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砥石

私は恋愛経験が乏しい。全く垢抜けておらずいつも悩んでいる。いわゆる箱入り娘のような扱いをされてきたためである。それでも2年前そんな私を改造しようと試みた人がいる。

氏の分析によると私は世の中を斜めに見ている暗い子に見えたらしい。氏は免疫のない私に免疫をつけようと予防接種と称して所謂デートと呼ばれるものを設定し甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた。そのおかげでだいぶ慣れてきて2人きりで男性とお話することが普通にできるようになった。

君は磨けば光るよって言われて世話になっていたのだが、今は世話になっていない。さらに今は世話を焼いてくれる人や、構ってくれる人が増えた。氏とは違う方法で磨いてくれている。感性、身だしなみ、知性などなど。

刀を研ぐときには砥石を使うのが一般的だと思う。今の私は多種多様な砥石で研がれているようなものだ。1種類の砥石で最初から最後まで研ぎあげるものは少ないだろう。綺麗に研ぎあげたいと思えばなおさらである。

私が研ぎ上がるのはいつだろうか。今は分からないが、垢抜けて強く美しさの見いだせる私になりたい。そして仕上げをしてくれた人には研ぎあがった私を自分の心身を預けられるものとしてそばに置いていて欲しい。



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