見出し画像

OKR2年生~部署アシスタントの視点~

株式会社マネーフォワードでクラウド経費本部のアシスタントをしている齊藤です!

クラウド経費本部は、クラウド型経費精算システム「マネーフォワード クラウド経費(以下、クラウド経費)」の開発、セールス、カスタマーサポートがワンチームとなって運営しています。

前回までは、採用ポジションのあるチーム紹介の記事を書いておりましたが、今回は部署で取り入れている目標設定の「OKR」について書いてみます。

「OKRを導入したいと思っているけど具体的にどういうことをしたらいいのか」
「OKRを導入したもののなかなか浸透しない」
「数値目標が無い職種だからOKR立てるのが難しい」
とお悩みの方々にすこしでも参考になれば嬉しいです。
この記事では、部署アシスタントとしてOKR推進で取り組んでいたことや意識していたことをご紹介します。

OKRとは

OKRとは、「Objectives and Key Results」の略称で、Objectives(目標)とKey Results(主要な成果)によって、高い目標を達成するための目標管理のフレームワークのこと。
四半期ごとに設定し、毎週進捗をウォッチし目標達成へ導くというものです。

GoogleやFacebookなどの企業が取り入れて大きな成果を上げており、マネーフォワードでも導入しようという流れがあり、昨年度から一部の部署で試験的に導入が始まりました。

一般的な評価制度であるMBOやKPIと異なるのは、以下のような点が挙げられます(こちらは諸説あります)

・各自の目標がチーム全体に公開されていること
・100%達成が困難な高めの目標(ムーンショット)を設定することが多い
・人事評価とは連動していないこと(そうでないケースもあります)

クラウド経費本部はプロダクト単位で独立している部署であるからこそ意思決定が早いことが特徴です。これまでも様々な施策や制度を全社へ導入する前のテストケースに名乗り出ることが多く、この時も他部署に先駆けてOKRを取り入れることが決まったのでした。

OKR1年生(2018年12月~2019年11月)

本部長の今井さんとの1on1でOKRについて説明を受けたのが、2018年の秋ごろ。
当時の私は「部署アシスタントの仕事は、フロントからの依頼を受けて滞りなく対応することが1番重要。高い目標とか特に思いつかないなぁ。」と感じてしまい、部署としてOKRを立てることは理解しましたが、「自身のOKRは特にないっす。」とそっけなく答えたのでした。

当時、今井さんが社内向けに書いていた文章を読んでみると、クラウド経費本部は2017年12月に発足し(当社は12月が期初)、2年目を迎えるところでした。新たに加わったメンバーも増え、部署立ち上げ当初に熱量高く定めたミッションやビジョンの浸透が薄まってきており、部署として目指す方向がぼやけてきている状況だったそうです。

日々の業務が忙しく目の前のやらなくてはいけない事がどんどん増える中で、部署のミッションを意識する場面が減っていました。そこで、OKRを定めることで目指す方向やメンバーが部署のミッションに寄与している意識を持つことが出来るのではないかと考えて導入を決めたそうです。

OKR1年生の終焉

と、熱量高く始まった1年目のOKRだったわけですが結果は・・・

OKRのグラフ

こんな感じでした。

OKRを定めたばかりの頃は1人1人がOKRを意識していていたものの、
・進捗確認をするのはリーダーのみ
・月に1度の本部会で進捗について共有するだけ
・日々取り巻く状況が変わるためOKRと業務が連動していなかった
などの原因が重なり、1年後には「OKRってなんだったっけ」状態になってしまったのでした。

OKR2年生を迎える前の春休み(2019年10月頃)

そんなこんなでOKRの重要性を感じつつも「このままでOKR2年目迎えて大丈夫か?!」と危機感を持った今井さん。その頃、チームビルディング施策(メンバーの相互理解を促進するような企画)を担当していた私に、今井さんからOKR推進の協力要請があり、サポートに入ることになりました。

とは言え、OKR1年生時代にはOKRの必要性を理解していなかったため知見が全くなかった私は関連する本を読むなどして急ピッチで学んでいきました。

この時の私は、チームビルディング施策を担当しながらメンバーがどんどん増える中で色々な考えや価値観の人がいるからこそ方向性を合わせていくって難しいなと思っていた頃でした。

1人1人の個性をお互いが理解し尊重でき、それぞれの持ち場で得意なことを生かし活躍できたらいいな…、その上でチームがなんとなくでも同じ方向を向いて取り組むことが出来たら相乗効果で大きな成果が出せるチームになれそうだな…、と理想はぼんやり見えていました。OKRを活用したらこの課題を解決できるかもしれないと思い、「いっちょやってみよ」となりました。

人事に協力してもらい情報収集した結果、OKRにはまず定期的な進捗確認や部署内で各チームや個人のOKRをオープンにすることが必要ということで、それらを可視化できるOKRツールを導入することになり、いくつかの候補の中から『HiManager』を導入することが決まりました。ハイマネージャーさんには導入のサポートにも入っていただき、親身に相談にのってくださる非常に心強い存在でした。

