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Vertical SaaSにおける信頼性の重要さとCREの役割について


メディカルフォースCOOの組田です。月初にシリーズBで15億円の資金調達を報告させていただきました。

現在CRE(Customer Reliability Engineering)チームの管掌を行っているのですが、CREは「技術を用いて顧客をサクセスに導き、自社の信頼性を高める」というミッションを持ったポジションです。

今回のnoteではメディカルフォースにおけるCREの意義について紹介させていただきたく、非連続的な成長を前提としたVertical SaaSにおける信頼性の重要さ、それをどのように組織として実装していくかという話をできればと思います。

※CREはもともとGoogleが提唱しているポジションですが、メディカルフォースの考える役割とは異なります。

信頼性がVertical SaaSの非連続的な成長を加速させる

メディカルフォースでは自由診療クリニック向けのオールインワンSaaSを提供しています。予約から診察、会計から経営分析に至るまでワンストップでサポートしており、いわゆるVertical SaaSと呼ばれるカテゴリのプロダクトです。

オールインワンやマルチプロダクト戦略は対象とするTAMに限りがあることの多いVertical SaaSによくある特徴であり、これをどのように実現していくかが非連続的な成長を遂げるためのキーポイントになります。

対象の顧客数も限定的であるため1顧客1顧客のサクセス状況をケアしつつLTVを高め続ける必要がありますし、また往々にして市場にいる顧客同士の距離が近いため、市場で形成されるプロダクトや会社に対するレピュテーションの重要度が比較的高い業態であると捉えています。

このためVertical SaaSを非連続的に成長させていくためには、顧客の信頼を獲得できるような信頼性の高いプロダクト作りが必要だと考えています。

※システムに対して一般的に使われる信頼性とはニュアンスが違い、顧客からの信頼獲得を、自社が信頼に足る実力を持っていることと、顧客がその実力を期待することに分解した際に、自社でコントローラブルな前者を信頼性と呼んでいます。

信頼性向上に技術でレバレッジをかける

非連続的な成長のためには信頼性の高いプロダクトづくりが必要という話をしましたが、ここでのプロダクトとは顧客のプロダクト体験であり、システムはもちろんサポート体験も含めたより広義なものを想定しています。

メディカルフォースではオンボーディングや活用提案のために1院あたりカスタマーサクセス担当を2名アサインしていたり、土日祝もプロダクトの質問に対するサポートを実施するなど、その体験に注力した配置を行っています。

とは言いつつもリソースには限りがありますし、健全な経営のためにも可能な限り省力化を行う必要があります。

限られたリソースで信頼性の向上にレバレッジをかける、レバレッジはエンジニアリングの得意分野であり、それをなすのがCREです。

新しい価値提供スピードと信頼性の両立させる

Vertical SaaSの非連続的な成長にはオールインワンソリューションを実現したりマルチプロダクト化を進める必要があると書きました。このように新しい価値を継続的に生み出し続ける必要がある一方で、同時に信頼性も向上させなければなりません。特にT2D3を基準とした成長を考えた場合、これらの両立は非常に困難なものとなります。

また新しい価値提供と信頼性の向上は互いに異なるベクトルを持った営みのため、一つのバックログで優先順位を決め切るのは困難ですし、同時に進めていくにはチームにある程度の認知負荷をかけることになります。

そこでメディカルフォースではそれぞれを推進するチームを分け、機能開発チームとは別に、信頼性の向上をミッションとしてCREチームを組成しています。

メディカルフォースプロダクト部門の構成

いかにして信頼性を向上させるか

信頼性を高めるには、クリニックが足元で滞りなく運用を行えるという短期観点と、会社としてそれを継続実現できるという長期観点が必要だと考えます。前者に関しては

  • リリース後に発生した市場バグを修正する

  • プロダクト活用のためにデータを算出および調整する

の二つが主な業務内容になります。また長期での取り組みは一般的にSRE(Site Reliability Engineering)として語られる役割と同等だと捉えており

  • 価値提供のスピードを高速化する

  • (一般的な定義としての)システムの信頼性を高める

の二つが業務内容になります。具体的に前者は社内におけるトイルの削減や開発者体験の向上、後者はパフォーマンスの計測やコストの最適化、脆弱性への対処などが含まれます。

※トイルとは、手作業、繰り返される、自動化が可能、戦術的、長期的な価値がない、サービスの成長に比例して増加する、といった特徴を持つ作業です。Google."Site Reliability Engineering"より

これらを週次で優先度を決定しながら実行していくことにより継続的に信頼性の高いプロダクト提供を続けることができると考えています。また今後の課題として、プロダクトがスケールしてバックログが増大した際に、短期観点と長期観点での優先度づけの難易度が高まることが予想されます。その際はCREチームとSREチームの分化が必要になってきそうです。

まとめ

ここまで非連続成長を前提としたVertical SaaSにおける信頼性の重要さと、信頼性の組織への実装について書いてきました。2年前のnoteでは同じく開発プロセスをトピックに、いかに顧客の声を素早く反映させるかという話をしていたので、スタートアップとしてのフェーズの移り変わりを感じます。

限られたリソースの中で顧客からの信頼獲得をどのように実現するかの最適解にまだ辿り着けてはいませんが、引き続きCREチームとして解を探索して行ければと思います。

最後になりますが、シリーズBを経てメディカルフォースでは全ポジション採用強化中です。少しでも興味を持った方はこちらからご連絡ください。

カジュアル面談も実施しているので気兼ねなくお声がけください!


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