哲学がやっていること

哲学って役に立つの?と言われると、なんて答えていいかわからない。哲学は、問いの枠組みを問う学問だ。

卑近な例を挙げれば「どうしたら結婚できますか?」と言われて「そもそも結婚する必要があるのか。なぜしたいのか」と聞き返すこと。「どうしたら幸福になれますか?」と聞かれて「あなたにとって幸福の定義は何で、それは本当に幸福の名に値するのか」と問い直すこと。

目標を達成する手段を知りたいなら、哲学はまるで役に立たない。目標そのものを批判的に見るのが仕事だから。

面倒な学問なのだ。権力者には大体嫌われる。

「いま私たちが取り込まれているシステムはどんな構造をしているのか。
そこに搾取や倫理に悖るものはないのか。
人々が目指しているものは、正確には目指すよう強制されているものではないのか」………

私が独裁者だったら、真っ先に哲学者を処刑するだろう。言うこと聞かないし危険だから。せっかく自分に有利な人間を厚遇するシステムを作ったのに「そのシステムは権力者に恩恵があるだけ」と水を差されたら「黙ろうか」と肩を抱くだろう。

「役に立つか否か」って、誰にとって?何にとって?哲学はそれを問うことから。

本を買ったり、勉強したりするのに使っています。最近、買ったのはフーコー『言葉と物』(仏語版)。