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[ほぼ有料内容、無料記事] 明日からできるTシャツ屋の作り方 [オリジナルブランドや物販、DtoC]


「そろそろ公益性のある記事を書こうかなあ」

と思うのだが、何を「有料記事以外」で書いたらいかなぁ、という感じであった。

書きたい事、書ける事は山ほどあるのだが、、如何せん自分の中の「何が公益性があるか?」と、悩んでも仕方ない。

そういえば、最近某大学教授と二人でお茶してた時、「岩本くんTシャツ作れるよね?」と言われ、「はい」としか言いようがないのでそう答えたが、その教授の内容が以下だ。


・枚数は、白黒でサイズ分けて30枚ほど作りたい
・できればオリジナルのタグ(ブランドネーム)を付けたい
・渡すものなので、しっかりと梱包したい
・できれば少ない枚数でもリピートする可能性がある


「う〜ん。教授、あれなら作り方の業者とかやり方教えますんで、教え子使ってやった方がその要望もかなえられるし、安いすよ。僕もやる以上企業として少なくても利益取らなきゃんで、手空いてるなら自分等でやった方がいいっす」


「相変わらずだなあ」と言われ、さらっと業者とやり方を書いた。


「これはでも君たちの食い扶持ではないのかな?」

「ですけど、別にどこでも集められる情報っすよね。草木染めみたいな技術でもあるまいし。」

「そうか?みんな知らないぞ。有料で出したらどうだい?」

「いや、これ有料はアカんでしょ」

「ふ〜ん。僕は嬉しいけどねえ。」


はい、みなさん、多分この記事を読む時点で少しは「オリジナルTシャツ作ろうぜ!」となり、プリント屋で作るのは経験あると思うが、この教授のようにこだわるような、ましてや少ない枚数でどうするのか?という疑問に、全ての僕が持ってる最低限の工程と、その企業を教えよう。

もし、あなたが小さい企業を初めて、ノベルティなんかでTシャツを作るタイミングがあれば、これを使用して全然構わないと思う。

また、このやり方は、会社として「これ使えそうだ」と思うのであれば、ガンガン使用して、仕事に取り組んでもいいと思う。

こういう情報は昔、アパレルに入って学ぶやり方であるが、こういうソースはもうオープンソースでいいと思う。これがさらに変化するなら、それを今度は僕に教えてもらいたい。

僕の好きな服の方で、ひろ・いさんという方がいる。

この方のように、

・もっと知りたい方はいるはずである。
・私たちのような人間がもっとこのような仕事をオープンにしていき、やる方を活性化させ、その職人たちがダイレクトに儲かるスキームを築いていくべきだ

と僕は思う。

「中間業者はできるだけ省く」

は、物販をする人間にとっては、最大のテーマである。

僕はこの中間業者を「振り屋」「中間搾取業者」と、揶揄することがあるが、この知識を知らずに、いくら枚数は少ないといえ、戸建てよろしくオプションつけて等で段々と表示価格より値上がりし、適正でない価格で自作のものを作り、

「高くて作るの、気持ち引く」

というようなことは避けて欲しいし、このスキームで、自作で一人でもブランドや、作品を販売することのきっかけができたらいいなと思う。

これを書いてその教授に見せた時、「ここまで書いて大丈夫?」と言われて「はい、大丈夫です。」と答えた。

僕はそもそもこんなことで儲けようとは思わないし、むしろもっともっと、個人やフリーランスのインディペンデントな「Tシャツブランド」は増えいていいと思ってる。

「Tシャツって、一番とっかかり」

である、と思う。

自作でやるにせよパターンは奥深いし、プリントも方法が色々ある。その中で今日は、プリントはシルクや転写等、一番シンプルな作成方法を教える。しかしここに書くのは「販売までするレベル」である。


目次
1.Tシャツのボディはオリジナルか?在り物を使用か?業者と提携しよう
2.デザインを起こそう、頼もう
3.ネームタグ、ケアラベルを作ろう、頼もう
4.プリント屋に頼もう、時間があれば自分で刷ろう
5.ネーム、ケアラベルを付ける、切り替える、畳み包装を頼もう
6.総括


1.Tシャツのボディはオリジナルか?在り物を使用か?


