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ドライブ in 雨

雨の日のドライブは格別だ。もちろん、快晴の空のもとを走り抜けるのも楽しい。ただ僕にとって、雨に打たれながら走るのは何にも代えがたいほど幸せ。

どこまでも続く雨雲に覆われた街はどこか寂しげだ。心なしか、通りを歩く人々は俯きがちになっているようにさえ見える。視界におさまる全ての物事が、どこか憂いを帯びたよう。

濃い灰色にだんだんと染まる雨雲に呼応するかのように、雨脚が少しずつ強まっていく。やがて、先ほどまでの漫ろ雨(そぞろあめ)が嘘だったかのようなざんざ降りになった。

車の屋根に容赦なく雨粒がぶつかる。その音は、パラパラというよりもゴーゴーと聞こえた。増水した川が発する音に似ている気がする。

ただ、これがまた至福のひと時なんだな。なんでか分からないけれど、この音に包まれると不思議と安心できる。なんだか、守られているっていう感覚になるんだよね。

確かに、「ワイパーが面倒くさい」「視界が悪くなる」とかっていう不都合な面がある。だけどやっぱり、雨の日のドライブは面白いんだよなあ。

不便さも醍醐味のひとつっていう感じね。




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