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四方四季の庭 春

Atelier METEORITE_SOLEは2023年1月16日をもって2年目を迎えました。
ありがとうの感謝を込めて五行と四季を重ね、五臓(内臓)の働きに合わせプレミアムオイルをマリアージュさせたオイルを春夏秋冬と土用の5種のブレンドにて全身を余すことなく花々の饗宴を施し包み解します。

今回はそのうちの1つ春のご紹介

青くうねる春の恋:ネロリ×マグノリア

春が司る五行は肝。
イライラや自律神経、眼精疲労に。
春雷はまるで初恋、
花霞と桜流しの雨は初恋との永訣。


永訣の春

「泣かないで、夏の姫」

「……っ!だって、真魚…っ」
ぽろぽろ、ぽろぽろあなたの目から流れるルビーの涙がただ美しくて思わず呼吸すら忘れてしまいそう。

まるで初めて会ったあの日のように春雷が胸を穿つ。不思議ね、春はもう終わるのに。

そう、春。
わたくしたち春の民はときめきに身を焦がすような恋をできただけで、そのときめきだけで
永遠を生きてゆけますわ。
この身全てをこの地に溶かして。

「ふふ、泣き虫さんですわね。ルビーがもう両手から溢れてしまいますわ」

だからどうか泣かないで

「御世子様、わたくしはこれからこの地に溶けますがこれはお別れじゃないですわ。
一つになりますの。大地に、空に、大気に…溶けていつまでもそばにいて生命の全てを育みますの」

それ以上泣かれますと、わたくし見て見ぬふりをできなくなりますわ

「…ぅっ…ん…うん…」

我が君よりも あなたが好きだと

「…っ、真魚が産んでくれる全ての自然と恵みを照らすよ、この夏の灯で」


そのルビーの涙でわたくしは永久に幸福なのです。

「だからたまには私のところにも何かサインをくれたら嬉しい、ここにいるよって、真魚の」
「もちろん!春雷は毎年この四方四季の庭に落としますわ!」

ふはっ、と御世子と呼ばれた夏の姫が笑う。

「雷ぃ?!主君の側にまさかの雷??」
「あら、特別なんですのよ?春の雷は」

夏の姫と春の姫が立場を超えて小さかったあの頃の様に無邪気に笑い合う。
最後に映し合うのが笑顔であるように。


…我が君、我が黄の君
この思いを抱いたまま大地になることをお許しくださいね



ほんのかわいい初恋ですの

わたくしの一世一代の
御世の子は貴女


世界の全てに恋してる。
そんなときめきとちょっとビターな気持ちを添えて。



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