まずはこの問題が最初に出てくるであろう。

よく、某アーティストが

「うちのTシャツは物販とはいえ…オリジナルでボディ起こしてて…

と聞くことはないか?ないかな。

ボディというのは、いわゆる何もプリントしてない無地のTシャツ本体そのものだと思ってくれ。

それを、オリジナルでパターン(型紙)を起こし、生地を決めて縫製したものを、総称して「オリジナル」と言っている。

対して、「在り物」という言葉は、単純に出来上がってる無地の既製品を使用すると思ってくれたらいい。

そう言うと大体多分

「え、普通は「オリジナルでパターン(型紙)を起こし、生地を決めて縫製したものを、総称して「オリジナル」と言っている。」じゃないんですか?」

と思うであろう。しかし残念ながら大体のブランドは後者が多い。これは紛れもない事実である。

しかし残念とは言ったが、その在り物のボディで大体クオリティがなりたってしまってるので、正直開発に費用をかけ、少ない枚数を作るくらいなら、僕としては全然

単純に出来上がってる無地の既製品を使用する

方がいいに決まっている。

ただし例外ももちろんあり、

・シルエットが変形物(極端なAライン等や、大きいサイズ、シルエット物)
・生地がどうしても特殊な物や自分好きな物を使用したい
・そもそも総柄(ボディ全体がその柄)を作成したい

上記のようなものに関しては、「オリジナルでやった方がいいよ」と思う。

で、まずはオリジナルのやり方。一番小さいスキームで。


1−1 : 生地を決め、パターンを起こす

生地は、どこかで巡り合う物と考える、そもそも生活してて、服飾を生業としていない限り、一反物のロールで生地を見たりすることはないだろう。

日暮里の繊維街や新宿、蒲田のオカダヤあたり、近所の生地屋に行き、その生地の番手(品番、メーカー等)まずはメモる。写メる。

そうして、そのメーカーに問い合わせて、

「その生地が欲しい事」
「御社と口座を開きたい事」

を伝えればOK。そうして簡単に(多少の審査はもちろんある)その会社との取引口座を開設し、「取引」として、「業者値段」で購入する。

(※アパレルはなぜか取引を開始することを「口座を開く」と言うことが多々ある。)

ここがミソである。取引量で値段が変わるが、少なくとも市場よりはダイレクトに購入することにより、その分は値段が下がる。ただし一反等で購入せず、メーター単位で購入する場合、「カット代」というものが発生するので、そこは少し注意してもらいたい。

また、生地に関しては、前述した「どこかで巡り合う物」と僕は言うが、韓国の「東大門」、タイのマーケット、ベトナムのそこらへん、など、旅先で見たものを仕入れるのは俄然アリ。むしろこう言うのをお勧めする。そう言う輸入物の方が値段が下がるし、オリジナリティも多少出やすくなるだろう。

パターンに関しては、「パタンナー」という、僕の中で「アパレルしてて一番頭が上がらない職種」と言う職業の方に振る必要性がある。

知り合いや知人にいるならいいが、この職業も服飾していなかったらなかなか出会わないであろう。

ここはもう 「nutte」で「パタンナー」で探そう。

正直、個人レベル、枚数少ないレベルであれば最高のクラウドサービスだと思う。

自分でやることももちろん可能。

また、ネットで既製のパターンなんかはよく落ちてるので、無料有料問わず自分に合う物であればOK。

ただし、あなたは素人だ。型紙で頭の中で完成品のイメージがつくであろうか?

ここは経験値を積んでいくしかない。失敗はある。


1−2 : オリジナルパターンから、オリジナル生地にて縫製


これももう、近くに縫製工場がなければ、nutteで探せばいい。ミニマムロット(最低作成枚数)無しでやってくれる方はいます。

値段、枚数をfixさせたら、3のネーム含み資材を送付しよう。


1−3 : 在り物を使用する場合


有名どころで言うと、

・ユナイテッドアスレ
・DALUC(ダルク)
・プリントスター

である。この場合、

ユナイテッドアスレ であればこちら

ダルクやプリントスターはこちら 

オリジナルのように、自分と、この上記会社の間で口座を開こう。

ムチャクチャ、簡単です。(多少の審査はあるが)

そうすれば、いわゆるプリント屋さんの表記価格から1/2~1/3で、商品を購入することができるだろう。

購入数が増えれば価格が下がっていくのだが、そこまでの数でもないだろう。しかし、この工程で実は最初から市場価格の1着の値段で、2着買えたりするんだよ。

取引先企業なんて増えて困るもんでもないので、個人でも法人でも取引しておこう。何かあれば物販屋でもすればいいじゃないか。


後は、韓国、中国、タイ、ベトナムで仕入れるのもアリ。結構肌触りが違うものがあるので、自分に合うものを選ぼう。(ここでは無地を想定してます)ただ、一つタイのTシャツの記事のこのブランドのように、

