見出し画像

東海汽船「さるびあ丸」の横浜経由

日常の船旅が好き

船旅、それも普通の客船・貨客船の旅が好きだ。
豪華客船で非日常のラグジュアリーを楽しむようなことには興味がなくて、
風や波を感じながら、日常の移動手段として乗る船が好きだ。

長距離航路が好きだ。
東京湾フェリーや駿河湾フェリーも "日常" 感があるし、週末に乗りやすくて気分転換になるのだけれど、長距離航路は "旅" 感があって好きだ。
日常と非日常の間、豪華ではないけれど贅沢、近くて遠い、そんな船旅が好きだ。

朝から通勤にフェリーを使ってみたりして、生活の中に船移動を取り入れてみたりもする。

東海汽船

東海汽船は東京・竹芝から大島をはじめとする伊豆諸島への航路を持つ海運会社で、ジェットフォイルの他に貨客船と貨物船を運行している。
中でも貨客船は、竹芝から大島・利島・新島・式根島・神津島を結ぶ航路と、竹芝から三宅島・御蔵島・八丈島を結ぶ航路がある。

ちょっと特別な期間

大島〜神津島方面は主に「さるびあ丸」が、三宅島〜八丈島方面は主に「橘丸」が担う。ところが、この航路や配船はいくつか例外がある。

船には定期的なメンテナンスのためドック入りする期間や、イベントに駆り出されて定期航路から離れる期間がある。
そんな時に他の航路で使われている船が代わりを務めることがある。

例えば、橘丸がドック入りしている間は、八丈島方面にさるびあ丸が配船される。
小笠原海運が運行する、父島・母島へ向かう「おがさわら丸」がドック入りする間は、さるびあ丸が小笠原方面へ向かう。

例外は他にもあって、竹芝と大島方面を結ぶさるびあ丸が、横浜に立ち寄ることがある。
概ね毎月2往復、連続した週末に横浜経由となる。
金曜の夜に竹芝を出て横浜に寄って、土曜の朝に大島に。
土曜に大島を発ち夕方に横浜に寄って、土曜の夜に竹芝に。
そしれまた土曜の夜に竹芝から横浜を経由して大島へ、
日曜の夕方に横浜を経由して竹芝に…

ところが24年5月は、この横浜経由が3週続く。
5月の2週目、3週目、4週目の週末が横浜経由になる。
6月は2週目だけだ。

金曜夜は船で帰る

そんなわけで、5月のこの期間は船で帰ろう、ということにした。
自分は勤務先が東京駅の近くで、自宅は横浜で大桟橋からは徒歩圏だ。
食事をしてから22:00の船に乗り、23:20に大桟橋について帰宅しよう。

まずは仕事を終えて食事。
この日は博多料理を頂く。
店名がカメラを言い当てた。

ニコンね? 博多弁で「おいでよ」だそうな。カメラはNikon Zf

そして竹芝へ。
21:00に店を後にし、21:30に竹芝ターミナルに到着。
発券して、飲み物を買って、乗船。

さるびあ丸と、勝どきのマンション、スカイツリーなど

出航時には後から出発する橘丸を見たり、東京タワーやベイブリッジを眺めながら滑るように東京湾へ出ていく。

橘丸に見送られ
東京の夜景
ベイブリッジと東京タワー

海を眺めて過ごしあっという間に横浜に到着。

逆の航路で

竹芝を22:00に出ると夜景は見えるのだけれど、もう少し明るい時間にも乗りたい。
横浜から竹芝に向かう便は横浜を18:10に出発するので、今の時期はマジックアワーを船上で過ごせるはずだ。

ということで土曜日の夕方に横浜から竹芝に向かうことにした。

ベイブリッジをくぐるサルビア丸
つばさ橋、さるびあ丸、羽田発のJAL機

土曜の夕方の便は納涼イベントをやっていて、船内でレストランとは別飲食物の提供がある。
大桟橋でもチケットを売っているようで、ものすごい混雑となった。

横浜大桟橋に着岸するところ

いざ乗船。
自分のチケットは2等和室なので、部屋で雑魚寝はできるのだけれど、
甲板は納涼チケットの乗客で混雑。座れないし、立つのも難しい。
みな写真撮りまくり。

横浜の夕景を撮る人々
今度は自分でくぐるベイブリッジ
ベイブリッジ、みなとみらい、富士山
みんな同じ景色見てる
マジックアワーに下弦の月

ポテトと唐揚げを買って食べていたのだけれど…
あまりの強風でポテトは容器ごと転がってしまった。
それでも海と空と美味しいもの、吹かれて揺れて、潮の匂いを感じながら、光の波長の変化を楽しむ素敵な時間だ。

