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エンドロールのその先


風俗を上がった。

下手したら死ぬまで上がれないんじゃないかな、って思っていたのでこんなにあっさりと辞めてしまった自分に自分が一番ビックリしている。

天職だった、とは全く思わないけれど、そこそこ向いていたとは思う。

私にとっては人に必要とされる事が良い意味でも悪い意味でも強烈に実感出来る所が、風俗という仕事の醍醐味だった。

こんなにあっさりと辞めてしまえたのは、彼が私を更に強烈に求めてくれたからでしかない。

もしかしたらそこにある物は支配欲や所有欲でしかなく、愛なんてお綺麗な物は無いのかもしれないし、近い将来後悔するのかもしれない。

それでもいいから今、どうしても一緒に居たかった。

今も昔もこの先も、こんなに私の事を求めてくれて、ここまでしてくれる人はきっと彼しかいないだろうという確信もある。

仕事を辞めて自分の食い扶持をひとつ減らす事に不安が無い訳じゃないけれど、彼を信じて自分の気持ちに正直に生きてみる事にしたのだ。

こうして念願だった好きな人にだけ抱かれる生活が始まった。

ヤッター!もう身体売らんでいいし、好きな人と一緒に居られてハッピー!!
……となると思うよね、普通は。

ところがどっこい、彼も私も普通ではないのでそんな単純に事は運ばない。

いくら好きになった女の為とはいえど、やはり大金を出してまで仕事を辞めさせる様な男は嫉妬心が尋常ではない。

些細なことで直ぐに気を害するし、その度わざと私が一番嫌がるであろう事で精神攻撃してくる。

気を害したならばその旨をそのまま言えばいいのに、それはせずに当てつけの様な事を言ってくるのだ。

これは一体どういう精神性なんだろうか?
単に幼児性の一言で片付けていいんだろうか?

ものすごく歪んでないか?

この歪みを私はこの先受け止め続けられるんだろうか?

と、ぐるぐるぐるぐる考えてしまった。
彼が眠っている横で、彼の寝息を聴きながら、天井を見つめ続けて。

天井を見つめる事は、自分自身を見つめる事に似ていると私は思っている。

私の器はバキバキにひび割れている。
何年も何年もかけて、時々治しながらも完全に修復は出来ない傷だらけの器。

いびつで不格好だけど、とても気に入っている、私だけの器。

だけどこんな器のままじゃ、彼の孤独感や衝動性や精神の歪みを受け止めきれないかもしれない。

ここで初めて自分の器をどうにかしたい、修復したいと思った。
何をされても、何を言われても受け止められるように。

少し自分の強さを過信し過ぎていたみたいだ。

風俗で長年働けたあの強さは色々と麻痺していたのと、誰のことも好きではなかったからで、誰かを好きになった途端に仕事では怖気は走るし、嘘もつけなくなるぐらいに自分の弱さが露呈した。

私はとても弱い。

そんなことを実感したこの約3ヶ月間だ。

明日は1週間以上振りに彼に会う。

9月から週3、4ペースで会っていたので、凄く久しぶりの様に感じてしまうから、やや緊張がある。

彼の精神攻撃によって私の胃潰瘍が悪化したので、彼の方から少しだけ会うのやめようと言われたのだ。

ストレス源(=彼)から一旦離れて身体が良くなってから会おうという話だったのに、毎日
胃の調子どう?良くなった?もう会いたい

ってLINE来るのは可愛いな、と思うと同時に誰のせいでこうなってる思ってんねん…という思いもあるので複雑だ。

明日は笑顔で過ごせますように。
おやすみなさい。

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