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ときどき恋に触れたくなる

恋がしたい、というこの衝動の正体はなんなんだろう。恋をする友人がやけに輝いてみえるのは、どこかから借りてきた言葉に引っ張られすぎているからだろうか。

「明日好きぴと一緒にピザ食べるんだ〜」と、にやけるのを堪えきれないような笑顔で話す彼女が愛おしい。「彼誕生日だったんだけど、日付が変わってぴったりにメッセージ送るのはなんか違うかなと思って、5分後に送ったよ」なんて意味のない駆け引きをするあの子もアホらしくて愛おしい。
自分のために有給使ってくれたと喜んだり、自分から連絡するのをやめた1ヶ月後に相手から連絡がきたとはしゃいだり、「よく笑う子のことすぐに好きになっちゃうんだよね」って言われたんだけど、どういう意味!?と悩んだり、相手の挙動一つ一つに意味を求めて何度も解釈しては悩み続け、ぐちゃぐちゃのまま好きという気持ちで突っ走っていく人びとが眩しい。

傷つくことを恐れては恋はできないんだろうと思うのだ。恋はエゴだからだ。好きな人に好きだと思ってもらいたいと、相手を強く欲するからだ。その思いが強い分、相手に拒否される反動は大きい。当たり前だ。自分よがりで、自分中心で、欲望のままに動くんだ。その欲望がぶつかることなんて、事故みたいな確率なんだろう。

好きな人から拒否されること、痛い。キュッと音が鳴るように縮む胸と、押し上げられて詰まりかけの喉。でも欲することはやめられない。

そういうちゃんとしてないのが好きなんだ。ちゃんとした人がくだらないことで一喜一憂するのが何より愛らしく感じるときがあるんだ。

わたしも少し傷つきたい。メッセージが数時間返ってこないことで悩んで、返ってきた瞬間に笑みが溢れてすべて許してしまうような。ちょっと傷ついて、それが癒えるようなぱんぱんの幸せがほしい。

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