しばらくして羽田沖に。

スカイツリー、東京ゲートブリッジ、先を行く橘丸

橘丸が先を行くのを見ながら、日が沈み赤から藍へと空の色の変化を写す。

羽田に着陸するANA機
眩しい羽田空港、着陸するJAL機

船上では、東京湾内の名所や羽田への着陸便の案内のアナウンスがあり、観光船といった感じに。
ちょっと日常の船旅というにはエンターテイメント色が強まった。

レインボーブリッジと月

レインボーブリッジをくぐり、東京タワーにスカイツリー、東京の夜景が迫ってくる。
竹芝に着岸、下船。

売店に寄り、混雑が過ぎてから駅へ。

2週目の、船で帰る金曜日

そしてまた、金曜を迎えた。
仕事を終え、20:00に浜松町へ。

駅の中の寿司屋で軽くお腹を満たす。
軽く、なのは、船上でラーメンかカレーをと思案していたから。

今週も

自転車を持った乗客が多くほぼ満席との案内。
レストランは出港前にオープンしていて、乗船してすぐに入れた。

まずはこれ
そして海苔ラーメン

さるびあ丸のレストランは橘丸より広いな、そんなことを考えながら、
自分しかいない貸切状態のレストランで海苔ラーメンを頂く。
窓の外にはレインボーブリッジ。

さるびあ丸レストランからレインボーブリッジ

景色を見ながら船内の騒がしさをシャットアウト。
貨物ターミナル、羽田空港、ベイブリッジ… 見慣れた景色をトレースしながら大桟橋が近着く。

横浜の灯り
キラキラしたみなとみらいへ

大桟橋への着岸前に、船は大きく回頭する。
回頭しながら下船の準備が進み、船内から徐々に近着く大桟橋を見る。

まもなく大桟橋

横浜での下船は4人。
前の週は5人だったので、だいたいこんなものなのかもしれない。

横浜からの乗船はとても多く、やはり自転車を持った人たちが大半であった。

「東京から横浜までなんてバカじゃない?」とかなり大きな声で話されていた。
船バカ、旅バカかもしれないけれど、自分にとって生活の一部なのだからお構いなく。

乗降が済み出航へ
みなとみらい&東海汽船ファンネルマーク
よい旅を!

乗らない土曜日

乗っていると、景色は見えるのだけれども、
さるびあ丸そのものを見ることは難しい。

せっかくの特別な5月なので、横浜の風景とさるびあ丸のコンビネーションを楽もうと考えた。
地図とにらめっこして2時間、シンボルタワーと迷った結果、スカイウォークを試すことに。

この上がスカイウォーク

「スカイウォーク」は横浜ベイブリッジの大黒埠頭側から入る展望施設だ。
橋の下層を歩き、中央付近の展望フロア「スカイラウンジ」を経由して戻ってくる。
週末に解放されることが多く、ベイブリッジを通過する船舶を上から眺めることができる。
一方で閉館時間は18:00なので、肝心のさるびあ丸の入港にはギリギリでもある。

スカイラウンジから見下ろす赤灯台
スカイラウンジから

スカイウォークは屋外通路で、フェンスにはカメラ用の開口部がある。
スカイラウンジは屋内で、分厚い窓は塩や反射で写真には少し厳しい。
みなとみらい方面からのアクセスができず、横浜駅か鶴見駅から本数の少ないバスでアクセスするせいか、かなり空いていた。


大きな自動車運搬船2隻の出航を見送り
みなとみらいの夕景を眺め

AISで位置を確認したり、備え付けの双眼鏡(無料!)で沖を眺めながら待つこと2時間。

近付くさるびあ丸

信号旗は上から「第2代表旗」「O」「S」となっているようだ。
「大桟橋」のOSということらしい。

大桟橋に向かうことを告げる信号旗
ベイブリッジを通過

通過はあっという間だ。
湾内とはいえ大型船は速い。

横浜大桟橋へ
みなとみらい、さるびあ丸
夕日が眩しい

気付けば17:55、閉館のアナウンスもあり足早に退出。
バスで鶴見駅へ向かい、夕食を済ませ帰路へ。

たくさん撮れて嬉しいような、やっぱり乗りたかったような。
船の似合う横浜が好きだし、好きな船を撮るのも好きだなと思う5月。

3週目ももちろん…?

もう1週、横浜経由で運行されるさるびあ丸。
また乗るか? 乗り過ぎか?
また混むか? 天気はどうだ?

次はしっかり長距離で乗りたい気持ちもある。
悩ましい。

旅の悩みは楽しい悩みだ。
楽しい旅をありがとう、さるびあ丸。






遠くへ行きたいのです。サポート頂けたら何か撮ってきます!