ファイル_2016-10-03_5_59_42

欅坂46 有明クリライ2016と「熱狂するクラスター」

 クリスマスの夜にabemaTVで3時間余りの番組を見た。デビューして1年も経たないのに、という文言は聞き飽きた。てち(平手友梨奈)の圧倒的な存在感と、21人の個性豊かなメンバーの団結力、秋元康の言葉によるシチュエーション設定能力、SONYミュージックらスタッフのプロデュース能力と教育能力は秀逸である。イントロの「大人は信じてくれない」の最後で、てちが「有明コロシアム、かかってこい!」という言葉は、ドスがきいてるとかそういう質のものではなくて、存在を賭けて語るものだけが出せる声だ。てちは、平成の山口百恵という声が高かったが、僕は、平成の美空ひばりだと思っていた。天才とは能力ではなく存在感なんだと思う。

 ライブは、AbemaTVで見ていたのだが、視聴者数は160万人。過去最高だろう。AbemaTVは一度ダウンロードしたが、使わないので削除していたが、このライブのために再設定。はじめてAbemaTVを使った人も多いのだろう。

 Twitterは、僕のタイムラインには、ほとんど話題になってないが、欅坂で検索すると、膨大なツィートが発生していることが分かる。マーケティングのクラスターは、すでにパラレワールドになっているので、誰もが話題になっているものは実はたいしたことなくて、あることだけに「熱狂するクラスター」というものが存在している。そういう層を見つけていけば、160万人視聴のマーケットが見えてくるのだろう。

 若い人たちは、ガッツがなく、飽きっぽくて、責任感がない、と昔の若者が嘆く。そうなのではないと思う。若い人たちは、目的と目標を納得すれば、自分で情報を集めて指導者のアドバイスを素直に吸収する。努力することが嫌いなのではなく、努力に値しないものを押し付けられることを嫌っている。大人たちが、若い人たちを納得させるだけのテーマを与えられていないだけなのだ。なぜなら、世の中の多くの大人たちは、自分も納得していないような論理を、若い世代に押し付けようとするからだろう。

 欅坂を見ていると、なぜか、やがてスターや大物になるという気がしなくて、すげえメジャーからすげえインディーズが出てきたみたいな感じがした。それが乃木坂の方向性とは違うのだろう。たぶん、これからの時代は、メジャーが「熱狂するクラスター」というインディーズを産むという構造になっていくような気がする。クラスターとは、もともとは「ブドウの房」を指すものだったと聞いた。全体が熱狂するのではなく、小さな房が一つずつ熱狂していけば、全体も活性化していくだろう。

 欅坂46は、ロッキング・オンのCDJにも登場するようだ。幕張は寒いからね、体調に気をつけて欲しい。それにしても疾走しすぎ、働きすぎだよ(笑)

▼デビューの頃に書いたテキスト

「欅坂46」を散歩して。

ここから先は

0字

橘川幸夫の深呼吸学部の定期購読者の皆様へ こちらの購読者は、いつでも『イコール』の活動に参加出来ます。 参加したい方は、以下、イコール編集部までご連絡ください。 イコール編集部 <info@equal-mag.jp>

橘川幸夫の深呼吸学部

¥1,000 / 月 初月無料

橘川幸夫の活動報告、思考報告などを行います。 ★since 2016/04 2024年度から、こちらが『イコール』拡大編集部になります。…

参加型メディア開発一筋の橘川幸夫と未来について語り合いましょう。

『イコール』大人倶楽部 『イコール』を使って、新しい社会の仕組みやビジネスモデルを考えたい人の集まりです。『イコール』の刊行をご支援して…

橘川幸夫の無料・毎日配信メルマガやってます。https://note.com/metakit/n/n2678a57161c4