”ブランド名がボディにネームではなく、刷ってある物”

だと、ネームタグ付けるときに少しダサくなってしまうので、注意しよう。ちなみにこの生地はマジでいい。あとマジで安い。

余談だが、特に韓国は、”総柄を在り物に転写する” 技術は、ずば抜けてる気がする。

ここは、メガネのクリーニングクロスで僕が使用する実背景なのだが、ここのプリントが素晴らしく、結構なんでも相談に乗ってくれるし、Tシャツの件も聞いてみていいと思う。

日本語スタッフもいる。LINE対応可能。神か。

誰に教えられたか聞かれたら、「メトロノームのデザイナーの記事にすごくよく書いてあったんで〜」と言ってくれたら幸いである。次から安くして頂く。


2.デザインを起こそう、頼もう


これに関しては、Illustrator、Photoshop等のソフトで作成しよう。

と軽く言うが、それができない人も多いのだろう。

知り合った人が、職業イラストレーターや、そう言う形で絵を書いてる人であればいいが、周りにいない、自分が上記のようなアプリで作成できない場合は、問答無償でクラウドソーシングだ。ランサーズやクラウドワークスで、コンペ式で集めればいい。相場は予算と合わせながら、自分で調べてくれ。

でもこれを気に覚えよう。これは結構簡単な「例えば文字だけ」や「パロディーもの」であれば、すぐ作成できるようになる。ググれ情弱よ!

ルールではないが、なんとなく

・サイズはA3までで作成、それ以下であれば、むしろA3アートボードを作成し、その中で決める。
・色味はPANTONE パントン(パントーン)

は守ろう。これは後からのプリント屋さんが、大体この使用が多い。スムーズにいくことが多くなるので、逆に守っておけば慌てることもないかと思う。


3.ネームタグ、ケアラベルを作ろう、頼もう


結構いろんなところがあるが、ここは昔帽子で作成し、なぜか制作実績で掲載されてたので、ここでいいと思います。

ブランドのプリントネーム/織りネーム、品質表示タグ(オリジナルであれば生地に書いてあるのでそれを入れる、在り物はそのまま使用するか、カットして使用するならその「表示のまま」を使用し、問い合わせを「自分の会社や屋号にする」)を作成しよう。


枚数は必要最低限で、ミニマムでいい。

ネームは僕の中で、余ると困る物No.1である。


4.プリント屋に頼もう、時間があれば自分で刷ろう


色んなプリント屋さんがいるが、僕の実背景を2つここでは紹介する。僕のはあくまで東京だが、近場でいいところ、ボディを持ち込みできるところがあれば、そこを利用しよう。

(ちなみに最初は、多分どこでもアパレルじゃないと持ち込みは嫌がられます。家立てるときに工務店にIKEAの照明やラックを渡すような感じです)


ここに、3でできたデータを納入(送付、添付)し、そのショップの方とプリント位置や印刷方法を決める。

3のルール的な物に入れなかったが、シルクスクリーンなら、3色くらいまでが理想だろう。それ以上になると結構高くなる。1色で済ますのが一番安いのは言うまでもない。シルクスクリーンならね。原理はこちら。

色が多いなら転写もあり。むしろそっちの方が安くすむ可能性もある。

一長一短です。ここは作成したデータを元に、工場の人と相談しながら考えてください。ここから次回には「こうすればいいんだ」と言うことがわかってきます。

ただし、「コストのために作りたかったものを作れない」では本末転倒です。

デザインと、このプリントは本当に後から要になっていくので、よく考えてください。


5.ネーム、ケアラベルを付ける、切り替える、畳み包装を頼もう


さて、上記の流れで出来上がってきたプリントされたTシャツ。

在り物ボディを使用した場合、バンドの物販や、会社の催し物で使用する時は、事実ここまででいい。

オリジナルボディや(オリジナルならもうネームとかはついてるけど)、あり物ボディに

・自分のオリジナルのブランド名的なものを付ける
・それに付随するケアラベルもつけたい
・綺麗に畳んで包装して欲しい

と、販売するクオリティにまで持っていくには、簡単に

・在り物ボディなら、既存のネームやケアラベル、タグをリッパー等で外す、もしくは切る
・そこにオリジナルのものを縫い付ける
・100均等で買ってきたOPP袋に畳んで入れる

