ダナン旅行の記録①、2023年9月のこと。
書こう書こうと思いながら1週間が過ぎて1か月が過ぎた。
そうしてついに年が明けてしまって、少し重みを増した罪悪感と薄くなった記憶を頼りにダナン旅を振り返る。
今スマホのアルバムを振り返ると、「もっとちゃんとしたいいカメラで旅の瞬間を自分の手に所有しておけばよかったな」とじんわり後悔が湧いてくる。
それほどダナンの旅は美しかった。写真を撮るのが上手くなりたいと思うけど上手に撮れないのが悔しいな。
良かった場所なども載せるので、これからダナンに行く人の役に立つと嬉しいです。
旅のはじまり
ベトナムに行くのは今回が初めてだったが、数年前からベトナムという国に心惹かれていた。トラン・アン・ユン監督の『青いパパイヤの香り』というベトナムを舞台にした映画で私はすっかり虜になってしまったのだ。
この映画の感想は割愛するが、一言で表すと「実写版大人のジブリ」という印象だった。強くおすすめしたい。何よりもこの映画で描かれているベトナムの空気の湿度、夜の暗さ、濃い緑、食べ物、それらの片鱗を自分の目で一度見てみたかった。それがベトナムを訪れたかった理由だ。
映画の舞台はサイゴン(今のホーチミン市)だが、海が大好きな私はダナンを目的地にして日本を出発した。
久しぶりの旅。心が躍る。
1日目、晴れ、海
アラームを何個もセットして起きた。お気に入りのネイルで1週間の旅にしては大きすぎるスーツケースを持ち出して家を出た。出発の朝はやっぱり楽しい。体からアドレナリンが滲みでてきた。
ベトナム航空の直行便で、フライトは約6.5時間だった。
近いようで遠い国。
旅先についた瞬間いつも思う。
この土地はどんな匂いがするのだろうかと。
不思議なことにダナンの空港ではその土地の匂いがしなかった。
キツイ香水の匂いもスパイスの匂いもしなければ、風や雨の匂いもなかった。そういえば日本の空気は少しお醤油の匂いがする、と誰かが言っていた。
街は綺麗で清潔で、私が予想していた何十倍も発展していた。
(エジプトのトラウマがあるゆえ、いつもより感動した)
HAIAN Beach Hotelというミーケビーチ沿いのホテルに宿泊した。
1泊1万円以下なのに部屋から海が一望できて、朝食もビュッフェで本当に当たりだった。ダナンに行くならまたここに泊まりたい。
一通りビーチを散歩した後、夕飯はやっぱりシーフード一択だよね!と友人と盛り上がって近くにあったHải sản Mộc quán Đà Nẵngというシーフードレストランに行った。
いけすのロブスターや魚をその場で選んで生け捕り→量り売り→調理してくれるスタイルだ。ダナンは他のシーフード料理店でもこの形式が多かった。サブで注文した空心菜炒めも美味しかった。メインのロブスターはバターガーリックとスチームで調理してもらった。ハマグリはレモングラスの酒蒸しみたいな感じで食べた。なんて贅沢なんだろう、もうしばらくロブスターは食べなくて大丈夫です、ってくらいお腹が満たされた。
そういえばダナンではホテルもレストランもスパでも、レモングラスの香りが微かに漂っていた。
2日目、小雨決行の大移動
ダナンの9月は雨期シーズン
気付かないフリをしてここまで来たが、今回の旅程は雨季に被っていた。
と、サイトにも書いてある通り、9月後半は「観光に向いていません」(「向いていません」!)
