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今日もどこかで、お風呂が沸きました。

11月のとある日、学生時代の親しい友人に会うべく、秋田から新潟へと向かった。

先週までは半袖で過ごせるほど暖かかったのに、今週は随分と冷えるようだ。お天気アプリによると、西高東低の、いわゆる冬型と言われる気圧配置になったらしい。

例年の秋田なら、12月あたりから冬を感じさせる天気になることが多いのに、今年はやけに早い気がするな。もしかしたら、11月中に雪が降ってもおかしくないぞ。

友人の家では、刺身や唐揚げ、カキフライなどを肴(さかな)に晩酌を楽しんだ。不思議なもんで、友人との話のネタは尽きることがない。学生時代から社会人時代にかけてのあれこれを思い出しては、昔話に花が咲く。

「風呂、入るっしょ?」
そう言うや否や、友人は不意に立ち上がり、お風呂を沸かすボタンを押した。冬の寒さで冷えた体に、お風呂はありがたい限りだ。

20分ほど待っただろうか。軽快なメロディーとともに、聞き馴染んだ女性の声で「お風呂が沸きました」というアナウンスが流れた。

「あ、これ俺んちも一緒だぜ!〇〇んちも同じなんだな」
「へえ、そうなんだ。同じメーカーなんじゃね」
「多分そういうことなんじゃないか」

NORITZ(ノーリツ)。モニターに記されたこれが、どうやらメーカー名みたいだ。スマホで調べると、「お湯はり完了メロディ」なるもので、日本国民の3人に1人が聞いているらしい。2021年には、この音声が商標登録されたそうだ。

日本の夜に、多くの家庭でこのメロディとアナウンスが流れているんだと思うと、なんだか感慨深いなあ。それに、どこかしらでは全く同じタイミングで流れていることもあるんだよね、きっと。

面白いなあ。なんか親近感がわいちゃうよね。

今日もどこかで、お風呂が沸きました。
実家に帰ったら僕も、お風呂を沸かそう。

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