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あまいものと家族とおいしい本

画面端に滲む実家

我が家は今父母娘(私)という構造で、イチゴはひとパックしか買っていないはずなんだけど、÷3した量ではない多さのイチゴが私のために用意されていた。

家に着く時間もバラバラで、生気を吸われたようなカラカラの態度を取り、おだやかでもにこやかでもはなやかでもない娘なのにごめんね、と思ってしまった。

イチゴのようなあからさまな恵みを受けて初めて日々の無愛想さを反省する生意気娘。

子供舌だからサーモンが大好きで、夕飯にサーモンが出てきた時も、母は何も言わずに一切れ私のお皿に自分のぶんを分けてくれた。

ハーゲンダッツは1番に選ばせてくれるし、湧きたてのお風呂も最初に譲ってくれる。私が好きだからってこんな寒いのに冷凍庫にはいつもアイスがある。

当たり前だとは思ってないけどいざ文字にすると泣けてきた!うるうる。

家でずっと就活の面接してくたびれてむしゃくしゃしてる時にそっとミスドを置いてくれていたこともあったな。↓

「溶けちゃうから早く食べな」と言われた。溶け…?

父がこれをトングで掴みお盆で運び盛りつけたと思うと、嬉しくすぐった恥ずかしい。

ありえないくらい性格の悪い面接官との面接の後だったのでこのハートはめちゃくちゃに沁みた。そしてその面接は落ちた。こちらから願い下げである。

ちなみにミスドの、あのレールのようなものにお盆を乗せてカニ歩きで進んでいくシステム。
自分は「ハニーチュロ一択!」と思っていても前に並ぶ人がウンウン迷っていたらハニーチュロのある扉に到達するまでジリジリ並ばなくてはならないのだろうか。

仮に抜かしOKだもしても、あの狭い通路で1人を抜かすのはハードルが高い。そういう余計なことを考えているうちにレジに着く。いつも。

ドーナツっていいよなあ〜なんか幸せ。丸いし。湊かなえ『カケラ』を読んだのであまいふんわりドーナツ欲が増していた。

『カケラ』


柚木麻子『BUTTER』を読んだときも溢れるカロリー欲を抑えるのが本当に大変だった。活字で食欲湧くのなんだか嬉しい。

本当に文体がつやつやしていて美味しそうだった。


BUTTERなんて好きすぎて文庫本も単行本も持っている。そういう、意味のなさそうで意味のあるモノの持ち方をしてもいいよね。

単行本の、開いた時のメリッて音とか分厚めの紙に濃く綺麗に並んだ活字とか、装丁の素材とか帯のライブ感とかそういうのが凄く好きなんだよな〜、本読みたいな〜と思ったけど引越し準備で段ボールの奥底にあるから、また引越し後…。

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