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#01 アモルの接吻で蘇るプシュケ〜がんばれプシュケ前編

芸術の秋ですね

2015年に訪れたルーブル美術館で感銘を受けた作品数点をご紹介していきたいと思います。では今回ご紹介するのは私が一番感動した作品『アモルの接吻で蘇るプシュケ』

1793年(ルーヴル美術館所蔵)
アントニオ・カノーヴァ(1757年-1822年)
《アモルの接吻で蘇るプシュケ》
大理石 高さ1.55m、幅1.68m、奥行き1.01m

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絵画ではなく、いきなり彫刻作品なんですが近くで観ると細部まで繊細に彫られていて、とても美しい作品です。当時全く芸術作品の題材などに知識のなかった私ですが、あまりの美しさに驚いてずっと魅入ってしまいました。

『アモル』も『プシュケ』もあまり耳馴染みのない名前ですが、実はローマ神話の登場人物で、アモルはいわゆる恋愛の神キューピッドです。このあたりの神話系は呼び名が色々変化するのでややこしいです。

ちなみにこの2人サイゼリアの壁にもある絵画と同じ人物。急に親近感w

ファースト・キス:ウィリアム・ブーグロー

この2人の物語がとても素敵…というか…大丈夫か???プシュケ!!!って感じで、若干途中から冒険モノ?w

では、どんなお物語かというと

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とある国の王様のもとに3人の美しい姫が生まれました。

その中でも末娘のプシュケはとても美しいと国中で噂が広まるほど。

そんなある日。美の女神アフロディーテ(英語:ヴィーナス)のもとにも、その噂が届きます。ただの人間であるプシュケが、それほど美しいということは美の女神であるアフロディーテには許せません。

そこでアフロディーテは自分の息子であり恋愛の神であるクピド(英語:キューピッド)に命じます。

『あの娘が恐ろしい怪物に恋をするようにしておしまい!』

もともと悪戯好きのクピドは喜んでプシュケのもとにむかいます。

そしてプシュケを見た瞬間…そのあまりの美しさに驚いてしまったクピドは、誤って自分の矢で自分を傷つけてしまいます。


恋愛の神であるクピドの矢は射られた者が恋に落ちるのです。もちろんクピドもその瞬間プシュケに恋に落ちてしまいました。

その後プシュケの2人の姉は結婚したのにプシュケだけ結婚できないことを案じた王と王妃がアポロンの神託を受けに行きます。すると…なんと『プシュケは恐ろしい怪物と結婚する』という神託を受けてしまいます。

愛する娘の恐ろしい神託に絶望した王と王妃。しかし神託は絶対です。可愛い愛娘に婚礼衣装を着させて山へ連れて行きます。

山で一人残されて悲しみに暮れていたプシュケ。すると西風の神ゼピュロスにより運び去られてしまいます。

プシュケが気がつくとそこは自然豊かな森の中。そして目の前には美しい屋敷が…

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作「クピトの庭に入るプシュケ」1903年

>>ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作「クピトの庭に入るプシュケ」1903年>>

プシュケが恐る恐るその美しい屋敷に入ると、どこからともなく声が

『わたしたちはあなたとあなたのご主人様の召使いです。なんなりとお申し付けください。』プシュケの望みを見えない召使い達が叶えてくれました。そしてプシュケは湯浴みをし、美味しいご馳走を食べ、眠りにつきました。

夜になると、ある気配に起きたプシュケに優しく囁く声が

『私はあなたの夫です。でも決して姿を見てはいけません。』

プシュケの元に訪れたのは、恋愛の神クピド。

でも神であるクピドはプシュケに姿を見せるわけにはいきません。

毎夜毎夜プシュケの元にクピドは訪れ、優しく接する姿の見えない主人にプシュケは幸せを感じていきました。

そんな幸せに暮らすプシュケでしたが、家族が恋しくなり2人の姉を屋敷に招きました。

当然プシュケは恐ろしい怪物と結婚し、辛い思いをしていると思っていた姉2人は、豪華なお屋敷で幸せそうに暮らすプシュケを良く思いません。

プシュケは久しぶりに会った姉達を歓迎し、楽しく過ごしていましたが、ずっと疑問に思っていた主人のことを相談します。

するとプシュケに嫉妬していた姉達は『それは怪物に違いない!すぐに正体を暴いて殺してしまえばいい!!』とプシュケを不安にさせて帰ります。

また夜が訪れ不安になってしまったプシュケ。覚悟して片手には短剣を握り『決して姿を見てはならない』という主人との約束を破り、主人が寝静まった後ランプの火で、そっと暗がりの中その姿を照らします。

するとそこには怪物どころか、とても美しいクピドの姿が。
それに驚いたプシュケは誤ってランプのオイルをクピドに垂らしてしまいます。

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そしてクピドは約束を破ってしまったプシュケに怒り、彼女の元から離れて行きました。

何もかも失ってしまったことに絶望したプシュケは、クピドの母であるアフロディーテに助けを求め

『クピド様に会わせていただけるなら何でも致します。』と懇願します。

エドワード・マシュー・ヘイル「プシュケと玉座のヴィーナス」1883年

>>エドワード・マシュー・ヘイル「プシュケと玉座のヴィーナス」1883年>>

しかし、そもそもプシュケに嫉妬してクピドを差し向けたアフロディーテ。

プシュケの懇願にもかかわらず、容赦はありません。


ということで、ここからがんばれプシュケダンジョン編が始まります。この続きは後編で・・・


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