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思想家の休日

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2020年9月の記事一覧

社会の終わり

正気を失った人々の無垢な表情、たじろぐ青春の形状、天界にひそむ形而上的な恋の骸、幽霊たちの社会性が制圧する空疎な複製物、理想論的な滑落から、枢要な儀式の嗚咽、地位を確立するために数々の試練を携え、明日を恨むだけの幼稚な輩、血に飢えた夏と、エタノールの刺激、分割払いの憂鬱に、鞭毛に触れる君のプレシャスな瞳、彼女の母体の上で慟哭する風、その彼女の骸を撫でる初心な孤独感、安易な衝突を繰り返す犠牲的なサイ

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鶏鳴

啓示のような言葉、残りわずかの命の白々しさに息も絶え絶えで、もだえる隙間にこぼれる陽の光、乾いた血がつがいになり、不確かな存在を確かにし、境界線を持たない君がもつれる関係とは、依存するか、大嫌いになるかの間から背反できずに、脱価値化の間でうごめく理想が理性を喪失し、互いを管理するための婚姻よりも、血の契約を結び地と一体化すべきだ、とカルト的な紛い物の制約により、制定される精神は敬神を続けては、形骸

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干渉

結末を縁取るマスク、空虚な結合を終える物質たちの分け目から生まれるイデオロギーにより圧死した未来と主体性、制圧され続ける行き先から保たれる所以に引き伸ばされていく価値のノスタルジー、引き取られる今が儚く調理されて、うごめく真実が解き明かす今を収斂させ、ちぐはぐになる瞬間に和解すらできずに、衝突を重ねる若いだけの魂、勇躍し続けるために私たちとは狂うのであり、孤独なのであり、ときにはおどけたりしながら

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手なずけられない獣

朦朧とする意識の砂漠、蛮声が嬲る大地の荘厳な欠如、あらゆる悲しみの凡庸さを手懐け、うたかたに迫る凄艶な月日の白さに委ねる思いのぬかるみ、有用な静寂の殺伐とした物陰、幻影を説き伏せる鳥たちの消耗品たる人類には、保つべきものすらなく、もたらされる悲しみに耽り、不健全な思いを掲げては、あらがう先々で対立を続けるだけの惰性な面影に真理は尽きて、つくづくに迫る動機はニセモノのままで、素面な者すら居ない今に欺

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愛でる

愛でる

花のカーテン超えて、気まぐれな猫が愛している寝床に帰る。乖離して行く不確かな場面、言葉もないがしろにして、定められた思いを超越して、散漫な意識がすなどるだけの過程をひるがえして、自由気ままに飛び出す先には、責任やら、誰が座る席などもなく、ただひたすらに無益に広がるだけの世界が、ただそこにあるだけであり、そこで過信したり、可否などもなく、そこで空白を生み出し、迫害を与えるだけの絶え間ない苦しみなども

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秋雨の腹の中

太陽の内側で孕む汗、記憶は星の香りを伝え、端々にはいろんな色が投げかける苦痛を証拠に、この命は引き伸ばされているのか、と惰性で天をアイスクリームを舐めるみたいに嬲る隙間から溢れる雨が、まだまだおぼこく、やせ細った木みたいな連中が支配するこの国の良心なんてものは、はなから存在しなくて、くたびれてがんじがらめになった奴らが自覚することもなく、与えられたものにより、私腹を肥やしたり、至らない自分を美化す

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化粧

老いぼれた夢につまずく君、豊かさの象徴である代用品たる身体を蝕む月日の怒り、憐憫を携え、安易な等位により、私たちは多目的なものに考えを占領され、些細な出来事に空爆されて、悲観的な動機に干渉する先々で対立を深めては、疲憊し続けるだけの過ちも即座に腐敗し、散々な日々にマーケティングされるゆるゆるな価値の期限を馬鹿げたもので縛り付け、死滅するだけの荒んだ動機がドラスティックなものを携え、最たる意味も破壊

