レンズによる見え方の違いを知ろう
さて、レンズに関しては撮影監督(DOP)の領域と言いましたが、
DOPと監督が話し合って、レンズサイズを決めるということは珍しくありません。
これまで習ってきたフレーミングですが、実は同じフレーミングでもレンズによって全く印象が変わるのです。
まずはこちらをご覧ください。
レンズには基本として広角と望遠があります。mm数が小さいほど広角で、大きいほど望遠となります。見た目だと広角ほどレンズの長さが短く、望遠だと長くなります。
一般的な使い方はこちらのように、遠くにあるものを大きく映したい時に望遠を使っていきます。そのため、ワイドショット(WS)の場合は広角、クローズアップ(CU)だと望遠というのが、よく使われる方法です。
しかし、最もレンズの効果違いが出るのは同じオブジェクト(対象物)を違うレンズで同じサイズに撮影する際です。
こちらを見ていただければ、一目瞭然。こちらは全く同じモデル、ライティング、フレーミングで、レンズの種類だけを変えたものになります。
カメラの位置は当然、mm数が大きいほど、オブジェクトから離れていくことになります。この距離は後ほど説明する背景の見え方と関係してきますので、覚えておいてくださいね。
オブジェクトの距離とレンズの種類が適切ではない場合、被写体が不自然に見えてしまいます。その理由は歪みです。
mm数が少なく、被写体が近すぎる場合は被写体が潰れるように細く写ります。また、背景も丸く歪んでしまいます。
逆にmm数が多く、被写体が適正距離にないと、膨張して膨らんだように見えます。
一般的に使用頻度が多いのは35mm~70mmの間だと思います。またズームレンズとしても最も使い勝手が良いのではないでしょうか?
基本的に18mmや24mm のレンズはロングショット(LS)当に使います。
そうすることで、奥行きのある開放感のある画面に仕上がります。
35mmになるとワイド背景からミディアムショットと使いやすくなってきます。
こちらの50mmのレンズは一般的に最も使用されているレンズだと思われます。
その理由は適度なボケと人物のクローズアップ(CU)と物のインサート用のディティールがはっきり美しく撮影できる等々、人によっては最も美しく映ると感じる方もいらっしゃるかもしれません。
一般的に50mm~85mmが人物の顔を映すのに適していると言われております。
さて、ここからは背景の見え方について言及していきたいと思います。
こちらも、見ていただければわかるようにmm数の小さいものほど、背景が広く、はっきり写ります。そして、mm数が大きくなるほど、背景は狭く、ぼやけて見えます。
基本的にmm数が小さいほど、背景がはっきり見えるため、手前と奥で同時に別の出来事を映し出すことができます。
逆にmm数が大きくなると、オブジェクト以外はぼやけるため、観客とキャラクターとの親密性が上がります。
さて、これらの基本的なレンズによる見え方の違いを知った上で、どのように映画のストーリーテーリングへ活用できるのでしょうか?
次回、一歩先のレンズ使いをご紹介。