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タイパを重視するZ世代。平成オタクと令和オタクの違いとは

 こんにちは。MERY Z世代研究所の西村です。
Z世代といえば「推し」文化。その中でも、令和らしい「推し」文化が確立されつつあります。令和オタクの多趣味っぷりは、平成オタクと比べてみると歴然。どちらかというと「陰」なイメージもあった、平成オタクとは大きく異なっています。令和オタクたちって、どんな価値観?

 みんなにそれぞれの「推し」がいて、総オタク化が進んでいる今。なぜ、令和オタクたちの勢いは止まらないのか、Z世代特有の情報キャッチ方法とも絡めながら、考察してみました。

1. 平成オタクと令和オタクの違いとは?

 Z世代と「推し」文化は切っても切り離せない関係。Z世代がどのように情報を収集しているのか把握するには「平成オタク」と「令和オタク」を比べてみるのが有用です。

▼ 平成オタクたちは一点集中スタイル

 平成のオタク活動においては「好きなもの」と「それ以外」がふたつにはっきり分かれていました。お金や時間を費やす対象がある程度絞られていて、「好きなもの」だけに没頭する一点集中スタイルが主流。「オタク」といえば、ほとんどの人は「熱量がすごく高いオタク」をイメージしました。

▼ 令和のオタクたちはメリハリのある多趣味スタイル

 対照的に、令和のオタク活動は「特に好きなもの」そして「好きなものA」や「好きなものB」など多趣味ななければならないのが特徴的です。好きなものの中にも濃淡があり、その数も多く、ジャンルを問いません。
 そして「他人ベクトルの好きなもの」と「自分ベクトルの好きなもの」の2種類が共存していることが多く、ファッションやコスメにもこだわりのある華やかなオタクたちが増えました。時間の許す限り、たくさんの「好きなもの」を余すことなく満喫しており、とてもパワフルです。

2. 令和オタクならではの特徴

▼  推しの対象が「人」に限られない

 今や、なんでも「推し」の対象になります。ジャニーズや韓国アイドル、アニメキャラクターなどの『人』だけに限られません。流行りのカフェに行ったり、サウナに行ったりといった『場所や空間』、フルーツサンドやラーメン、ブッラータチーズなどの『食べ物』、カプセルトイやセルフネイルなどの『行為』も対象になります。

▼ パワフルな行動力がある

 時代の流れとともに「オタク」という言葉そのものの持つ意味合いが拡張しています。今までなら「趣味」や「マイブーム」というライトな言葉でカテゴライズしていたものまで、流行りの「推し」や「オタク」という言葉でカテゴライズするようになりました。

 一旦「推し」という言葉でカテゴライズをすると、その言葉に自ら突き動かされ、熱量高く応援するようになります。このようにして、ジャンルを問わずたくさんの「好きなもの」を推しの対象にした、パワフルなオタクたちが誕生するようになりました。

3. Z世代がタイパを重視する理由

 時に「Z世代はタイムパフォーマンス(=タイパ)を重視する」と言われます。確かに、以下のような行動はZ世代特有かもしれません。

・YouTubeは2倍速で視聴する
・映画は結末を先に調べてから観るかどうか決める
・曲はサビだけ聴けば満足する(TikTokの影響もある)

 最近ではこのような消費の仕方を受けて、ヒット曲のイントロがだんだん短くなっているようです。「サビまで待てない」という声に応えて、”ゼロ秒イントロ”の曲も増えています。タイパを重視するZ世代と、30秒程度で完結するショート動画の相性が抜群だったのも頷けますよね。
 では、なぜこのようにタイパを極めてまで、多くの情報やトレンドを摂取しようとするのでしょうか。

▼ 求められる一般教養が多いから

 Z世代がタイパを重視するようになったのは、必然のように思います。物心がついたときからSNSに触れているため、バズった投稿は”相手も知っている”ことを前提に日常会話が進みます。今世の中では何のアイテムが流行っているのか、どんな話題が炎上しているのか、いわば求められる”一般教養”があまりに多いため、ひとまずは「質よりも量」を重視して情報を摂取していくスタイルが確立しました。

▼ コミュニティを超えた交流が当たり前になっているから

 Z世代は、ひとりが内心にたくさんの「推しコミュニティ」を抱えています。全国放送されているドラマやサッカーの試合のように、”みんな”に平等に情報が与えられたメジャーなコミュニティだけではありません。
 Twitterからしか得られない情報、Instagramからしか得られない情報、TikTokからしか得られない情報…と使用するSNSによって分断化された情報によるニッチなコミュニティをいくつも抱えています。

 例えば、共通の好きなものがあって一緒にオタ活をしている甲さんと乙さん。しかしふたりはそれぞれ、それ以外にも多くの好きなものがあり「推しコミュニティ」があります。自分にはないコミュニティ、いわば異文化に触れる機会が多いからこそ、相手のコミュニティに関する一般教養も身につくようになります。コミュニティを超えた交流は、Z世代にとって当たり前のことで、あまり抵抗感がないイベントです。

4. だから「好き」に対する嗅覚が鋭くなる

 そんな大量の情報に触れていくうちに、与えられた情報の中から自分が「好き」と感じるものを探し出す能力が鍛えられていきます。

▼ まず、早く興味があるかないか見切りをつける

 みんな、あらゆる面で自己分析が進んでいます。自分はどんなものが好きなのか、どんなスタイルにときめくのか、自分の中で確立しつつある「好き」の像があるため、それに沿わないものに対しては潔く見切りをつけます。今の自分が「好き」を見出していない事柄に時間を費やしていると、ほかの情報に触れることができなくなってしまうからです。

▼ そして、さらにタイパを重視する…の無限ループ

 面白そうな動画をズバリおすすめしてくれるYouTubeや、一度お洒落なお店を調べたらほかのお店も提案してくれるInstagramといった、優秀なアルゴリズムと相まって、各々の「好き」はどんどん洗練されていきます。そして「推し」という言葉が持つ力の相乗効果によって、好きなものをより好きになり、好きなものの数が増え、どんどん時間がなくなっていきます。そこでもっとタイパを重視するようになる…という無限ループが出来上がるのです。

5. 令和オタクに魅力を伝えるには

 推し活動が増えたことでタイパを重視するようになり、同時にタイパを重視するから推し活動が増えるようになったZ世代。どちらが先という関係にはなく、お互いの相乗効果でZ世代はマルチタスクになっています。

 自分の中にたくさんの「推し」がいて、それらがすべて、自己表現に繋がる大事なアイデンティティになっています。「推し」が増えれば増えるほど、自由に使える時間こそ減っていきますが、それでも楽しくて仕方ない。
 毎日が大忙しなZ世代に、いかに瞬間的に魅力を伝えるのかがポイントになるのかもしれません。


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