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しあわせ

しあわせ

思いの残留物をも消し去るガンマ線バースト降る故郷、忘却の中では、名付けられたものは消失したままで、名残のようなものの中を彷徨う泡沫、バラバラになった退嬰的な獣たちの論理、茫漠たる凡庸さを指図する者たちが用いる匕首により屠殺される鳥の鳴き声、羽ばたく音も聞こえなくなる空を嬲る電磁波の洪水、絶え間ない悪夢の最中、怠惰な行方に波状的に生まれる言葉たちを織り込む。このなだらかな現実とは幻なのだから、身体を

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元凶

元凶

病気の星が超新星爆発を迎えて、流行る星の病、顔の半分が粒子状になり、眼球は小惑星に変わり、宙に浮いている。みんなが同じくらいに狂っていたならば、この世界もすこしはマシな選択をして、さらなる飛躍をしたのにな、と星の病に苦しむ少年は、もうすぐ卒業する学校を睨みつけ、日々迫る選択のクソさに唾を吐き、アナーキーな歌を叫びながら、散策を楽しむ先には、散々な現実を作ることしかできない社会や法や国家なんかには、

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凄艶

降り注ぐ陽光と絶え間ない多幸感、支離滅裂な世界をバックアップしても無意味だから、次々とまっさらにする。スキップする思い出の先々、解離する機械たちの高尚さを伝える香水の香り、理解とは散漫なものの中で形成されたニセモノの価値なのだ、と名付けられた途端に言いなりになる我々が乗り越えるべき歴史も、誰かに抑圧され、よくある話だ、と苛まれる。ただうとましく現れる午後が産卵する宴、そこに現れる猶予とたそがれる詩

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喜びの味

キングストンでの夕焼け、ルーツロックレゲエが打ち出す悠遠、雲に移るピンク色した普遍性、サフランライスを食べながら、なごむ瞬間や、変な色の歯磨き粉で磨く歯がよろこぶ音や、肥大化する恋が悲観的な災いを吐き出す白痴な夜が連れ出す卑劣な彼女たちの慟哭、つがいのあの子たちが示す運命、彼らが切り開いた世界から見える内臓や、魔術師が奇跡的に折り重なる思いが時間論を超えて、悪魔めいた日々が撒き散らす憂鬱なんかを変

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たどたどしい風景

世界は真っ暗闇の中で、クリスマスをすごしている。不満足そうな言葉がマントラみたいになびく夜、邪推する君の数多の信仰的な秩序を巻き取るコイルの音だけが、キーキーとうなる。ただれた日曜日をアイスクリームの上に乗せて、世界を牛耳るための腕輪をつけて、雷を自由にあやつるハーモニカを吹いて、つんざく愛によって凍りついた世界で磔にされる最後の神、際限なく貪り尽くした結果がこれだから、納得するしかないのであり、

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散漫な帰路

彼女はすべてと同調する。どの感情とも同一化し、蜻蛉で出来た竜巻、なまめかしい絵画の青々とした感情、浄化すべき今に立ち込める雰囲気が、生きた心地すらも喪失して、相互する意識を統合させ、うごめく真理が実像を破壊して、崇めることを辞め、誤る日々に別れを告げ、わずらわしく偏る意味の中で、掛け違えていく思い出の端々には、苦味のようなものが現れ、あいまいになるだけの日々がハウリングさせる意識的な羽の音や、はび

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誰でもない何か

私たちの自由は、誰にも奪われるわけもなく、その場で連呼される苦しみに支配されるわけもなく、分け隔てることもなく、その場で受け入れ、受け取るものが、正義をも乗り越えて、犠牲になるわけでも、犠牲にするわけでもなく、私たちは、ただ私たちであり続けることをよろこぶべきであり、何かに阻害されず、また疎外感などを感じるわけもなく、そこで受理するものに従属するわけもなく、私は、ただ私であることだけをよろこぶ、と

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