春休みの宿題

・課題図書を読む

 1冊目『OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法
 →今井さんが社内のOKR勉強会で読んだ本ということで1番初めに読みました。OKRとはどのようなものかということと色々な評価制度とOKRの異なる点を学びました。

 2冊目『Measure What Matters  伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法OKR』 
 →OKRをより効果的に進めるためにはCFR(Conversation(対話) Feedback(フィードバック)Recognition(承認))が大切ということを学びました。

・他社の事例を知る
OKRを導入してる企業から話を聞いたり、事例を読んでイメージをふくらませました。ここでWinセッションには食べ物が付き物という情報を得ました。

・ツール導入にあたって事前準備
リーダー向けにOKRに関する説明会を人事やハイマネージャーさんからなど複数回実施、メンバー向けにOKRとツールについての説明会の実施。
皆が腹落ちしないまま進めることがないように意識しました。

OKR2年生新学期(Q1:2019年12月~2020年2月)

急ごしらえで迎えたOKR新学期。

毎週やることとしてCFRを意識しつつ以下の2つを設定しました。

イベント

チェックインやWinセッションなど聞きなれない単語なので、ハイマネージャーの皆さんにチェックインとWinセッションの実演をしていただき、感じをつかみました。

画像3

(少しの笑いと緊張感の中で寸劇(ロープレ)を繰り広げてくださったハイマネージャーの皆さん。わかりやすかったです!)

なお、Q1の取り組みの中で、私が最も特性を発揮できたのはWinセッションでした。その理由は・・・お菓子を準備すること!!!!

金曜日の夕方に、季節のフルーツやお取り寄せグルメをつまみながらメンバー間で感謝や称賛を送りあう心理的安全が広がる世界
普段の業務ではやり取りしないメンバーの様子などをWinセッションでの「称賛」を通じて知ることができ、「みんながんばってるなー」とか「自分ももっと頑張ろう」みたいな空気が流れるようになった感じがします。
Winセッションでは「数字に繋がってないから」とか「自分のやってることはそんなに大したことないし、みんなの前で話すほどでもない」みたいに思うことだけはやめてくださいということを再三伝えるようにしました。

とは言え、OKR2年生スタート当時は取り入れたものの、課題が山積みである事を薄々感じていました。
そこでみんなの意見を聞かねばと思い、Q1が終わるタイミングでOKRに関するアンケートを取ったところ、「OKRを決めるプロセス自体にはある程度納得感はあるが、出来上がったOKRの納得感が低かったり定着度がいまいち」という傾向が見えました。

■Q1終えてのアンケートコメント抜粋
・Oへの納得感が薄かった。ブレストした付箋を繋げて作るようなワークでしたが、その場ではなんとかこしらえた感があったが、後から見るとツギハギ感が拭えないように感じた。
・目の前の現状に対してOKRへの取り組みが難しくなってきた時に、部署のOKRとの整合性からの再調整などをもっとこまめにした方が良かった。
・チームメンバーのOKRをもっと理解する必要があると感じた。OKメンバーのOKRが見えることで、もっと一緒にOKR達成に向けて士気を上げることができた気がする。
・Winセッションでの賞賛がOKRに紐づいていると、より浸透しやすかったのかも。

その他OKRそのものの理解が浅いままスタートしてしまった面があり、
・Objectiveは必ずムーンショットではなくてはいけない
・日々の業務にプラスアルファするようなKRを置かなくてはいけない

というような必ずしもそうしなくてはいけないわけではないにも関わらず、プレッシャーを与えてしまった面もQ1の課題でした。

OKR2年生の2学期(Q2:2020年3月~5月)

Q1はOKRを浸透させるということが第一の目標になってしまったところがあり、OKRがメンバーの負担にもなってしまった部分があったと反省。

ここでQ2の部署のOKRを決める際に今井さんが意識していたことをご紹介します。

【Objectiveの要件】
・数字目標は入れない
・顧客視点を忘れない
・その四半期に最も重要なテーマをいれる

【Key Resultの要件】
・達成度合いを測定可能な事
・自信度(どのくらいできそうか)で70%程度の確度な事
・そのQに最も注力すべき事

OKRの立て方の要件を踏まえつつ、アンケートや振り返りミーティングの結果を受けて2学期(Q2)で工夫をしたことはこちらです。

【OKRの決め方】
・部署の先行きを可視化するため、四半期だけではなく1年間の部署OKRを示してからチームのOKRを策定した
・進捗を追いかけやすいKRにするための情報やサポートを実施
→役割別によくあるKRの事例を共有したり、各リーダーやハイマネージャーさんが各メンバーのKRをレビューし、精度の高いKRを立てる事で追いかけやすくした
・今井さんが全メンバーのOKRをチェックしてコメント
→部署のOKRとメンバーのOKRの関連性が高まる効果を期待
【チェックイン&Winセッション】
・チーム別のチェックイン実施の徹底
・チェックインの内容を標準化するためのテンプレートの共有
・リーダー向け1on1研修の実施
・リーダー向けにツールの活用度やOKRに関する困りごとのヒアリング
・中途入社メンバー向けにOKRツールの使い方レクチャーを実施
・Winセッションを称賛の時間だけではなく、OKRに沿って活躍した人の発表の場とした

