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君たちはどう生きるかをみた

超超超個人的感想のおぼえがきです
※※※ネタバレ注意※※※







まず私はこの映画を見て、好きだと思った。
この作品は作者の哲学とか死生観とかみたいなものが濃く表れてていやそもそもほかの作品もそうなんだけども、それに強く共感できたから私はとても良いと思えた。
例によって何も前知識を入れずに臨んだのだけども賛否両論、みたいな当たり前の評判くらいは目に入ってきてた
けどその否の部分にあたるところがイマイチ慮ることができなさそうな程度には好ましく思っている。


作中で私が一番心に残ったのは、ヒミが自分の扉に帰るとき
「眞人を産まなくちゃ」(セリフはうろ覚え)
的なことを言っていたところ
今までそんなそぶりは見せていなかった気がするけど自分の子であることがわかってて
そして眞人の立派な人となりを見て産まないと、と思い自分の扉へ帰っていくの 未来に自分が火に焼かれて亡くなることを知ってでもそう思うところ
母だな 強さだなと心打たれた
体は少女で昔失踪した時の空白の一年をあの場所でたまたま過ごしててそこで出会った少年により自分の帰る扉を見つけた、もしくは帰る目的を見つけたのかもと思うとより胸がいっぱいになる

あの世界はきっと心の揺らぎのある人がひきつけられるような世界なのだろうなと思うんだけど 現実逃避みたいな
疎開してきた眞人は新しい家族や学校、友人関係の悩みとお母さんのこと
夏子さんは失ってしまったお姉さんとその子供との関係と妊娠と体調
若い時の久子さんについても何かあったんだろうな・・と推測

眞人に出会って帰ることを決心したことを思うと漠然とした将来への不安みたいな、中学時代とかに陥りがち(偏見)な不安からくるものだったのかな、とか
そして眞人に会えたことで自分は将来家族を持つんだと理解してその未来への扉を開こうと思えたのかも なんて
わからないけど


ここまでがとりあえず一番好きだなと思ったシーンの話



次に思い出せる限り順番に思ったこと

この映画って、千と千尋、ハウルの動く城、となりのトトロ、思い出のマーニー あたりがいい具合にミックスしている感じだなあと思った
完全に雰囲気なので万が一人にどんな感じ?って聞かれたらこう答えようかな 程度の所見
あとテーマソングの地球儀からはトトロの風の通り道みたいな雰囲気を感じて素敵だなと思った 壮大でざわざわしてる感じ


始まりのサイレンで私はもうだめかもしれない、と正直思った
火垂るの墓とかもだけど戦争関連の映画は苦しくてつらくて娯楽としての映画では消化しきれないくらい精神が困憊してしまうもんで
過去の現実から目を背けたいとかではなく自分なりに重々凄惨さを感じているからこそつらいという話

でもあのシーンはプロローグ的なもので
眞人の生真面目な性格と母を大切に思う気持ち
同じくお父さんがいかにお母さまを大切に思っていたかが垣間見れた
あと戦争は本当にいらないねってこと 当たりまえだけど
お母さまはどんな病気で入院していたのだろうか・・気になる
パンフレットの販売が後からあるそうなので発売したらぜひ購入したいなあ

疎開したお屋敷のばあやちゃんたち、世のおばあちゃんのテンプレ網羅みたいで可愛かった
転校先に車でバーンと乗りつけたら目を付けられそうなものだと庶民の私は思うけども、お父さんはそんなこと心配するような育ちじゃないんだろうな
裕福な家庭で育っているってのがよくわかる
それまで生真面目でおとなしいのかなと思っていた眞人が売られた喧嘩を買い、大げさにするために自らを傷つけるところで人の心がある…!と心配しながらも逆に安心してしまった
そして誰にやられたと聞いても転んだの一点張りなあたりが絶妙に狡猾さが出てて賢いな…となった
その危うさのおかげで弓や刃物を持った時、いつだれかを手にかけてしまうのではというハラハラ感がすごかった 何をしでかすかわからない危うさにドキドキさせられた 多くを語らない人間 何をするかも教えてくれない
今思えばこのハラハラ感は事前に目にしてしまった賛否両論の否の部分に引っ張られてたのかもな、とも思う

そんでアオサギのえもいわれぬ気味の悪さにぞわぞわしていたのだけど最後にはすっかり心を許してしまった
鳥が苦手な人はこれ見に行けないんじゃないかと心配
ポスターのイメージでは硬派な感じだと思ってたけどまさか鼻でか足細禿おじさんとは ジブリだなあ

あちらに行く前しきりに言っていた
おまちしておりますぞは大叔父様の願いだったということなのかな
アオサギは眞人に付き添ってあちらに行って帰ってくるけど普段から行き来してんのかね その辺も謎
あと初めに開けてしまった墓の件もイマイチわかってないな
我を学ぶものは死す 仏教とかそっちなんかな?悟りを開くために何度でも生き死にを繰り返す的な でも死すだからまた違うんかな
あちらの世界を地獄とも言っていたけどそこも気になる
ついこの前も思ったけどこういうすさまじい作品を生み出す人たちの知識量はもうとんでもなくてありとあらゆる世界の歴史や神話や物語を網羅しているように思うからどこかしらにルーツがあるのかもな(小並感)


