幸せとかいう抽象的なものを就活、ひいては人生の軸にしていいのか?

 就活をすると「就活の軸」を決めるのがいいよ、と言われます。ファーストキャリアはいわば「人生の第一歩」です。これまではなるべく良い高校、良い大学と、一般に良いとされる進路を「模倣」することができます。学部学科も資格を取る職種でなければ、就活でいくらでも軌道修正が効きます。しかし、就職活動になると突然その指標が失われる上に、その選択で人生の行き先がガッツリ絞られます。
 さて、どう進路を決めればいいものか。私は社員として働いたことがないので、社会で働くって言われてもさっぱりわかりません。さあ、私はどうしたい?
 この生活を続けたい?正直、今の生活は最高です。幸せです。朝早く起きなくていいし、働かなくていいし、講義も適当に出てればよかったし、社会的に許されまくりです。

 でも、そうは問屋は卸しません。就職したら8ヶ月後、院進しても1年後にはなんとなく就活について考えてインターンに行って、2年後には業界と軸を絞って就活をしなければいけません!!

 じゃあどうしたいんだろう。次に私の中から、なんでも良いから幸せに生きたいな〜という気持ちが湧いてきました。幸せってなんだろう。周りに羨まれる仕事?
 理系なら大手メーカーに就職する、文系なら大手商社や外資コンサルといった高級の仕事を目指すなど、一般に周りが羨む高待遇の進路はあります。大義を持ってキャリア官僚を目指すのも、いわゆるエリートと呼ばれる進路でしょう。ここに乗っかって同じように目指せれば楽です。しかし、でも激務だよね、割に合わないよね、人から羨まれる進路が本当に幸せなの?と。疑い出したらキリがありません!

 でもちょっと冷静に考えてほしい。業界、業種、ワークライフバランス、やりがい、待遇。そんなのいくら働く前から考えても、働いたことがないんだから、どれが幸せに繋がるかなんてわからなくないですか???
 私は大学に入る前に、この大学に入ったら・一人暮らしをしたら本当に幸せになれるかとか、考えたことあったっけ?考えてなくても、周りに恵まれたこともあって幸せに過ごせました。研究室選びでは先生との相性が大事であることを知らず、ガッツリ痛い目を見ました。今はしんどいことも多いけど、家族や友人、恋人に恵まれたおかげでなんとか生きていけています。

 人はどこに行っても、死ぬ前に逃げ出せば、なんとか生きていけるわけです。
 なんとかその環境に幸せを見出して生きていこうとできるんです。

 それを踏まえると、就活の軸が、ひいては人生の目標が「幸せ」って、なんとも抽象的で達成困難な目標でしょうか。
 「幸せ」に客観的な指標はありません。自分だったら苦しくて耐えられないような生活をしている人も「幸せ」を感じていて、誰もが羨む生活をしている人も「不幸」を感じています。幸せそうな人をロールモデルにして生きていった先に自分の幸せがある保証もありません。どうすれば良いのかわからないのに幸せになりたいって。幸せにならなきゃ、という目標に呪われているようなものです。

 卒論演習を通して、具体的にどうすれば達成できるかわからない目標は立てるだけ無駄である、先人に学ぶことが大切であることを私は学びました。また、人の欲望は人が欲しているものの模倣からできているという話もあります。(参考:https://www.hayakawabooks.com/n/n334b32323de5) そう思ったら自分がどうしたいかなんて今の環境に依存する発想で、ずいぶん不安定で不確定なものですね。譲れないところだけ抱えて、幸せを感じる具体的なことを目標に生きていくのがいいですね!
 
 

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