見出し画像

アイフライテックの音声認識AI、ミッション「AIでより良い世界を創る」の実現へ

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』で取り上げる企業は、中国のアイフライテック(iFLYTEKです。1999年に設立されたアイフライテックは、安徽省の合肥に拠点を置く、音声認識などに強みを持つAI企業です。

アイフライテックは、2020年9月4日に、「iFLYTEK Corporate Social Responsibility (CSR) Report Details Efforts to Make a Better World with Artificial Intelligence(アイフライテックのCSRレポートが”AIでより良い世界を創る”ための取組みを紹介)」とプレスリリースしました。

プレスリリースでは、アイフライテックは、初めて発表したCSRレポートの中で、「make the machine hear and speak, to understand and think, and use artificial intelligence to build a better world(機械が聴けて話せて、理解して考えることを可能にする、AIでより良い世界を創る)」というミッションのもと教育、ヘルスケア、文化、環境、COVID-19などにおける社会的責任へのコミットメントを打ち出したとしています。

中国では、2017年に「次世代人工知能発展計画」が策定され、2030年には160兆円以上のAI市場を創造するという目標が掲げられています。現在AI国策事業として「都市計画」「医療映像」「自動運転」「音声認識」「顔認識」の5領域でのAI活用が強力に進められていますが、そのうちの「AI×音声認識」を担うのがアイフライテックです。

わたしは2018年後半の中国出張でアイフライテックの副総裁と懇談する機会をいただいたのですが、そこで驚愕の数字を突き付けられました。それは、リアルタイムで中国全土から同社に集積されるビッグデータ件数が1日で47億件にも上っていた(映像ボードに表示されていた)ということです。音声認識AIの精度向上はビッグデータの集積がカギですが、まさにアイフライテックの最大の強みがここにあるわけです。

一方で、アイフライテックは、2019年10月の時点で、「AI×顔認証」のセンスタイムとともに、米国の外交政策上の利益に反する事業活動に従事する企業として、米国商務省によっていわゆるブラックリスト『Entity List』に列挙されました(米国商務省サイト参照)。米中新冷戦やテクノロジー覇権の争いではファーウェイやZTE、テンセント、バイトダンスなどの企業名を耳にすることが多い中、世界一のAI強国を目指す中国の最先端AI企業アイフライテックも、注視すべき中国企業の一社です。

田中道昭

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?