この作品を好きだなと思ったのは悪い人と思しきものがいない気がする
という点なんだけど
それぞれの信じる正義とか自分が生きるためにまっすぐなだけで悪意はないってとこで わらわらを食べちゃうペリカンも一族が生きるためだし、ヒミを捉えて交渉しようとするインコも一族が生きるため 大叔父様は世界をよりよくしようとしててトキ子さんは殺生のできない人のためわらわらのために生き物を狩るしヒミは誰かを助けるために自分のできることをしているだけで誰も悪くない
それは今生きてる世界も同じ事でみんなそれぞれ生きるためにやってることなんだけどやっぱり人間はその点悪だよなと思わざるを得ない
大叔父様が言っていたように上の世界では戦争が起きててその原因って同じ人間同士で相手を支配して自分がよりよくなろうという心が強すぎた結果、みたいなもんだろうし あ~あ、人間ってほんと悪

記憶が定かなうちに書き留めようと思ったけどどんどんわからんくなってきたや~結局のところ人間って地球にとって害よねってとこに落ち着くね


夏子さんが産屋にいるところ
きっと夏子さんはお姉さんが亡くなった傷も癒えてないけど
昔っぽいなとは思うがお姉さんの旦那さんに貰われて子を授かって
ただでさえつわりで体調が悪いのに心を開いてもらえない家族になった甥が怪我をして帰ってきて顔を見せに来てくれたと思ったらそっけなくて
不安でいっぱいできっと自尊心もズタボロだったんだろうな…と苦しくなる
自分は嫌われてるって思ってしまってその気持ちから嫌いって出てしまったんだろうな…その時眞人のすごいところはちゃんとまっすぐに夏子さんを呼び続けたところで あちらの世界でいろんなことを学ぶうちに独りよがりで気づけてなかった身の回りの人からの愛情を感じてお母さんと呼ぶことができたのかも その時夏子さんの心の呪縛も解けたのかな
思えば初めからずっと夏子さんほんと優しかったしね でも血のつながりのない親を持ったことがないから若い眞人の心は私には計り知れない

大叔父に交渉に行ったインコ大王に付き添っていた兵が
南国のような自然豊かな景色を見て ここが天国かと感動していたけど
それは上の世界から連れてこられたから本来存在するべき環境を目の当たりにして潜在的に懐かしんでたのかもな、と思った
上の世界だから天国で間違いないのかもしれないけど
だから正直最後にこちらに戻ってきたとき、本来の姿に戻れてよかったと思ったような気がするけどそれは人間である私の勝手な解釈で
自分の意思をもって四肢を持ち擬人化されず本来の姿であることができる上の世界は穏やかでいられるのかな どっちが幸せなのかわからん

トキ子さんは当たり前にヒミの扉の向こうへついていったけど
ばあやたちはトキ子さんもいなくなったという話をしていなかったから
もしかしてトキ子さんの出身はあちらなのかな?と思ったり
あちらのトキ子さん、初見では一瞬男性かと思うほどにたくましかったな
トキ子もヒミのパンが大好きって言ってたからあちらで一緒にご飯を食べるほどの仲なのね
1年の期間を考えるとヒミはあちらに行ってから能力が覚醒して人々?を助けてたんだと思うけどやっぱり向こうに行ったときトキ子さんにお世話になったのかなあ 長い期間向こうにいると自分の仕事というか役割をもって生きていく どこにも社会はある
殺生のできない人たちは地獄に落ちた人なのかね 彼らの役割はあるのだろうか 謎
トキ子さんしか殺生をする人がいないとなれば彼らはどうなるんだと思ったけどこちらへ戻ってくるときに崩壊したんだった

思い出のマーニーの時も思ったけどやっぱりこれらは思春期の時に見る現実逃避の一環なのかも
自分の中の迷いとか悩みを解決するのって自分をいかに説得できるかだと私は思ってるんだけど、それがただ言葉でなくイメージで世界を作ってその視覚的な世界を通してわかりやすくストーリー性をもって自分を説得していく
その世界観のおすそ分けをしてもらっているのかも 副産物的に

世界観の共有がエンターテイメントになってるのって人間くらいだから
人間ってすげ~~けど地球には害~~~~のはざまで生きてる
何の話なんだ おぼえがき感想なので許して


また見に行ったりパンフレット買ったら追記したりしなかったりしよう




追記
姉が亡くなった後に妹と再婚する点、なんか昔っぽいなと思ったらそういう習わしがあったというのを見て成る程ってなったけど
当人たちの気持ちはどうなんだろうねえとモヤ でもそういう時代か
現代では到底考えられない人権侵害だよなあ
二人とも描写だけ見るといい人に見えるから
妻も夫も使命として受け入れてるのかもと思うと健気だ


嫌いだと夏子さんに言われた後に 夏子母さん、と急に呼べてしまう眞人にほんのり違和感があったんだけどそれは眞人がまっすぐで助けたいという気持ちが強く自分を持っていたからかと納得していたけど
実の母ではない夏子さんに恋心を抱いていた説を見てアア~となってしまった。恋心としての思いを拒絶されて嫌いだといわれたことでその気持ちを断ち切ってお母さんと呼んだのかとなったら世間でいう嫌な男性像に近くて己の最初の感想が翻ってしまいそうで笑っちゃった そういう解釈だとすると駿監督のアシタカのカヤのお守り譲渡事件に対して男ってそんなもん、って言った粋な雑さみたいなものがもしかして…とあらぬ疑いを持ってしまうけどそれはそれでいいか 初見では良いと感じました私は
お花畑キラキラ思考ということかも



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