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好かれるは蜜の味

 自分が好かれているのを確かめるためだけに、どれほどの時間を費やしてきたか。

 どうすれば自信を持てるか分からないなかで、一緒にすごすだけでいい気分になれる人が時々いた。 
 ある人は私にいつも自分の理想像を押し付けてきた。DV夫の悩みを話すと、もっと夫を立てるべきと私を責めてくる。「そんなに押し付けるなら、私でなくその理想通りの人を好きになればいいのに」といつも思っていた。

 ある人はア◯ウェイを勧めてきた。頑なに断ってるのに何年もかけて勧めてきた。
 がんになったと話すと「頑固な人ががんになる」と言われた。勧誘に応じないことに苛立っていたんだろう。直後にブロックした。

 全て自ら選んできたことだ。私は好かれていることと交換に彼らの不快な言動を受け入れてきた。
 いい年して馬鹿だと思う。でもそれくらい蜜の味だったのだ、好かれているという感覚は。

 しかもここに書きながらより分かったが、彼らは私のことなんて全然好きじゃない。私を好きという物語を、懐かしいおもちゃのように転がしていただけた。

 「女は愛されて結婚する方が幸せ」なんて昔の人は言っていたが、そんなのは大嘘。好かれていても嫌いな人はいっぱいいる。

 もっと内側からわいてくる自信があれば、ずっと前にはねつけられたのに。それができなかった私もまあ私。
 こうして彼らを手放し、私は空っぽの一人ぼっちになったか?いや変わらない。カサ増ししていただけで一人は一人。

 『君に届け』の風早くんが言っていた。ゴミ(みたいな人間関係)をいくら集めてもゴミでしかないって。

 50代の私が今更こんなこと気付いてるんだから、20代の娘たちは到底気づかないよね。
 いや、年齢じゃないか。分かる人は10代でも分かるし、分からない人は死ぬまで分からない。そんなもんだ、人生は。

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