/3本、酢40ml、塩小さじ1、はちみつ小さじ1、サラダ油50ml、胡椒少々)
サラダ(レタス、トマト、きゅうりなどを合わせて100gくらい)
作り方
1、ドレッシングを作る。玉ねぎ、にんじんをすりおろし、他の材料と合わせる。少し寝かせた方がおいしい。冷蔵庫で2週間もつ。
2、サラダ用の野菜を洗って水分をよく切り、盛り合わせる。食べる時にドレッシングをかける。


お肉と野菜を炒めてスープと豆乳を加え、とんこつ風に作るラーメン。
にんじんと玉ねぎをすりおろして作るドレッシングは野菜そのものでビタミンも食物繊維も豊富。

初回なのでどこに何があるか分からず、最後はみなさんお疲れの様子。
だけど、洗い物がめちゃくちゃ早い!
きっと奥様からやらされているんだろうな。。。





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