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(連載3)クラウドファンディング出版をやってみて、凄いことを発見した。


 橘川幸夫の新刊「企画書ver2020」(仮)プロジェクト(ご支援、よろしく)

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1.クラウドファンディング出版を行う前に思っていたことは、こういうことだ。

◇新刊を出したいのだが、既存の出版社に任せっきりにしても、出版業界の通常の流れに乗るだけでは、破綻しつつある鉄道の線路の上を走るだけで、先の展望がない。著者の側で何か模索しなければならない。

◇Amazon使ったオンデマンド出版や、PDF書籍販売など、いろいろ可能性を試してきたが、通常の書籍を作るにはどうしたらよいか、と考えて、印刷制作資金をクラウドファンディングで調達しようと考えた。

◇募集金額の50万円あれば、手数料や送料などを引いた金額でも、1000部の一般書籍の印刷費がまかなえる。50万円は最低目標クリアー金額なので、目論見としてはそれ以上、集めたい。それで、1000部が出来れば、あとは内容次第だが、イベント会場での販売や、研修会のテキストとしての販売も見込める。

◇使える出版社のコードは持っているので、書店配本はしないが、書店からの注文、Amazonなどからの注文は受けられる。そうやって、すこしずつ、売っていけばよい。ただし、既存流通での販売公開は、夏ぐらいからにしたい。

◇なによりもクラウドファンディング出版の効果は、お金を集めてしまったら、原稿を仕上げるしかない、ということだ(笑)。出版社の編集者は締め切りの催促に来るが、クラウドファンディング出版の締切のプレッシャーは大きい。原稿が仕上がらなかったら、詐欺だからな(笑)

2.読者の顔が見える!

 やってみて、すぐに分かったことだが「読者の顔が見える」。これは凄いことだと思った。支援してくれる人たちのコメントに勇気づけられることもあるが、何よりも、書籍の購入者が明確になるということだ。本を出して、読者の顔が見えるのは、連絡をいただくか、読者カードによって把握するしかない。友人で累計200万部の本を出した人がいるのだが、彼のところに5万人の読者カードが届いたと聞いたが、それは超特別。

 だいたい、これまでの出版業界は、読者カードを顧客データとして管理・利用しているところは少ないだろう。バブル以前は、読者カードを手作業で名簿にして、新刊案内を送ったりする出版社もあったし、僕が学生時代には、あちこちのユニークな出版社に葉書で「出版案内を送ってください」と連絡して情報を集めていた。しかし、バブル以後、経費削減で、出版社のPR誌も出せなくなり、読者カードも、著者が頼まないと入れてくれないところが多い。「顧客の組織化が重要だ」というような本をたくさん出しているのに、自分たちは何もやらない。自分たちで販売してる商品の中身を信用していないのか(笑)

 昔、ベネッセのKさんと通販向けの雑誌を作ったことがあったが、「書店でも販売しよう」と僕が言ったら、「そんなことして、読者の情報が集まるんですか」と聞かれた。なるほど、通販業界は、基本がワンツーワンマーケティングだから、書店で、いくら部数を販売しても、チラシ程度の意味しかないんだな、と思い知らされた。

 クラウドファンディング出版を開始して、「読んでくれる読者の顔」が一人ひとり思い浮かべられる。最初は関係者だけだが、昔のクライアント企業の社員の方だったり、今年の夏に一緒に企みを予定していて、まだ面識のない人などが支援のコメントをくれて、なんか、本を出す前から嬉しくなる(笑)。そうした人たちの顔を思い浮かべながら、原稿を書くのは、なかなか楽しい。

 あらゆるサービス産業が、CRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)を追求していた時代に、大半の出版業界は、ノータッチであっただろう。

 そうこうしているうちに、ケイクスのnoteが「サークル機能」を公開した。加藤くんがやろうとしていることとは、時代の中で通底している(笑)

★サークルとは

3.流れが見えてきた。

1.クラウドファンディング出版で書籍を印刷する。初版部数のみ。


2.既存の出版チャネルを使い、書店や読者の注文に応じる。ただし、なるべく、読者が顔を見えるような販売方法をとりたい。一般販売する書籍には、ミニコミを入れたい。Amazonの仲間卸取次機能の動きは、注目である。


3.クラウドファンディング出版の支援者を中心に、サークルを作り、書籍内容へのフィードバックや意見を集める。その動きの中で、新しいプロジェクトや、次の書籍企画を検討する。noteのサークル機能は、読者カードの個別プラットホーム化になる。


4.橘川の方式をプロトタイプとして、他の書籍発行者にも、使える機能を提供したい。新しい出版発行のエコシステムを作るぞ(笑)


▼以下もご一読ください。

(連載1)僕が、クラウドファンディング出版を始めた理由。

(連載2)Amazonが書籍取次を開始。

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