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新しい働き方の時代。テレワーク下で必要なのは上司の○○スキル

こんにちは。
キャリアコンサルタントの東公成です。

先日、キャリアコンサルタントが企業内でどのようにキャリア面談を行うのか?またその結果を企業側にどのような形で報告し、それによって組織がいかに活性化していくのか、人材マネジメントの課題をいかに解決につなげていくのか?という問いについて、ストーリー仕立ての3回シリーズをお送りしました。

〈シリーズ〉テレワーク中の会社でキャリア面談をおこなうと…?
▶その1 メンバー編
▶その2 マネジャー編
▶その3 報告・改善編
※リンク先よりぜひご覧ください!

今回は、このシリーズのスピンアウト編として、物語で活躍したキャリアコンサルタントの多聞(たもん)さんのお話を書きたいと思います。

実は多聞さん、テレワーク中にチームを崩壊の瀬戸際に追い込んでしまった落合課長にも劣らぬ“やらかし上司”だったのです。

そんな多聞さんが、高い傾聴スキルを身につけたキャリアコンサルタントへと転身したのはなぜだったのでしょう?

「キャリアコンサルタントって結局何をする人?」という方にも、きっと参考になるお話だと思います。

あなたに足りないのは「人の話を聞くスキル」

メザメ・エンジニアリング株式会社 開発第一課の課長・落合さんとの面談を終えた多聞さんは、会社への報告書をまとめながら、ふと自分がサラリーマンだった頃のことを思い出していました。 

今でこそ、多聞さんは独立したキャリアコンサルタントとして仕事をしていますが、10年前まではある中堅情報システム会社の営業課長でした。

学生時代にラグビーをやっていただけあって熱血漢。営業マンとしても「お客様に断られてからが勝負だ」とエネルギッシュに売りまくり、40歳で課長に昇進。部下への熱血指導でチームの成績も上々でした。 

そんなある日、転機が訪れます。
とある外資系IT企業から高額の年棒を提示され、セールスマネージャーとして転職するチャンスに恵まれたのです。東京駅前の高層ビルに個室が与えられ、30人の部下もできました。 
 
入社して1週間が経った時のこと、人事担当マネジャーとのミーティングがセットされました。 軽い雑談の後に切り出されたのは、多聞さんにしてみたら意外な話でした。

「多聞さん、実はあなたの部下からあまり良くない話が届いていて…」 
「なんですか?良くない話って」 
「まぁ、遮らずに最後まで聞いてください。多聞さんの複数のメンバーからこちらに届いているのは、まさに今、私に多聞さんがしたことなんです。つまり…」 
「つまり、何ですか!?」 
「多聞さん、あなたは人の話を聞くというスキルに欠けていますね」 

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人事担当マネージャーから「聞くこと」を中心に1時間ほど会話をしたのですが、多聞さんはどうしても納得できず、また「外資は議論を尊重する社風なのだろう」との先入観もあり、徹底的に反論してしまいました。 
 
ところが、翌週。再び人事担当マネージャーに呼ばれたその場で、多聞さんは解雇通告を受けてしまったのです。

すべてを受け止める姿勢に感謝の念が…

ショックを受けながらも、その外資系IT企業を去るしかない多聞さん。次の仕事を探すためにすぐに人材紹介サービスに登録し、翌週にはキャリアコンサルタントとの面談がセットされました。

面談では、これまでの経歴と実績についてヒアリングを受けましたが、外資系I T企業を解雇された悔しさが拭い切れていない多聞さんは、「聞くこと」について指摘を受けたのち解雇通告を受けた経緯を「あまりにも理不尽だ」との念いを織り交ぜながら、キャリアコンサルタントにぶちまけました。 
 
60分の面談の間、キャリアコンサルタントは多聞さんの話をいっさい遮ることなく、すべて受け入れるかのようにじっくりと聞いていました。 おかげで、話し終えた多聞さんは久しぶりにスッキリとした気分に。
 
「自分のドロドロとした感情もすべて受け止めて傾聴してくれた」。そんなキャリアコンサルタントに、いつのまにか感謝だけではなく強い信頼を寄せている自分に気づいたのです。

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「外資系IT企業で『足りない』と指摘された人の話を聞くスキルとは、きっとあのような態度なのだろう。確かに、今の私は持ち合わせていないかもしれない」ーーそう感じた多聞さんは、そのキャリアコンサルタントの持つ“傾聴のスキル”に憧れの気持ちさえ抱き始めました。 
 
これをきっかけに多聞さんは、キャリアコンサルタントという仕事に強い興味を持ち、生き方と働き方を変えることを決意。約3ヵ月の養成講座を受講し、学科試験と実技(傾聴技術)試験を経て見事に合格を果たしました。 

国家資格キャリアコンサルタントの資格取得に必要な講座内容は、講座を実施する団体により多少の違いがあります。

「聞ける上司」のチームは信頼関係が強い

キャリアコンサルタントとなった多聞さんは、仕事を通して多くのビジネスパーソンと出会い、またキャリア面談を通じてさまざまな悩みや思いを「傾聴」してきました。 
 
そこで気づいたことがあります。 
 
部下と上司でのコミュニケーションの問題は「聞く」ができていないことが原因で起こることがとても多いということを。 かつての自分がそうだったように、「聞かない」上司が非常に多いのです。 
 
・部下が話をしている最中に、割り込む上司。 
・部下が会議で発言していると、自説を押し付けてくる上司。 
・部下が悩みを打ち明けていると、聞いて欲しいだけなのにソリューションを出してくる上司。
 
 
「聞く」スキルを持っていないことが、部下とのコミュニケーション問題の元凶となっている。 そのことに気付いていない上司がいかに多いことか。 

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かつては自身も「聞けない上司」の1人だった多聞さん。彼がキャリアコンサルタントとして面談の場で身に付けた傾聴術は、次のようなものです。 

・部下の話を聞く時間をとる。
・部下には「今から○○分、あなたの話をしっかり聞く」と伝える。 

・聞くときはゆったりとした気持ちにスイッチを切り替える。 
・話をうながすために相槌をうつ。 
・割り込まない、遮らない。
・相手の話の「良し悪し」を判断しない。 
・相手が沈黙しても、部下が話し出すまで待つ。 
・ときどき、聞いた話を要約して理解が正しいかたずねる。 
・質問は、相手の話をうながすようにおこなう。 

たくさんの会社でキャリア面談をすることでさらにわかったのは、部下の話を傾聴できる上司がいる組織はメンバー間の信頼関係が非常に高いということでした。

そんなことを改めて思い返しながら、多聞さんはメザメ・エンジニアリングへのキャリア面談報告書を書き進めました。 
 
「もし、落合課長に傾聴スキルがあり、テレワークでも部下の話にじっくり耳を傾けていれば、チームが崩壊の危機に瀕することはなかったのではないだろうか? 」ーーーいや、落合課長に限らず、すべての管理職やリーダーのみなさんにはぜひ傾聴スキルを身につけてほしい。 メンバーが信頼関係で結ばれ、すべてのチームや組織が結果を出す喜びを味わえるように。

文/東 公成(あずま・きみなり)
国家資格キャリアコンサルタント、DiSC認定トレーナー、プレゼンテーショントレーナー


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