📚本旅記録📚　- 香川編 -

あっという間に一週間経ってしまった。
長年かけてGoogleマップに立てた香川県内のフラグを全回収する心意気で作成したプランは、明らかにあるかなきかの体力に頼り切ったものだったけれど、持ち前の“詰めの甘さ”ゆえ行けなくなってしまった場所やローカル線の洗礼のお蔭で程よいゆとりができ、振り返ってみると自分的にカンペキな旅だった。

◎仏生山温泉

「湯船に本の持ち込みOK」な温泉ということでずーっと気になっていた。濡れても気にならないようにと浴場までの壁面には200円均一の古本が並んでいる。その名も「50m書店」。泉質は炭酸水素塩-塩化物温泉ということで、気泡が身体に付いて出た後もぽかぽかした感じが続く。オープンとほぼ同時に入浴したので地元の常連さんがちらほら。そのせいか、湯船で読書している人は私だけだった。お湯の温度は読書に最適な、暑すぎずぬるすぎず。お肌もつるつるになるし、最高。地元の人が話しかけてくれたり、畳でのんびりしたりして、結構長居してしまった。

◎うみの図書館

約一年前？に讃岐津田に誕生した“泊まれる図書館”。クラファンで支援させてもらって、やっと行けた。ビーチから本当にすぐそばにある。折角なので図書館ツアーというものを体験させてもらって、この地域や改装前の建物の歴史とか教えてもらった。ここの図書館は“漂流図書館”で、貸出期間は2年間。ここ以外に返却場所はいくつかあるみたいだけど、「返ってくるかもしれないし、返ってこないかもしれない」というスタンスがなんとも良かった。ルームキーに書かれているのは図書館で本の分類に使われている数字（哲学・思想だったっけ…？）。ビーチで読書に耽ってやろうと企んでたが、到着した頃には陽が沈んでたし寝不足も相まって21時過ぎには寝てしまった。翌朝早起きして見に行ったビーチは波も穏やかで、空気が澄んで気持ちが良かった。「熱帯」は図書館が出来たら置いて欲しいと希望していたもの。館長さんのコメント付き。

◎い志づか

「うみの図書館」から讃岐津田駅までの間にあるカフェで、美味しい朝ごはんが食べられるお店。小道具屋さんも兼ねているとのことで、店の奥には所狭しと雑貨が並んでいる。驚くべきは、古本の量。じっくり見る時間がなかったのが悔やまれた。お味噌汁がびっくりするくらい美味しくて、そんな話とか色んなお話で、朝からお腹も心もめちゃくちゃほっこりした。

◎香川BOOK遍路MAP

なんてステキなフリーペーパーだ！と、その存在を知ってからずっと手に入れたくてしようがなかった。「うみの図書館」にて出会えた。歓喜。

◎讃州堂書店

「遍路MAP」で知り行ってみた。Googleマップに10:00〜とあり9:50ぐらいに着いたので少し待とうかと思ったら、開いてた。店先の看板には9:30〜と書かれていた。ラッキー。店内には誰も居ない。所狭しと並んだり積まれたりしている本の奥に潜んでいるはずの店主さんを探すでもなく探したが、居ない。居たのは黒猫だけだった。遠くからじっとこちらを見ている。小さく挨拶をしてから本棚を見始めたら、すぐ背後から「にゃー」と声をかけられた。振り向くとそこにも黒猫。しかし最初に見た黒猫とは明らかに別猫だ。さっきのは警戒してたけど、こっちは違う。にゃーにゃーと擦り寄ってくる。撫でてやると大人しくゴロゴロいった。やめて本選びを始めると恨みがましくにゃーにゃーいう。以下同上。これでは店内ざっと見るだけでも日が暮れてまう。心を鬼にして本に集中したらそのうちその黒猫はどこかへ姿を消した。代わりに店主さんがガラガラガラと庭から入ってきた。レジは奥ではなくて手前にあり、お会計の際も例の黒猫はカウンターに上がって金銭授受を邪魔してくる。看板猫も可愛いすぎると考えものだな、などと思った。でも、看板猫としてがんばって接客しなくちゃ！と精を出すあまり空回りする猫を想像すると底抜けに可愛いし、そんな看板猫に困り果てる店主、なんていう構図は微笑まし過ぎてたまらない。ちなみに、黒猫はやっぱり２匹いるとのこと。最初の子の姿を見たのはあの一度だけだった。　
※支払は現金のみでした

◎BOOKS

今回の旅で入手した本やフリーペーパーたち。ずっと行きたかった本屋さんのルヌガンガ、へちま文庫にも行けた。なタ書は予約連絡してみたけどタイミングが合わず断念。必ずリベンジしてやる。

こうやってみると、香川県って読書のための場所が充実してる気がする。おしゃれ重視なブックカフェとかではなく（私はそういう場所でだいたい読書できない）、非日常での読書体験を提供してくれる場所。そんな場所が生まれやすい理由が香川には、何かあるのかしら。

ちなみに旅のお供に連れてったのはゲーテの「イタリア紀行」。めちゃくちゃ船酔いするゲーテにフェリーの中でほくそ笑んだりした。神戸へ向かう帰りのフェリーの中でちょうど中巻を読み終えたのだが、最後の文章が旅の締めくくりにぴったりで、我知らずじーんとなってしまった。なので旅に出られる際には「イタリア紀行」（できたら中巻）を携帯されること、そして帰り道に最後のページを読めるよう計画されることを強くお勧めしたい。