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靴を買うなら痛くないのを

 靴が合わなくて足が痛い人は、本当に一度、正確なサイズを測ってもらってください。靴の専門家(シューフィッター)がいるお店の検索はこちらから。

  一番伝えたいことは最初に書いたので、ここからいつものエッセイ。『靴づくりの文化史 日本の靴と職人』を読んでいる。

 靴が足に合わないと悩む人は多い、と書いてあった。だからメディアで靴職人が取り上げられると、次の日にはこの店に70人ものお客さんが並んでいたりする。そうやって人気になった店では、対応が間に合わなくて半年以上先の納品になる。

 うーん。それってどうなんだろう。

 

 手づくりの靴ならオーダーメイドだから、自分の足に合わせて作ってもらえる。どうせお金をかけるならぜひ職人ものを、と思うのも自然だ。だけどこの決断ができる人は限られる。

 メディアで報道された翌日に「靴をあつらえてもらうわ!」と店に並べるのは、いわばお金も時間もある人だけだ。もうちょっと現実的に、多くの人にリーチできる解決策がないか。

 

 まず、オーダーメイドには二種類ある。すべてを自分用に作ってもらう「フルオーダー」と、形は決まっていてサイズだけ調整してもらえる「セミオーダー」だ。後者のほうが値段が安い。

 だから「デザインにそこまでこだわりはないけど、とにかく痛くない一足が欲しい」人はセミオーダーで作ってみるのがおすすめ。

 

 とはいえ「それっぽいお店に入って足のサイズを測ってもらい、オーダーメイドの靴を作る」が、ハードル高く感じられる人もいる。こういう人は、まず正確なサイズを知った方がいい。

 足の厚みはどれくらいか。甲の高さはどうか。自分が理解しているサイズで合っているかどうか。かかとが人に比べて、太かったり細かったりしないか。

 シューフィッターはこのすべてを見てくれるので、一回きちんと測ってもらうとあとが楽になる。自分に合った大きさ、幅の靴を探す手がかりができて、間違ったサイズの靴を買わなくて済む。

 

 多いのが「幅が広いほうが楽だから」と、実際の足より大きめを買うパターンで、これは自分もやっていた。小さくてキツいよりも、ちょっと緩いくらいがいいと思った。

 だけど実際には、靴でしっかり締まっていないせいで足が疲れる。土踏まず周辺をキュッとサポートして縛ったほうが疲れない。紐靴の紐がここらへんについているのには、ちゃんと理由があるのだ。

 

 痛くないことをメインに据えて考えるなら、

 紐で調節できる靴 > ベルトで足の甲をとめられる靴 > 紐やベルトはないけど足全体をホールドできる靴 > それ以外

 になる。

 

 もっとも紐靴は脱いだり履いたりが面倒くさい。靴屋さんも「紐のあるのはねえ、メンドくさいですよ~」と買う客に釘を差す。

 自分も履いてるからわかる。玄関で履き終わってから忘れものに気づくとか、急いで家に上がりたいときに手間取るとか。

 だから紐があるほうが痛みが少ないからって「なにがなんでも紐靴がいいのだ」って言う気はない。いろんな事情のある人もいるだろうし。

 ただ靴を選ぶときに「足の甲に留めるものがある」を意識すると買い物がしやすくなる。爪先に体重がかかるのを防げるので、以外とここは大事。

 最悪なのは、留め具がなにもない&ヒールの高い靴で、履くときは長時間履かないほうがいい。「そんなの言われなくてもわかってる」と言う若い女性はいるけど、年齢がいったときに本当にわからされる。

 履かないほうがいいものは、履かないほうがいいのだ。

 

 『靴の文化史』の中には「靴と付き合って歴史の浅い日本人は、薄汚れていても平気で履いてる」と書いてあって、スニーカーを洗っていない自分に刺さってしまった。明日コインランドリーに行って、きれいにしてこよう。

本を買ったり、勉強したりするのに使っています。最近、買ったのはフーコー『言葉と物』(仏語版)。