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不毛会議 season 1 #001ー#050

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とあるアパレルメーカーの会議室。 アズナブル=社長から毎日飛び出す 支離滅裂、奇想天外、叫喚地獄なワード集。 そんな言葉から生きることの奥義が見え隠れ。 ブラックユーモア人生指南…
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2019年12月の記事一覧

不毛会議 #12

「俺は出身高知だけど、関西人やから!!」 ここは会議室だ。大きな木の会議テーブルを囲うようにスタッフが着席している。 もはや、自分が会議に出席しているんだということを自覚する為、目の前の事実に定期的に目を向けなければならなくなってきた。 そんな目眩のような考えごとをしていたら突然爆音でアズナブルがシャウトしたのが冒頭の言葉だ。まるで自分に言い聞かせるように。 酔うと土佐弁が出るアズナブル。 「おんしゃあふざけちゅうがか!あ”?」 と、凄まれたスタッフは何人いただろうか

不毛会議 #13

「お前はどこぞの小作人じゃい(怒)!」 これは現代の話で江戸時代の話ではない。 確かに交わされる会話は会議室というより奉行所のようではあるけど。 これは会議中、アズナブルが発した言葉。 この名言は会社OBなら誰もが知る殿堂入りフレーズだ。 時は売上アップに苦しんでいた時期。 「売上の為にどんな戦略をとるか」という議論の最中であった。 良かれと思ったであろう「営業で外回りするより電話で営業した方が効率良いんではないですか?」とさりげなく提案したスタッフ。 「そりゃそうだ

不毛会議 #14

「あいつら農耕民族、おれらは狩猟民族だからさ」 アズナブルの定番の殿堂入りフレーズ”農耕民族と狩猟民族”。 「金儲けと言うものは一定範囲内で「待つ」のではなく、世界中どこからでも奪い取るもんだ。つまり狩猟だ」と説明する際に使用する。 使い方としては「俺たちは狩猟民族だからさ」と社内の基準(スタンダード)は狩りに行く人間の集いだと宣言しておく事から始まる。 続いて何を思ったか会議に参加している一人一人に 「お前は狩猟民族」 「お前は農耕民族」 「お前は狩猟民族」 と

不毛会議 #15

「お前は今まで、どこで何しとった?」 アズナブルの面接を受け入社してきたグラフィックデザイナーに向けて、出社初日に発言。 履歴書は確認し面接もしているにもかかわらず、この発言の真意は何だろう。グラフィックデザイナーであれば経歴こそ見るべきポイントではないのか。 アズナブルを観察してきた結果、彼は恐らく人を判断する時に右脳や感覚、気配で判断をしているのではないかと感じる時が多々あった。 ビジネスのスイッチが入るとあまり右脳(的な感覚)を使わない印象。どんな冷酷な手段でも

不毛会議 #16

「告訴しまーす」 横領事件が世間を騒がせてた時もしそんな奴がいたらどうするかという流れの中でアズナブルが発言。 かなりポップなフレーズが印象的。 セックスの事をエッチと表現したのは明石家さんまさんだと何かで聞いた事があるが、それくらい市民権が得れるほどポップな感じ。 「コクソしちゃうぞっ」てなもんだ。 訴えるよりも効率の良いやり方を知っていそうだが、実際のところ訴えてもいたが、訴えられる事が多かったようだ。 つづく

不毛会議 #17

「香水返せ!」 「お前は体臭が臭い」と、いちゃもんをつけた新人スタッフにアズナブルが使ってない香水をあげた事があった。 なんて微笑ましい出来事だろう。「体臭がくさい」と言われるのは傷つくかもしれないけど、営業マンにとって清潔感は命だ。 そこで自らの香水をプレゼントなんて人間らしい良いエピソードじゃないか。 しかし、問題はその香水を彼がつけていなかった事に気が付いてブチ切れて発言。 「営業とは人に不快感を与えたら負けなんだ」と良い教えを伝えていたのに、この発言が頭から離

不毛会議 #18

「あいつにはメールしとくわ」 新人の解雇を伝えるにあたりアズナブルが発言。 メールで解雇通知。 しかも出社初日の即日解雇ということで直接、最悪でも電話が良いと止めにはいるが断行。まだそこにいますよ本人。 全体的にそうだが汚れ仕事でも冷酷に対処する一方で直接手を下したくないのか、常識というものに酷い恨みがあるのか「え?なんで?」という選択肢を必ず選んでくる。 直接電話することがうっとうしいのではない、恐らく常識に歯向かいたいんだ、盗んだバイクで走り出すんだ、尾崎豊なんだ。

