step2. 一文で伝わる文章の書き方 ログライン:実例編
前回、ログラインを構成する4つの要素を中心に重要な項目を解説しました。
今回はさらにより良いログラインのためのヒントを実例を交えながら解説していきます。
ちなみにこちらはテンプレ通りの優秀なログラインとなります。すでに前回ご紹介していますね。
上記のテンプレートを見比べてみてください。
こちらのログラインもテンプレートに沿った物になります。
テンプレートはブレインストーミングのための良い方法ですが、最終的にはそのままでは製品にはなりません。
ログライン・ジェネレーター (テンプレート) は、あなたが書きたいキャラクターの方向性を示すことができますが凝り固まった形式は、どこか精彩を欠いたものになってしまいます。ですので言葉を選び抜いて精度を上げるか一工夫が必要になります。
素晴らしいログラインの例を見ると必ず皮肉(アイロニー)を見つけることができます。皮肉はコメディ映画のログラインの基本ですが、それは主人公の挑戦を最も困難なものにします。
正反対の性格を持つ者同士を組み合わせ、水に浮かぶ魚のように配置することで、物語が形作られていきます。
『羊たちの沈黙』では、連続殺人犯が他の連続殺人犯を捕まえるために採用されるという皮肉が込められています。
さて、こちらのログラインはテンプレートで示された4点をきちんと踏まえながら皮肉を加え、より魅力的な文章となっています。
賭けの要素はゴール(目的)と相まって素晴らしい効果を生み出します。
賭けの要素が大きくなればなるほど、読者の最後まで見届けたいという気持ちがより強くなります。
ステークスを取り入れることは、ログラインの基本です。1994年に公開された『スピード』という映画のログラインを考えてみましょう。
「バスの速度を50マイル以上に保つこと」がないと、このログラインはステークスだけでなく、私たちを魅了する要素も失ってしまいます。
このステークスの別例を見てみましょう。
このようなステークスはコメディー要素にも応用できます。
ここで一つの例外を見て頂きましょう。
プロデューサーのアシスタントは、一日中ログラインに目を通します。
そうすると全てのログラインが同じものに見えてきます。
これまでに紹介したヒントは、構成や方向性を示すものですが、映画のログラインを本当に素晴らしいものにするのは、既成概念を覆すことが大事です。
この「Pirates of the Caribbean」のログラインは、まさにそれを実現しています。登場人物の名前が書かれていますが、"Captain "という言葉を注意深く引用符で囲むことで登場人物を表現しています。また、ログラインの途中で誘因となる出来事を変えています。そして最も重要なのは、文章の最後にひねりを加えていることです。ここでのひねりは"死んでしまったジャックのかつての海賊仲間"という、興味を惹くある種のパワーワードを使っているところです。
ログラインの重要なポイントはエンディングを書かないこと。
例えそれが未来の『ユージュアル・サスペクツ』であっても、
脚本の要となる大どんでん返しを明かしてはいけません。
サプライズエンディングは、この先の文章資料を読んだときに読者が発見する素敵なボーナスでなければなりません。
忘れてはいけないのが物語上の重要な要となる世界観をきちんと伝えるセットアップを盛り込むことです。
例えば…
脚本の中には、私たちの世界とは異なるルールで動いているものがあり、それを説明するために簡単な設定が必要になるものがあります
(例:ほとんどのSFストーリー)。
また例2のように、主人公の個人的または心理的な歴史が物語にとって重要であり、それを説明する必要があるものもあります。
私たちが期待する情報を伝えながらも、ログラインには映画のテイストがなければなりません。そのためには、自分の映画や番組のイメージを膨らませることが大切です。絵コンテの使い方を知っていると、この作業が楽になります。
さて、ここまで学んできた皆さんにもう一つ伝えたいことがあります。
ログラインは交渉(コミュニケーション)の手段です。そのためには最良の手段を見つけ出すための努力が必要となります。そして、常に忘れてはいけないのがログラインの役割。
それでは最後に幾つかの名作のログライン例を紹介してログラインに関する講義を終えたいと思います。
練習として、ぜひテンプレートにある4要素を探し出してみて下さい。
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