中高年の腰痛と生産性
(この記事は誰にも読まれない辺境の過疎blogに投稿した文章を転載及び加筆修正したものです。とはいえ、書いたのはつい数ヶ月前ですけどね。過疎blogはたぶんもう更新されません。)
【イラスト勝手に使ってます。ごりちきさんごめんなさい。ありがとう。】
↑ごるちきさんでした。
名前間違えてごめんなさい。
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腰痛は日本人の国民病と言われているらしいです。厚生労働省が発表する業務上疾患(職業病)の約6割が腰痛なのだとか。
働き過ぎといわれることも多い日本人。腰痛持ちが多い原因は座位時間の長さだそうで、1日の座位時間を比べると世界20カ国の平均はだいたい5時間程度なのに対し、日本人は約7時間。確かに長いですね。働き盛りのサラリーマンやOLさんはデスクワークも多いので、日頃の負担が腰へのダメージとして蓄積しているのかもしれません。
「座っているなら腰の負担は少ないのでは」と思われるかもしれませんが、実は座った状態が長時間つづくと血液循環が悪くなったり筋肉が疲労したりして腰痛の原因になるのです。
また、腰痛には原因がはっきりしている【特異的腰痛】と原因がはっきりわからない【非特異的腰痛】の2種類があります。
特異的腰痛は病院で医学的に原因が特定されるもの、レントゲン撮影やMRIなどで骨や神経に異常があり、医学的治療が必要な腰痛症です。
非特異的腰痛は病院の検査でも異常が見つからず、原因不明となってしまう腰痛です。
腰痛全体のうち特異的腰痛は15%、そして非特異的腰痛は85%と言われています。ジャーナルなんて普段読まないのでエビデンスレベルはわかりませんが、メンタリストDAIGOさんもそう言っていたので間違いないです。
腰痛に悩む患者さんのうち、85%の方は医学的に原因が特定できず、医者から「とりあえず湿布出しとくからしばらく様子見てください」と言われて帰らされます。これは「うちでは治療できません、治せません」と言われるのと同じです。
働き盛りのみなさんを長期にわたって苦しめる腰痛。ろくな治療法もなく、原因もよくわからない、いつまで続くかわからない地獄。おそらく、湿布を貼って様子見してても治る見込みはゼロです。
じつはこの腰痛、日本の経済にも社会問題といっていいほどの悪影響をもたらしています。
病気や怪我による病欠、休業をアブセンティーイズムといい、調子が悪いのだけれど休むほどでもないから出勤はするけど元気なときほどは働けない状態をプレゼンティーイズムといいます。
腰痛を抱えて仕事をしている状態はまさにプレゼンティーイズムです。腰が痛くてできない仕事があったり、他人に頼まなければならなかったり、できるけど遅かったり、質が落ちたり。とにかく生産性が低下します。それによる経済的な損失はどれほどのものか。
厚生労働省保健局の「コラボヘルスガイドライン」によると、健康リスクが比較的低い人でも年間損失額は約50万円。健康リスクが高い人では約70万円に上ると推定されています。
一般労働者の5人に1人は慢性腰痛に罹患しているというデータをどこかでみた気がしますので、たとえば従業員100人の企業では20人が腰痛によりプレゼンティーイズムの状態とします。年間損失額は健康リスク中間を取って60万円とします。
20人x60万円=1200万円
従業員数100人の企業にとって1200万円はかなりの額ですね。1000人の企業なら1億2000万円です。
働き盛りの介護予防を推進したい理学療法士としては、この辺りをどうにか社会に対して問題提起していきたい。できれば解決していきたいところです。
どうでしょう。従業員数千人超えの大企業の中のひと。産業PTを雇ってみては。従業員に腰痛持ちがいなくなれば年間1億2000万円の利益をうみますよ。こうゆうのを利益というのかどうかは知りませんが、損失が減ります。3人ほど雇えばかなり効果があると思います。その場合は報酬として年間1億ほど還元してあげてください。
社内にサロンを作ってPTを常駐させ、腰痛治療を行ったり、腰痛予防体操や日常生活で腰に負担がかからない動作の教室を開いたり。腰痛以外にもメタボ対策やフレイル予防も実施できたらもっともっと生産性はあがります。
雇うまではいかなくても腰痛や健康に関する講演をPTに依頼するとかでもいいと思うんですよ。ええ。それだけでも有益ですね。絶対。
ん?それなら医師や看護師に依頼しますって?
そうですか。賢い選択です。
PTはスキルに個人差がありますからね。
おわり
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