を自分でやればいい。これもググれば出てくるよ。(これがなんとなく初心者にはわかりやすいと思う。)

で、これを自分でできないであれば、近くのクリーニング屋や、お直し屋さんで相談すれば、結構やってくれる。

僕の実背景はここ。(最近全然使用してないな〜…)

下げ札なんかもつけたい場合はこの工程で。サイズが分かりやすいように、向きまで指示できるのでそう言うところはしっかり指示出ししましょう。(例えば下げ札の向きは、サイズが表記されてるのを袋から見てわかるように表にしてください、等)


で、晴れて包装されたTシャツができました。ここまできたら、もう立派な商品だ。

なんとなくの値段を書く。高めに書いてるが、この内容なので、そこは察していただきたい。


・ボディ 在り物 1着 300~500円、300円としよう
・シルクスクリーン作成代 2版 8000円 x 2 =16,000円
・プリント代 1枚 1ショット150円、2色で300円
・ネーム代 50枚 10000円
・ネーム切り替え、包装代 1枚 150円

教授の実例、30着作成、ケアラベルは既存のもの使用

300円x30枚=9,000円
シルクスクリーン代金 16,000円
プリント代 300円 x 30=9,000円

ネーム代金 10,000円
ネーム切り替え、包装代 150円 x 30 =4,500円

Total 48,500円
48500円 ÷ 30枚 = 1,616円 / pce

(分かりやすいように外税にしました)

ここから、実際はもう少し安かったのだが、これがアパレルなら、単純に原価率は上代から30%と考える。

単純に1,616x3.5(ここはマジ単純にね)=5,656円

教授のTシャツは、実売しようとすれば、定価5,656円である。


まあまあの値段だなオイ教授Tシャツ。。。


6.総括


ぶっちゃけ、ここまで読んでいただいたらお分かりだろうが、Tシャツブランドはここまでの工程で作れる。事実Tシャツは僕は

・いいデザイン

が全てだと思う。そこにブランドとしてやるなら

・Tシャツの生地感、素材の良さ

等が関わってくる。

今回、教授が使用する為で少数で、その上なぜかこだわりで、オリジナルでネームタグを使用する、という「生産する枚数が少数だと高くつく」を地でいく事になった。

お分かりだろう、

「数が少なければ単価は高くなり、数を多く作れば単価は安くなる」

これは、どのような製造業も同じだと思う。なのでここをもっとブラッシュアップしていけば、自分の「一番いい枚数、数字」ができてくるであろう。

ただこれが昨今の製造業を苦しめてる原因でもある。

「数の暴力」という、今時合わないことを行ってくる上からの人もいるのだ。なので、もしするのであれば、「作っていただく方々」には、なるべく優しくして接していただきたい。数の暴力についてはまたどこかで書きます。


僕が言いたいのは、この上記の工程が全てで、Tシャツブランドできるじゃん。


「やりたいな」と思ったら、すぐにやっていただきたい。


売るところは?

これだよ。無料でも有料テンプレートでも。基本ECサイトは最初は無料を使用してればいい。

後から本気になったら自社(自分)のオリジナルを組んだ方が手数料が抜かれないからいい。クラウドワークスやランサーズでも「ECサイト作成」でできる。

いわゆるこれが、昨今言われてるDtoCなのだよ。

この販売までの工程が、TシャツブランドのDtoCの始まり。



僕たちが「当たり前」にやってることが、時として他人では「面白いこと」になることが多々ある。今回のこの記事はそう思い立たれたので書いた。

皆さんはどうだったでしょうか。


僕は、僕のメガネの製図同様に、”肌につけるもの”の作成、工程、スキームなんかはもうオープンソースでいいと思うのだ。

それを知らない人が興味を持ち、いじりだし、ワードプレスのようにブラッシュアップしていくべきである。


いざとなれば、上記の他に、あとはSEOを徹底的にやれば、これだけでも販売し、食べていけると思う。

作成工程という、

「実際知らなかったけど、そんなものなのか」

と思うことは多々あるし、僕もそう思うことは多々ある。


ただ、「ああ、じゃあやってみようかな」と思うけど、結局何もやらないよりは、僕は60才の教授がこれをやったと言う、教授のことを褒めたくなる。


思ったら行動に移すべきで、失敗は勉強よ。

素敵なものを作っていきましょ。


では。


Bisei

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