ダンボールの熱量

つぎはぎで個性的なダンボールハウスが次々と建築中。小学校の頃によく通っていた児童館では、夏休みにイベントが開かれた。数人がひとチームになり一つの段ボールハウスをつくって最後に参加者みんなでお祭りをする。力作揃いだった気がする。二階建てのがあった気がする、赤青黄やピンクのカラフルな屋根が並んでいた気がするし、丸くデザインされた天窓だってあった気がする。できあがるまでには各チームいろいろあって、センスのぶつかり合い、口論、悔し涙、黙々とした作業、できあがったときの感動、達成感そして連帯感。とてつもない熱量がそこで生まれた。一面のブルーシートが敷かれた児童館のホールは、エネルギッシュでカラフル。30年前のその夏の記憶は鮮やかな一枚のビジュアル。

"コーポラティブハウス"という言葉を知った。なかば趣味の物件リサーチの途中に知った言葉。気になっていた近所の建物がそれにあたった。木々の枝葉が建物からはみ出し、みずみずしい生命感を感じさせる集合住宅。外から枝葉の先には何があるのか気になっていたのだが、その枝葉は実は建物の中庭に生える樹齢二百年を超える大木のものだという。もとからその地にあった木々を残すことを前提に建てられたのだそうだ。コーポラティブハウスは土地に住人をまず募り、その人たちが話をしながら建物をつくっていく。あの建物の、コンクリートなのに人感を感じる不思議にあたたかいような生き物としての名前があるような、そんな雰囲気は作られ方に由来するのだな。

人の気持ちが具現化されたときにうまれる物のたましいを想った。

段ボールの記憶は身体に染みついているようで、宅配の箱が部屋の隅にたまってゆく。すぐには捨てない。私がなにかを作りはじめると、面白そうなことを始めたねと子供らは寄ってくるのだけど、本気で面白く思って作っていないとすぐに彼らは離れてしまう。子供が好きかもしれないという一方的な大人な気持ちでは一緒になって遊んでくれない。

段ボールの熱量を、おもいだせ私。




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