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好きな音楽と、それにまつわる、個人的な話

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2019年12月の記事一覧

CDをプレゼントするのが難しい時代に 2019年の個人的なベストアルバム15+1

CDをプレゼントするのが難しい時代に 2019年の個人的なベストアルバム15+1

CDだけで「ベストアルバム」を選ぶのはむずかしい 自分の人生を逆算から考えるようになり始めた、どこにでもいる、人より少しだけ音楽が好きな男が選んだ15枚(+1枚)。

 中途半端な数になったのは、最初は10枚で選ぼうとしていたものの、何枚か、入れるか入れまいか迷ったアルバムがあって、いっそ入れてしまったほうが、読んでくれた人の選択肢が増えると思ったからです。

 ちなみに、ここに挙げたアルバムは、

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自分がこんな声で歌えたらいいのに Kenny Rankin『Christmas Album』

自分がこんな声で歌えたらいいのに Kenny Rankin『Christmas Album』

寝て起きたら菅田将暉になってないかな 「寝て起きたら、問題がすべて解決していないだろうか?」「寝て起きたら、自分があの有名人になっていないだろうか?」と夢想するときがある。ほんとうに意味がない話だけれど、考えたことがない、という人もめずらしいのではないか。たぶん。

 自分も、毎日の中で疲れ果てたときに、「寝て起きたら菅田将暉になってないかな〜」と考えることがある。馬鹿、という2文字では、ちょっと

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33歳になりましたが、卵を片手で割れません Everything But the Girl『Idlewild』

33歳になりましたが、卵を片手で割れません Everything But the Girl『Idlewild』

どうして片手で割ろうとしてしまったのか ぼくは、生卵を片手で割れない。

 卵を片手で割ろうと思ったのは、たしか、元・光GENJIの、諸星和己の話を知ってからだと思う。こんな大事な話を、たしか、と前置きするぐらいに、うろ覚えなのは、誰に対してでもなく、申し訳なく思うのだけれど。

 彼は5人家族(父、母、兄、妹)ではあるけれど、育ったのは祖父母の家で、家族で食卓を囲んだことはなかったという。そのよ

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奇跡と呼ぶにはありふれているけれど 西寺郷太『Temple St.(テンプル・ストリート)』

奇跡と呼ぶにはありふれているけれど 西寺郷太『Temple St.(テンプル・ストリート)』

心臓が2度、止まりかけた日 その日は、目が覚めたら、体調が悪かった。「悪かった」という4文字で、あなたが想像するより、もう少し悪い。

 胸が、ぐーっと詰まるように、苦しくて起き上がれない。自分は、気持ちが追い込まれると、胸がキリキリと痛みだすタイプだ(病院で検査してもらったこともある。異常なし、だそうだ)。何回も、経験したことではある。

 思い当たる節は、いくつもある。まず、ストレス。年末が近

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自分の人生は、ちょっとずつ取り返しがつかなくなっている PIZZICATO ONE『わたくしの二十世紀』

自分の人生は、ちょっとずつ取り返しがつかなくなっている PIZZICATO ONE『わたくしの二十世紀』

もっと、上に行くと思っていた 少し前に、「お前はもっと、上に行くと思っていた」と言われたことがある。

 突然のことなので、失礼だと感じるよりも先に苦笑してしまったのだけれど。よく考えると、いや、すこし考えてみただけでも、奇妙な話だ。

 上というのはどこだろう?

 なんとなく行ってしまった大学院で、業績を残す存在になると期待されていたのだろうか? ほんとうの秀才たちを目の当たりにして、レベル

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