絵を描かなくても「巧くなる」仕事です[アートディレクターの机]③
タイトル絵は、私がアートディレクター(以下AD)になったよ!と母に伝えた時のリアクションですw
で、今回は、ADの仕事で磨かれるスキルについてお話しましょう。
■役割をまっとうするため、ADは絵を描かない■
私がやっているAD業務では、ADは極力自分でイラストは描きません。
理由は、
・大量にイラストをチェックするため、チェック工数を確保するため。
・客観的に制作物を見る視点を確保するため。
です。
絵を描くと時間がかかりますし、自分で描いたイラストには多少なりとも主観が入ってしまうため、判断を迷わせやすいのです。
手を動かすのは、「赤入れ」と呼ばれる調整イメージの作成と、色調整、塗り残し・はみ出しの描き足し、画面バランスをとるための位置調整などの微調整ばかりです。
■そんなADが絵を描くと…?■
そんなんじゃ絵を描く腕が鈍っちゃうんじゃないの…!?と思われてしまうことでしょう。
でも、面白いことに、こういう仕事をしていて、たまに趣味の絵を描くと、上達を感じるんです。
そういう実感を得るADは少なくありません。
それはなぜか。
私は、「デッサン力が上がる行為を毎日しているから」だと考えています。
■デッサン力が上がる理由■
デッサン力とは、「ものを観察する力」と言い換えることができます。
絵がうまく描ける人は頭の中に形の情報を持っていて、それを応用して絵を描いています。
手をあげた人を描こうと思った時、右肩の上がり方、腕に引っ張られる筋肉、その時の足の開き方…etc etc。
そういう情報を、普段から人を観察して、頭の中に入れているのです。
私たちADも、毎日たくさんのイラストをチェックを通じて、どうすればよいイラストになるかというコツを多く発見します。
他のADがやっている案件を見て、勉強することもしばしば。
その積み重ねで、絵の見せ方が「巧くなる」というわけです。
■もちろんこんな練習もします。■
絵も描きますよ!
担当案件の作風を真似したイラストを描いて、コツを掴んだり、イラストレーターさんがつまづくポイントを学ぶADも多いです。
売れてるゲームの作風を真似できると、そのAD自身の仕事の可能性も増えますからね!
一石二鳥というわけです。
つづきます。
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