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はたらく女性が知っておきたい「更年期」①
そもそも「更年期」とは?
このところ、女性の更年期の話題が頻繁に取り上げられるようになってきました。
“更年期”とは、閉経の前後5年間のこと。
日本女性の平均閉経年齢は50.54歳(日本女性医学学会)なので、多くの女性は、だいたい45歳〜55歳までの10年間が更年期にあたります。
“閉経”を境にして体調が大きく変化するため、更年期にはこれまで女性の発症が少なかった病気にかかりやすくなったり、心理面や美容の面にも影響が出たりします。
子どもがいる人は育児が終了して子どもが独立したり、老後の人生が視野に入ってきたりと人生の後半戦に向かうための転機が多く訪れるこの時期、同時並行で起こるからだの激変に、私たちはどう対応したらいいのでしょう?
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私からの提案は「まずは知りましょう」ということです。
今回から、数回に分けて「はたらく女性の更年期」についてお伝えしていきます。
いまの暮らし、行動、知識が未来のキャリアや健康につながっていきます。ですから、20代、30代のみなさんも「自分にはまだ関係ない」などと思わず、ぜひご一読ください。
“閉経”はどんな風にやってくる?
“閉経”とは、卵巣の働きが次第に消失し、月経が永久に来なくなった状態です。月経が来ない状態が12ヵ月以上続いたときに、1年前に遡った時点を“閉経”としています。
冒頭で、日本女性の平均閉経年齢を約50歳とお伝えしましたが、実際には個人差が大きく、早い人では40代前半、遅い人では60歳近くまで月経がある人もいます。
参考までに、(財)日本労働協会がすでに閉経した働く女性2000名にその年齢をたずねたところ、50〜54歳で閉経したと答えた人が51.5%、45~49歳と答えた人が31.9%となり、55歳までに8割強(83.4%)の女性が閉経していることがわかりました*。
*女性労働協会「はたらく女性の健康に関する実態調査」平成16年
「順調だった月経が突然こなくなった」という人も1割強いますが、多くの場合は閉経の数年前から月経の訪れ方に変化が起こります。
【閉経間近の月経周期の変化】
① 順調だった月経周期が少しずつ短くなり、
(これまでより徐々に早く来るようになる)
② しばらくすると少ない経血量でダラダラ続くようになって、
③ やがて2ヵ月に1回、4、5ヵ月に1回など周期がとびとびになり、
④ 完全に月経が止まってしまう
例えば、28日周期だった月経が25日周期になり経血量が減ってきた=①。これは、女性ホルモン「エストロゲン」が減少してきたサインです。
卵巣機能が低下しはじめたために、黄体期(排卵期の卵胞が黄体に変化して体温が高温になる時期)が長く維持できなくなり、月経が早く来て早く終わってしまうのです。
その後、卵巣は排卵する力も次第になくなり、月経周期が長くなってきます=③。
40代に入って月経周期が変わってきたら、「そろそろ更年期?」と心の準備をしておきましょう。普段から基礎体温を計っている人は、こうした変化にも気づきやすいと思います。
【豆知識】閉経のメカニズム
お母さんのお腹の中にいた胎児期、女性の卵巣には最大で約700万個もの原子卵胞がありました。ところが妊娠5〜6ヵ月の頃をピークにその数は急激に減少し、約200万個前後になった状態で出生します。
生まれた後は年齢とともに徐々に減少し、初潮を迎える頃の卵子の数は約30万個に。30代半ば頃には約3万個程度となり、40代以降は急速に減少。卵巣の大きさ自体も縮小し、50歳前後で機能が停止します。
この、卵巣機能が完全に停止した状態が“閉経”です。
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更年期の女性のからだで起こること
月経が規則的に訪れていたときは、脳と卵巣がナイスな連係プレーをしながら働いていました。
ざっくりと説明すると、これまでは脳から「エストロゲンを出して!」という命令物質(卵胞刺激ホルモン=FSH、黄体形成ホルモン=LH)が分泌され、それに刺激された卵巣が「OK!まかせて」とエストロゲンを分泌するというやりとりがされていたのです。
ところが40代以降、卵巣機能が落ちてきてエストロゲンの分泌量が次第に減ってきます。
すると、脳は「怠けていないでもっとエストロゲンを出してよ!」とばかりに、これまで以上に命令物質を分泌してくるのです。
卵巣も、はじめこそ自らにムチ打ってエストロゲンを分泌するのですが、次第に脳からのリクエストに応えられなくなっていきます。
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「出して」と指令し続ける脳と、それに応えることができない卵巣…。
こうして脳と卵巣の連係が乱れてホルモン中枢が混乱すると、自律神経も影響を受け、ホットフラッシュといわれる発汗症状やのぼせ、動悸やめまいといった自律神経失調症状につながっていきます。
つまり、“更年期症状”といわれる不調の正体は、閉経が近づくにつれて減少したエストロゲンの欠乏症状です。
これは、頭重感、倦怠感、不眠、不安、憂うつ、記銘力低下といった精神神経症状になってあらわれることもあります。
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更年期の女性の体内では、ジェットコースターが急降下するような勢いで急激にエストロゲンの分泌量が減っていきます。
このグラフを見ていただけると、脳が混乱し、からだも追いつくことができず、それがさまざまな不調となってあらわれてくるのも納得できるのではないでしょうか。
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更年期を穏やかに迎えるために30代からケアを
ただ近年、更年期症状が現れる理由は単に女性ホルモンが減少するからだけではなく、ホルモンの状態が大きく揺らぐことにも関係があるのではないかといわれています。
実は女性ホルモンは、すでに30代後半くらいから変動を繰り返し、揺らぎながら減少に向かっています。しかもグラフのように一直線に減っていくのではなく、実際には乱高下しながら減少しているといわれているのです。
その変動=揺らぎが体内環境さえも揺さぶることで、つらい症状を引き起こしているのではないかというわけです。
一般に“プレ更年期”ともいわれるこの時期は、ストレスなどが原因でホルモンバランスが乱れやすくなります。自分なりに工夫してストレスをためないようにするなど、更年期本番に備えてからだをケアしておきたいですね。
注)プレ更年期…最近、一般的によく使われている用語ですが、医学的にはこのような定義はありません
次回は、はたらく女性が更年期症状を知っておく大切さや、更年期症状が“更年期障害”となってしまったときの治療方法などについてお伝えします。
■ 文/西岡 笑子(にしおか・えみこ)
■文/西岡 笑子(にしおか・えみこ)順天堂大学 保健看護学部 看護学科 母性看護学領域 教授。医学博士・助産師。東京大学医学部健康科学・看護学科卒業後、聖路加国際病院看護師・助産師、順天堂大学助教、神戸大学准教授、防衛医科大学校教授を経て、2022年より現職。母性看護学・助産学とウィメンズヘルスが専門分野。女性の健康・セルフケアについて広く発信し、“mezame”では、女性向け研修を監修。2児の母
(構成・文/阿部志穂)
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さんぎょうい株式会社が提供する“mezame(めざめ)”は、産業保健師と国家資格キャリアコンサルタントがタッグを組み、
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をおこなうプログラムです。
女性特有の周期的なからだの変化、年代やライフステージごとに変わっていく役割、体調、かかりやすい病気…。
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