見えない目撃者

漫画やアニメ、映画に限らず「もし自分がこの作品の世界に入ったら!?」という妄想は誰しもやるだろう。

例えば、世界で1番売れていると言われる尾田栄一郎原作のの「ONE PIECE」だったら自分はどの海賊団に入り、どんな武器を使い、どんな悪魔の能力を身につけているのかだったり。必ず夏になるとテレビで放送される「サマーウォーズ」ならどうやってあのラスボスに立ち向かうだろうかとか、かの有名な「お願いしまぁーす!」が出る前にボタンをポチッとしたらどうなるだろうとか。僕が一番好きな映画の「トゥルーマンショー」の世界に入ったら、自分の朝から晩までの行動が世界に放映されてると知ったとき主人公のように勇気ある行動を取ることができただろうかとか、エキストラとして入るならどの役だろう?とか。

こういった妄想をするときはとても楽しくて、いつのまにかニヤニヤ気持ち悪い顔をしてしまう程没頭してしまい、何日間もあーだこーだと考えてしまう事もあったりする。これはどうあがいても作品に入る事は出来ないし、人から見たら「ただの無駄な時間」と言われてしまうかもしれないけれど、「そんなんどうでもいいわ!!」って突っ込みたくなるほど魅力的な事だと僕は思う。

けれど、映画を見て初めてこの世界観なら絶対に入りたくない!!と思ったのが「見えない目撃者」だ。

警察学校で優秀な成績を残し、将来が有望だった主人公浜中なつめは自身の過失で交通事故を起こしてしまい助手席に乗っていた弟を亡くしてしまう。その事故が原因でなつめは失明をしてしまうのだ。そんなある日、車とスケボーに乗った少年との接触事故に遭遇する。その時後部座席に乗った少女の助けを求める声を聞き、これが誘拐事件の可能性があると考え、もう1人の目撃者国崎春馬と警察と共に犯人を暴いていくサスペンススリラーだ。

この「見えない目撃者」は僕が今まで見たスリラー系の中で1,2位を争うぐらいのスリリングさがあった。主人公が盲目であるため、凶悪犯を追い詰めていくというよくある設定の物がよりスリリングになり、見ている我々からは見えている世界は主人公とは見えていないため、この声は届かないのにも関わらず、気付けば前のめりになり「そこいるよ!」とか「そこ行ったらダメだよ!!」とか声に出してる自分がいたのだ。

終盤まで緊張の糸が切れる事は無く、見た後は少しの疲労感と共に眠気が襲って来て初めて、僕はこの作品にのめり込んでいたんだなって思った。こんなに手に汗握りながら見た邦画はあっただろうかと考えたけれど、「見えない目撃者」が初めてだと思う。

もし主人公の立場なら?っていつものように考えると背筋がゾッとしてしまう。

これがエンターテインメントだと思うけれど、あーーーー映画で良かったとホッとして寝ることにします。




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