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(連載2)Amazonが書籍取次を開始。


 僕が「クラウトファンディング」を使って出版をしようとしていたら、Amazonの新しい動きが伝えられた。実になんというか、時代の流れの中にいる感じを得た。

アマゾンが小規模な書店に「仲間卸」 事実上の「取り次ぎ」業務開始へ

 Amazonは日本に上陸して、日本の書店に大きな打撃を与えた。そして今、日本最大の書店となった。僕も本を買うときはAmazonでポチることになる。Kindleで読む電子書籍はAmazonでしか買わない。

 そして、その構造が確立したところに打ち出した政策が「仲間卸」である。出版流通の歴史で言えば、戦前は出版社で自社の本を直接、書店に配本していた有力出版社が、仲間の出版社の本も、一緒に送品するようになった。それが仲間卸であり、神保町にあった神田村は、そうした出版社流通が集まった場所であった。戦争になって、国家による左翼思想の検閲制度を行うために、仲間卸の取次を集約させた歴史を経て、戦後出来たのがトーハンと日販などである。(ちょっと、急いで原稿を書いているので、誤解があるかも知れないが、あとで確認する)

 まあ、細かいところはよい。戦後社会は、大手2大取次と専門的な取次が出版業界を作り、時代の節目節目のニーズに合わせた書籍を大量流通させてきた。それが戦後文化である。

 21世紀になって、インターネットの波が、あらゆる産業や生活の隅々に流れこんできて、今、私たちは、インターネットの海の上で生活している。それがプラットホームというものである。既存の産業構造や流通システムは、アトランティス文明のように、やがて完全に、この海の下で眠ることになる。生き延びるためには、この海の上に、新しい文明を築くしかない。

 だから正確に言えば、Amazonはプラットホームではない。インターネットそのものが僕らの新しいプラットホームであり、Amazonは、インターネットの海の上に作られた、巨大な海上都市である。

 Amazonが仲間卸をはじめる。大手出版社のベストセラーは、既存の取次が大手書店を優先的に配本するので、小さな書店には回ってこない。せっかくの商機を失って、地団駄を踏む書店も少なくなかった。そうしたニーズに対応するとAmazonは言っている。しかし、これは、スタートラインだろう。やがて、取次のパターン配本には馴染まない専門書とか、特殊な企画本も、Amazonの仲間卸で売りたい書店に回せることになるかも知れない。更に進めば、僕が今度やろうとしている「クラウドファンディングによる自費出版」のようなものでも、既存取次を通さなくても、希望する書店があれば配本出来るようになるかも知れない。

 インターネットのプラットホームビジネスとは、いわば、時代の地上げ屋である。古い都市構造を更地にしてそこに新しい高層ビルを建てるようなのだ。古い都市構造にノスタルジーのある人は生理的に嫌悪するだろうが、それが時代の必然である。むしろ、日本の大手取次が、なんで、自分たちで、取次プラットホームに移行しなかったのかと思う。既存の構造をそのままにして、巨大な配本システム情報と物流ロジステックをマニアックに追求するだけで、新しい大地に新しい神田村を建設する方向には進まなかった。

 大手取次も、70年代に僕が通っていた頃は、地下に仲間卸用の書棚があって、小規模の書店の人は、そこに直接来て、自分の書店で売りたい商品を卸価格で購入していた。出版社の人間も、そこに入れて、卸価格で購入出来た。しかし、80年代になって、パターン配本のシクミができて、そうした個別対応をやらなくなった。そのシクミをAmazonというプラットホームで再現出来るのではないか。むしろ、なんでトーハンや日販が、その制度をネット上で復活させなかったのか。

 日本橋三越にビックカメラがテナントとして入る。デパートには、昔は自前の家電売場があった。家電の成長を見ていたわけだから、その売場のビジネスを拡大していけば、ヨドバシもビッグカメラもヤマダ電機も、今のような規模にはならず、むしろ既存のデパートが大量家電の販売センターになれたのである。なぜそうならなかったのか。新しいビジネスに取り組むことより、立地を活かして大家さんになって、化粧品や外部の販売店をテナントとして入れた方が安定して儲かると思ったからである。

 出版業界の取次や書店も同じである。既得権益のビジネス構造に執着した結果、新しい時代の流れの中に沈没していった。

 さて、次は、僕らの番である。Amazonが取次ビジネスの地上げをしてい中で、著者は、既存出版社の構造を撃っていかなければならない。

以下のドキュメントを連載中である。ご一読を。

(連載1)僕が、クラウドファンディング出版を始めた理由。

(連載3)クラウドファンディング出版をやってみて、凄いことを発見した。

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橘川幸夫
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