見出し画像

DUPLOからLEGOへ

家のおもちゃをリニューアルすることになった。小さい子向けの一つのパーツが大きなLEGO DUPLOから、小さなサイズのLEGOに統一しようということになったのだ。部屋に置けるおもちゃの量には限りがあるから仕方がない。それに伴い、長男が3歳のときに始めた、アートプロジェクト『mamama』が終わることになった。

mamamaのはじまり

長男は小さな頃からLEGO DUPLOに親しんだ。わたしたち夫婦は家に置くおもちゃの種類を少なくしたかったので、おもちゃはLEGO DUPLOに限定し、それを大量に置いていた。3歳くらいになると小さなタイプのLEGOでも良い気がしたが、生まれたばかりの弟が動き出したら小さなLEGOは危険だということでLEGO DUPLOを継続して使っていた。

これは作品なのだ

LEGO DUPLOはカラフルで目にも楽しく、子どものイマジネーションを刺激してくれ様々な遊びを生み出すことができるので最高のおもちゃだと思う。ただひとつ、我が家での困りごとに、"つくったものを片付けさせてくれない"ということがあった。保育園では金曜日になるとその週につくったものをいったん壊すというルールがあって、それを家でも実行したかったのだが、それは許されなかった。あまりにも片付かず、またあまりにも家の中でDUPLOの片付けに関連するトラブルが続いた。そして長男と私の折り合いをつけるための策が「作品として何かに残す」ということだった。

そこにあったストーリー

ちゃんと作品になってるのはわかる。フォルムとして完成していることは明白だし、オブジェクトとしての格好も良い。それを壊されたくない気持ちもわかる。どうしたら「作品」のかたちになるだろう?

ふとした会話から、作品にストーリーがきちんとあることがわかった。ひとつひとつの作品にはそれぞれ独自の世界観と設定がありストーリーがあったのだ。それは魅力的でワクワクするものだった!

発信のスタディ

3歳の長男の言葉が紡ぐストーリーは、童話のそれのようだった。ユーチューブに侵食される前の、世の中のあれこれを知る前の、絵本の世界そして優しいイマジネーション。この世界観はそのときの彼でないとできないし、大人が真似したってうまくいかない。彼の言葉のまま、ことばを並べることにした。たとえ完全にはお話がメイクセンスしていなくても。

彼は構図にこだわりがあり、私が撮った写真をチェックした。斜光として使っている窓際のロールスクリーンを、壁に沿うテーブルに垂らしテーブルに白ホリをつくる。ホリ(ホリゾント)とは、壁と床の堺が分からないように背景がわん曲している背景をいう。とても狭い部屋で撮影しているのだけれど、ホリで撮るとニュートラルなニュアンスの空間にDUPLOがあるように見える。南東の窓際で、早朝のいっとき、光の調子がすこぶるよかった。

そのときそこにあるもので、彼のDUPLO作品が一番キュートに見える舞台がセッティングできたと思う。

mamamaで学んだこと

写真を撮りためて、ストーリーを聞いてメモしていく。それらをinstagramにアップしてみようということになった。当時、私にとってinstaramはよくわからないSNSのひとつで、あまり触ったことがなかった。

作品をインターネットで発表すること

自分のつくるったものが作品として世の中に発表される。これは彼にとってよい経験となったみたいだった。私にとっても勉強になった。instagramでの発信を通じて、SNSとは、そしてデジタルのメリットやデメリットをほんの少し共有しながら進めた。

発信するときにはinstagram名が必要なので、ユニット名なのかブランド名なのかわからないけれど「mamama」という名前にした。

国をまたいだ人びとからのコメントと反応

せっかくinstagramで発信するので、日本語だけでなく英語も添えた。ハッシュタグの使い方も長男と一緒に見ていった。LEGO愛好者は世界中にいて、LEGO作品を発表している人たちがたくさんいることがわかった。その人たちにも長男の投稿は届いて、たくさんの「いいね」や英語の良いコメントをもらった。自分の作品に対して好意的な反応が世界中からあったことは、作者である彼を大いに刺激したようだった。

成長と表現の変化

子どもの成長は止まらない。知識も経験もどんどん増えていく。3歳〜4歳頃の知識と経験と語彙の絶妙なバランスで成り立っていた「mamama」も、少しずつ作風が変わっていった。彼は8歳になった。DUPLOに続くような、シリーズ化できるようなものは今のところ生まれていない。

おわりに

彼が1歳くらいでスラスラ言葉をしゃべり始めたのは耳の特徴からだったと思う。長男は耳が良い。絶対音感もありそうだ。救急車の音を耳で聞いて声で同じ音程を発した。言葉はスラスラしゃべるくせに、中身は赤ちゃんだったアンバランスで特別な時期。その奇跡的なアンバランスがこの「mamama」プロジェクトを生み出した。

まだ下書きのいくつかの投稿をアップして、このプロジェクトは終了となるだろう。長男はDUPLOへの気持ちが整理できていない。ミニレゴで遊びたくないと意地をはる。私だってちょっとさみしい。センチメンタルな気持ちになったのでこれを書いた。最後に紙の本でもつくろうかな。




この記事が参加している募集

#スキしてみて

525,870件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?