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アリババのデジタル経済圏

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』のテーマは、アリババのデジタル経済圏です。

アリババは、2020年7月21日付けプレスリリースで、「Alibaba Digital Economy Introduces “Starbucks Now” on Four Flagship Apps(アリババのデジタル経済圏が4つのフラッグシップ・アプリで『スターバックス・ナウ』を導入)」と発表しました。

『スターバックス・ナウ』はスターバックス・コーヒーが中国で展開する「オンラインで注文し店頭で受け取る」サービスで、スターバックスのネイティブ・アプリから利用が可能でした。今回、そのサービスの範囲を、アリババ・グループが提供する4つのフラッグシップ・アプリへ拡大しています。

4つのフラッグシップ・アプリとは、① モバイルペイメント・決済の「アリペイ」、② C2Cコマースの「タオバオ」、③ マップの「高徳地図」、および④ 口コミやO2Oの「コウベイ」の4つ。スターバックスのネイティブ・アプリに加えて、これらアリババのアプリからも、スターバックスのコーヒ―を「オンラインで注文し店頭で受け取る」ことができるわけです。

アリババは2年以上前からスターバックスと業務提携をしており、中国でのスターバックスのデジタルトランスフォーメーションを進めてきました(動画参照)。今回の施策もその一環です。

アリババは昨年9月に開催した投資家向けの年次イベント「2019 Investor Day」で、ダニエル・チャンCEO自らアリババのデジタル経済圏に関する戦略について説明を行いました。そこで明確に示されたのが、アリババは、自らの事業インフラや商品・サービス、そしてデータ、テクノロジーを基盤として、さまざまなプロダクト、サービス、コンテンツを取り込んでいくという戦略。先に述べた4つのフラッグシップ・アプリは、重要な顧客接点を作り出す戦略アプリでもあるのです。

田中道昭

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