最愛のひと、それはお父さん(4)
突然ですが、わたしは2回目の結婚で、もうあきらめていたときに赤ちゃんを授かりました。
年齢は40歳になっていました。
当時、わたしは再婚して1か月目で、元夫が浮気をしていたことを知り、殺人者と呼ばれて鬱になっていた結婚生活をおえて、ようやく今度こそ幸せになれる…と思っていた矢先のことだったので、さすがに元気なふりができなくなってきていました。嘘、ここに極まれり、ですね。
ですがわたしは、子供のころから一本筋の通った
”泣いても仕方がない”
”誰も助けてくれないんだから自分でやるしかない”
の人間でした。
結婚前の最後のデートだからと、たしか4連休か、5連休くらいとってくれたお泊りデートが、遠方の友達のところに行くことになったからという理由で2日間だけいっしょにすごすことになりました。
わたしは全く疑いませんでした。
結婚したらなかなか会えなくなるから、いまのうちにあいさつに行きたいという彼の話を聞いて、気持ちの優しい人なんだなあと、さみしいながらも、そんな人と結婚できることをうれしく思ったことをよく覚えています。
今だからこそ、結婚の約束をしている女性をおいて友達に会いに行く行動は不自然だとわかりますが、当時は、ただただ、彼を信じていたんですねえ…まさか、浮気相手に会いに行くとは、爪の先ほども思っていませんでした。
お人よしというか、無知というか、まあ…お馬鹿さんだったんですネ…
だけど、それでも彼は、尽くしてきたつもりの愛する人から殺人者だといわれて、だれにも相談できずに鬱を隠して仕事していた、愛されることに飢え切っていたわたしに、優しくしてくれた人、でした。
嬉しかったなあ…
いまでも、おぼえてるもん…
嬉しかった…
だれでもいいから、優しくしてほしかった…
だから、彼があらわれて、優しくしてくれて、嬉しかったなあ…
彼との馴れ初めは、インターネットでした。
わたしは、以前にも書いたように、朝となく夜となく働きつづけていました。働くことで、なんとか正気をたもっていられたので、少しでも暇な時間を作りたくありませんでした。
そんな私に、誕生日が来てしまいました。
私は、自分の誕生日をお祝いする気持ちになれませんでした。自分の存在への無価値感は、隠しきれないほどになっていましたが、友達にじぶんの惨状をさらすわけにはいきませんでした。なにしろ、心配をかけてはいけないと、強く戒めていましたから。
だけど、せめて、誰かと話をしたくて、わたしは雑談チャットというものを検索して、ひらかれたページをただ、眺めていました。
そこには、ひとの名前らしきものがいくつか書かれていました。
そのなかに、とても可愛らしい雲のイラストがありました。
雲には、にっこりとかわいらしい笑顔が描かれていて、イラストを描くことでじぶんを慰めていた私は、こころが優しくゆるむのを感じて、おもわずその雲のイラストのアイコンをクリックしました。
”こんばんは”
そうして、会話がはじまりました。
わたしの心はボロボロでしたが、それでも、雲のイラストがわたしを慰めてくれました。
そして、あいさつをすると、見ず知らずの人ではありましたが、あいさつが返ってきました。他愛もない会話をほんの少しして、わたしたちは電子画面を通した会話を終えました。
この彼が、わたしの娘のお父さんとなる人であり、わたしが、バースヒーリングコンサルタントという、ちょっと不思議な仕事をはじめるきっかけになった人であり、おたがいの心のトラウマを癒しあい、愛になるための奇跡のような道のりを、一緒に歩いていく相棒となりました。
この、未来の相棒は、わたしの電話番号を教えてほしいと、しきりに頼んでくるのでした。
携帯の充電はきれていて、わたしは自分の携帯電話の番号を、すぐにおしえることができませんした。なので、明日まで待ってくれたら連絡するからと約束したのをおぼえています。
今から思うと、なんて無防備で、無知なんだろうと思います。
愛し合って仲良く9年も過ごしていたはずの伴侶にさえ、殺人者といわれるほどのことがおきたのだから、もっと異性に用心すればよいものを、わたしは全く学んでいませんでした。なぜなら、自分が悪いんだと思っていたからでしょう。相手は善い人で、わたしは悪い人だから、こんなことが起きたのだと解釈していたのだと思います。
だから、今回こそ、善い男性のはずでした。
わたしのような悪い女性に優しくしてくれる、とても素敵なひと。
そう感じていたのだと思います。
でも、1度目の結婚で学ばなかった宿題は、あっという間にやってきました。
それが、再婚して1か月目でわかった浮気でした。
1度目の結婚では殺人者。
そして幸せになるはずの2度目の結婚では…
OH!JESUS!!
わたしは、なにか大きな存在から、
”人生を変えなさい、生き方を改めなさい、学んで、賢くなりなさい”
そう言われていたのです。
だけどそれに気が付くのは、まだまだ、先のお話し…。
つづく
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