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展覧会ちょい批評①アナザーエナジー展

アナザーエナジー展 挑戦しつづける力 ―世界の女性アーティスト16人
[会場] 森美術館
[会期] 2021年4月22日(木)~2022年1月16日(日)

2022年1月7日(金)に森美術館に行ってきました。展覧会をみて感じたこと、考えたことを簡単に書き留めます。クィア、ジェンダー、フェミニズムの話が多いかも。

世界各地で活動する女性アーティスト16名を紹介します。年齢は72歳から106歳まで、全員が50年以上のキャリアを積んでおり、いまも現役で高い評価を得ているアーティストたちです。多彩で力強い作品を通して、挑戦し続ける彼女たちの特別な力「アナザーエナジー」とはなにかを考えます。

パンフレットより筆者抜粋

女性=アナザー?

美術館を出てから、そもそも「アナザーエナジー」とは何だと言いたかったのか?と考えた。フェミニズムをかじっている私は、女性アーティストを集め、”アナザー”と表象してしまう危うさに不安を覚えた。男性がもつ力も、女性がもつ力も、どの性でも、同じエナジーやパワーであるはずなのに、女性というだけでもう一つの、という形容詩がついていたことが残念だった。
英語に詳しくないからか、oneとanotherに同等の価値を感じられない。男性=one、女性=anotherという考え方は、明らかに男性優位ではないだろうか。

女性アーティストだけの展覧会

本展覧会の重要な点は、女性アーティストの作品のみを展示したことである。芸術の世界はまだまだ男性優位社会であると美術手帖の記事で読んだことがあるが、そのような現状を考慮すると、この企画自体に価値があると言えるだろう。
しかし、さらに重要視すべきは、その企画内容である。最近の流行りであるからといって、マイノリティである女性というカテゴリーを、テーマとしてのみ扱ってはいけない。時代や作者、作風でまとめた展覧会が蔓延る中、ジェンダーで区別するという試みには、もちろん相応の責任が伴うだろう。

作者ごとのブース、作者の写真や詳しい経歴、インタビュー映像を流し、作者の外見から内面まで鑑賞者に見せる取り組みは、作者への親しみを感じさせる一方で、作品の鑑賞以上に過度に”女性”であることを強調してはいなかっただろうか。

作品ピックアップ(ネタバレあり)

私が最も好きだった作品は、三島喜美代氏の作品たちである。「私はゴミをつくっている」と言ってのける彼女の作品は、見た目はその通り”ゴミ”なのだが、それら全て陶器なのである。
情報やゴミが軽視される社会に対して、新聞や空き缶、段ボールを陶器でそっくりに作って、物理的な重さを加えたという表現に驚き、発想と技術に感動した。

最後に

私は古典西洋絵画が好きなため、抽象画やインスタレーション、映像にはそこまで惹かれるものはなかったというのが正直なところではありますが、あまりない企画と新しい発見への興味としては満足でした。
はじめての批評ということで、拙いものではありますが、読んでいただきありがとうございました。
今後も美術館に行ったら学生レベルの批評を書きたいと思っていますので、是非読みにいらしてください。

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