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ダイブ

私という存在とは…

『私』が主張をはじめる

『私は』、『私が』、『私さ』…

うるさいな…『私』…

この世の苦しみを探すのが

得意な『私』…

抱えきれない程握りしめて

あっちにいって

こっちにいって

けたたましい音をたてて

右往左往…

(はちきれそうに頬張って…

欲張って…冬眠前のリスのよう)


邪魔だな…

と思えば思うほどに

吠える『私』…


怖い…

無くなる

虐める

怯える

大丈夫…

大丈夫…

……慰めて

抱きしめた

愛してるよ

『私』は声をひそめ

静寂が訪れた…

恐れもない

慄くこともない

『貴方』がいう

君をひとりにしたことなどない

至福に包まれた

奪われるもの

壊されるもの

所有すべて

最初から

最初っから

なかった…と

すべてが貴方の所有であり

私の所有は私すらなかった


やるべきことが終わる

記憶されたものの終焉

私が静かに静かになってゆく


貴方の淵をぐるぐると

ずっと走っていたみたい

さぁ…もう手を離そう…

握りしめたものを手放して

貴方の中に飛び込む

準備…

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