航空券を取った後に気付いたのでキャンセルするわけにもいかず、ただ晴れを祈りながら旅の日を迎えたのだった。
小雨の中マーブルマウンテンへ
1日目こそ奇跡的に晴れたものの、残りの日程が全て雨だという可能性もある。2日目は朝から雨。小雨はまだマシな方なのでは?行きたいところは今日中に行こう!と友人と作戦会議をしてマーブルマウンテンに行くことにした。
(旅中のトラブルと作戦会議はワクワクするよね…)
マーブルマウンテンはダナンの観光名所で、名前の通り大理石でできた寺社仏閣と洞窟を見て回ることができる。
現地ツアーもあるほど敷地内は広くて見ごたえがある。
ベトナムで最後まで慣れなかったのは現地通貨の計算だ。
インフレが進んでベトナムドンのゼロの数が多い且つキャッシュ払いonlyの場所も多かったため算数が苦手な私は毎回支払いであたふたした。(最後には友人に支払い役を一任して諦めた)これが唯一のベトナムの好きになれない点だった。
マーブルマウンテンの中にある建造物は仏教に由来するものなので、見覚えがあるものが多いけれど日本とは異なった趣だった。真っ白で滑らかな仏像、カラフルな五重塔、また、仏像の周りに置かれた亀やうさぎなどは躍動感があって、そして少しだけありがたみがなかった。ポップに見えたし、遺物というよりは今この場所で同じ時間を過ごしているみたいな身近さというか、そんなものがあった。
人気のバインミーのお店、バインミーAA
お昼はバインミーAAで定番のバインミーを食べた。
お店のロゴの「mi」の文字が可愛く目立っていた。
実はバインミーを食べるのはこれが初めてだったのでスタンダードっぽいものを注文してみた。もし美味しくなかったときのために絶対美味しいであろうパイナップルジュースも保険で注文してみた。結果、バインミー本体は普通にサンドイッチで美味しかった。テーブルにはチリソースが置いてあったが、こんな平和なサンドイッチと可愛い店内にあのいかついパッケージのチリソースが置いてあるのが似合わなくて不穏に思えた。
お店の中は狭いので席が見つけられずに並んでいる人も多かった。お昼の時間帯は早めに行くか、テイクアウトも検討していくと良いと思う。
巨人の手の橋のところ、Ba Na Hills(バナヒルズ)
バナヒルズは、テーマパークで広大な敷地に展開されている。
個人的に雰囲気は自然と融合した感じでハウステンボスっぽいなと思ったが、とにかく本当に広い。5つくらいのエリアに分かれている。
ダナンを旅行する人の多くがバナヒルズに行くのではないだろうか。
何点か注意点があるので記載しておく。
と色々書いたけど人が本当にいなかったので、屋内のアトラクションはほぼコンプリートできたし値段以上に遊べた。
お目当てのゴールデンブリッジは世界一長いと言われるケーブルカーに乗って、山をかなり上ったところにあった。正直ケーブルカーがなかなかつかないので不安になった。
この日は、旅に登場する計画はつゆもなかった薄ぺらいビニール雨具を着てなんとか寒さを凌いだ。本当にみんな気を付けてね。やっとの思いで着いたゴールデンブリッジには、悪天候にも関わらずたくさんの人が写真を撮っていた。
私たちも韓国人の女の子に写真撮影をお願いした。返ってきたスマホを見ると100枚以上も撮影されていて韓国!(^_-)-☆となった。ありがとう。
夜になり、閉園時間と共にバナヒルズをあとにした。2日目はたくさん歩いて、いろんなスポットを訪れて目まぐるしい1日だった。
ダナン市街に戻るタクシーの中で、道路の脇の民家にポツンと電気がついているのが気になって視線がとられた。軒先にはランニング一枚のおじさんが座っていた。家の明かりは青白い蛍光灯で、ガランとした家の中がガーデン不在で丸見えだった。街に並ぶ店々の暖色の明かりとは違いひどくもの寂しい雰囲気で、強烈に魅力的だった。青いパパイヤの香りの中で見た古き良きベトナムの世界を覗いてしまった、とその瞬間思った。ああ、ベトナムに来て良かったと心底思った。
こうして今振り返ってまでこの記録を書き留めているのはあの一瞬目にした風景があまりにも異国だったからだ。
初日に空港に降り立ったとき、日本と精神的に近い国だと思った。なぜなら独特の匂いがしなかったから。ご飯も美味しくて日本人の口に合った。でもそれはそういう圧倒的な異国な側面を見て、ああとうとうベトナムに来たんだな、と思った。
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