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IBMとWorkdayが「AI Watson×HCM」で戦略提携を拡大

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』で取り上げる企業は、IBMです。

IBMは、2020年8月12日、IBM News Roomで「Workday and IBM Expand Partnership to Help Customers Plan Return to the Workplace(ワークデイとIBMは、顧客が職場に戻ることを支援するため、パートナーシップを拡大する)」と発表しました。

Workdayは、カリフォルニア州に本社を置く、人事・財務・プランニングに特化したSaaS型クラウドサービスの会社です。ヒューマンキャピタルマネジメント(HCM)が代表的なソリューションです。IBMとWorkdayは2016年にすでに戦略的パートナーシップを結んでおり、WorkdayはIBMクラウド上でソリューションを提供しています。

News Roomによると、IBMのAI(=Watson/動画参照)モデルが組み込またWatson WorksWorkdayのHCMのソリューションを組み合わせ、企業の従業員が(コロナ禍でリモートワークの状態から)職場に安全に戻るための計画、スケジューリング、モニタリングを行うとしています。安全な職場復帰には健康、地域ガイドライン、政府方針、従業員心理、施設準備、防護器具等など多様な要因を考慮する必要がありますが、両者の統合ソリューションでそれを支援するということです。

ご存知の通り、IBMはかつてメインフレームやパソコンなどハードウェア中心の事業者でした。しかし、IBMは今や「コグナイティブソリューション」(IBMではAIを「コグナイティブ(認識)」と呼びます)と「クラウドプラットフォーム」で稼ぐ会社に変貌しています。2019年12月期決算では「AI×クラウド」部門の売上高が全売上高の3割を占め、また同部門の粗利率も75%以上となっています。

IBMの重点戦略が「Watson Anywhere(=オープンで拡張性をもったAI/Watson)」と「ハイブリッド・クラウド」。今年1月にはクラウド部門の責任者アービンド・クリシュナ氏がCEOに昇格、IBMのさらなるクラウド事業への注力が見て取れます。IBMの2019年売上高は昨年比3%減となっていますが、競争が激しい「AI×クラウド」事業で巻き返しなるか、注目されます。

田中道昭

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