不毛会議 #19

「間違ってる可能性があるから内線しろ!!」 この会社には館内放送というのがあった。電話の受話器をとりボタンを押すと「キンコーン」とスピーカーから全社屋に向けて合図が鳴り、その後1階から3階まで響く社内マイクアナウンスが利用できるというわけだ。 これで、どこにいるかわからない人を呼んだり、外線に出ることを促せたりする。 そんな館内放送を使い、自らスタッフを呼び出したアズナブル。 キンコーン「内線、鈴木社長室まで」 という塩梅だ。 呼ばれた鈴木という社員は社長室にダッシュする

不毛会議 #20

「やっと来た(怒)」新人スタッフを館内放送で呼び出し、1分以内で参上したにもかかわらず発言。 しかも呆れ顔。 彼にとって言葉とは意思疎通や情報伝達以外の使い方があるようだ。 それは、出会い頭から理不尽な言葉を投げることで相手が怯んだり、回顧したり、読みが外れて計算しなおしたりという相手の先手を奪う戦術だ。 社内でも一瞬たりとも気を抜いてはいけない。我々は竜王戦を戦う棋士なのだ。お茶の飲み方ひとつで番狂せが起こる心理戦だ。 だからどんなものでも値段を聞いたら「高っけーな

不毛会議 #21

「毎日な、お前駄目な奴だ駄目な奴だと言い続けたら、そいつは本当に駄目な奴になるんだよ。」 ある営業のスタッフの話題になった時に発言。 アズナブルは彼にそれを続けてきたら本当に駄目な奴になりやがったと爆笑していた。 あぁ神よ。 私はこの言葉を聞いた瞬間頭をよぎった言葉があった。 "怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気をつけなくてはならない。 深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。" ニーチェはこう言っていた。 はたして目の前

不毛会議 #22

「お前がインフルかかったら罰金な!」  アズナブルがインフルエンザを患い、完治前に無理矢理に出社してきて放った言葉。 インフルに罹ったら医者にこう言われないだろうか? 「1週間は自宅で療養してください」と 自由すぎ!まさに民主主義のデメリット。 自己中心というのを通り越しすぎて、ここまで徹底されていると思うと気持ちが良い。 むしろ勇敢で偉大だ、そんな気がしてきた。 自己中過ぎて、もはや謙虚。 僕もアタマがどうかしてきてるのだろうか? お薬飲もっと。 なぜ罰金? という

不毛会議 #23

「中国生産がストップする!掛けてもいいぞ!!」 中国国内の生産工場の賃金上昇と共に工員が他の待遇の良い工場に引き抜かれ、安価で生産が出来なくなる状況が始まる話を聞いた直後に発言。 会議中は沢山の意見や情報が飛び交う。 「何が売れてるか」 「来季大手は何を仕掛けてくるか」 「どの会社が潰れそうか」 「誰々がクビになった理由」 などなど。 業界の噂は速い。 千駄ヶ谷(アパレルメーカーが多い町)のトイレで屁をしたら翌日には北海道から沖縄まで知れ渡る事になるだろう。 うんこを漏ら

不毛会議 #24

「中国が生産ストップとか言われてんじゃん?あれ都市伝説」 「中国生産がストップする」と豪語したことは記憶に新しい。 「掛けてもいい」とまで言い切った話だ。 だってこの前の会議で聞いたもーん。 しかも、この発言は 「はぁ?当然だろバカじゃないの?」 という表情で発言。 このバランス感覚が本当にビックリするのだ。 これを一週間以内で言ってしまうのでアズナブルの発言には重心を掛ける事が出来ず常に慎重になる。 それが結果的にスタッフ達を鍛えていたともいえる。 「火事だ!!

不毛会議 #25

「はぁあ?」 様々なタイミングで使用される、聞き返す際の仕草と表現。 表情は「お前バカじゃないの?」という表現を顔面いっぱいで表現。 声のトーンは「皆さんこちらをご覧ください、今世紀最大のバカがここにいますよ」と伝えるかのごとく。 活用シーンは ・誰か何か意見を言った時 ・問題を指摘した時 ・椅子に座った直後 ・居酒屋で飲料水を頼んだ際 などに使用される。 完全に相手の士気を削ぐ意図しかない。 これにはもってこいだ。 ただ熟練のスタッフはこの発言には怯まない。怯んだら