Q2になった途端、コロナの影響で全員がフルリモート勤務となってしまいましたが、部署の共通指針であるOKRが設定されていることでリモート環境であっても目指す部分が明確だったり、週に1度のWinセッションでみんなの顔を見て会話ができることで部署の一体感は損なわれずに過ごせたように思います。

特にWinセッションはこれまでは東京本社のビジネスサイドだけの実施でしたが、リモートでの開催となったため福岡拠点の開発メンバーも一緒にできるようになり、開発⇔ビジネス間のコミュニケーション活性化にも大きな効果がありました。
リモートならではということで、希望者の自宅にお菓子を送り遠隔だけど皆で同じものを食べながら、という企画もやってみました(食べ物が絡むと張り切りがちです。)


OKR2年生、半期を終えて

まだまだ課題点はありますが、Q2を終えて再びアンケートを取りました。(5点満点)

アンケート

結果はこの通りすべての項目で満足度・納得度が上がりました。

個人的には「OKRを立てることで生産性が上がった」ところでポイントが上がっていることがうれしかったです。
各自がOKRをおくことで自身の特性を活かし、前向きに業務に取り組めるようになっている結果なのではないかなと感じています。

Q3ではさらにOKRの定着が進み、より良い指針となると良いなと思っています。

2年生はまだまだ続きます

と、ここまで上期ではどのように課題をクリアしてきたかを書いてまいりました。

OKRを立てることでよかったと思う点は

・部署の目指している方向が明確になった
・他のメンバーがどういう取り組みをしているのかが可視化できるようになった
・メンバーの個性を知ることができるようになった

とは言えまだまだ課題はあり、今後も軌道修正しながらより良い方向に進んでいくように協力しなくてはならないと感じています。

私が思う課題点は

・チームや役割によってOKR立てるのが難しいと感じているケースがある
 →ここはどのような役職や業務内容であってもOKRを立てられるので、他社事例や部内で実例を見つけて、まずはマネするところから

・チームによってチェックインの満足度に差がある
→ここは標準化が難しい気もするので、それぞれのチームに合ったものを探していきたいところ

・必ずしも業績に直結しないことがある

→ここは戦略も紐づけて考えていかなくてはいけないところ

そして私自身、OKRに携われたことでよかったと実感したこと。

・部署が向かっていく方向を意識しながら業務に取り組むことができ、自分の業務が組織に貢献できている実感が持てた

・アンケートなどから見えてきた課題を1つずつ改善することで少しずつ納得度も上がり、効果的な施策ができるようになる事がわかった

・Winセッションでお互いに褒めあうという称賛文化が根付いてきた

初めての取り組みだったので悩み苦しむこともありましたが、担当できてよかったなと感じています。アシスタントの私にこのような役目を与えてくれた今井さんに感謝しています。

実は、担当業務の兼ね合いでQ3以降はOKRの推進担当を離れることになり、これまで私が意識してきたことや私の目から見た課題点をOKRの導入検討している方などに向けて残しておこうと思い、このような記事にしました。

これまでやってきたことは本当に小さな積み重ねです。チーム作りは、チームメンバーみんなで作り上げていくものなので、それぞれが1人1人の顔を思い浮かべながら進めていくことが大事だということにあらためて気づくことができました。

最後に、数値目標がないアシスタント職のOKRってどんなのがいいのかな?と悩む方も多いのではないかと思うので、私のQ1とQ2のOKRも載せてみます。KRは測定できるもの置くことを心掛けました。

【Q1】
O:クラウド経費本部の組織力を高める
KR1:採用目標通りの人数を採用、採用した人の立ち上がりを早めるような施策
KR2:FFS、OKRなどを使ってベクトルのあったチームづくり(MFサーベイ※1でチームへのポイント4以上)
KR3:週刊今井※2を毎週配信する 

※1マネーフォワード全社向けの意識調査のこと。
※2今井さんに特化した社内報です。平たく言うと部署紹介記事。
【Q2】
O:クラウド経費本部の組織力を高める(引き続き)
KR1:採用目標通りの人数を採用(採用広報記事を書く)
KR2:SQLを学び売上数値予測の精度を高める
KR3:Q2のOKRのアンケートでチェックインの満足度を3.8以上

こう見ると全然達成できてないな…振り返って現実を知る…。
まずは取り組むことに意義があるということで良しとします。

Q1のOKRの1つであった社内向け記事を書くこと。実はこれに取り組むことで文章を書くことが好きだったのを思い出し、このようなnoteを書くきっかけとなったのでした。
なお、この記事を書くにあたりクラウド経費本部デザイナーの大川さんがカバー画像を作ってくれました。「OKRに関する記事を書くのですが…」ということしかお伝えしていないのに、想像を超えるとてもとても素敵なデザインにしてくれて感激しました!ありがとうございました!