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SmartHRのモーションロゴを作りました

2022.5.16 追記

現在は以下のように取り扱いを変更しています
「モーションロゴ ノーマルVer.」 → 「モーションロゴ」
「モーションロゴ フレンドリーVer.」 → 「ジングルムービー」

運用方法
https://smarthr.design/basics/logos/motion/
https://smarthr.design/communication/photography/jingle-movie/

SmartHRのブランドイメージをより豊かに広げていくため、また映像コンテンツに一貫性を持たせることでSmartHRの認知を高めるため、新たに “モーションロゴ” を製作しました。SmartHRが発信する映像やイベントで使用していきます。

SmartHRが社会に提供する価値と、サービスとしての “パーソナリティ” を表現した今回のモーションロゴ製作。3名のクリエイターの皆さんのご紹介とともに、その舞台裏をお届けします!

書き手の紹介
SmartHRコミュニケーションデザイングループの merapon です。音大卒のデザイナーであるという経緯もあって、今回のモーションロゴ製作をアニメーションとサウンド両側面から、トータルにディレクションしました。


💎 表現したかったこと・狙い

まず大前提として、サービス全体における動画コンテンツの需要が大きく高まってきたこと、またCMからごく短い説明用動画まで、あらゆる粒度の動画が制作されるようになった背景があり、動画におけるロゴの扱いが統一されておらずブランド認知において大きな課題になりかけていたことが “モーションロゴ” 製作のきっかけでした。

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今回のモーションロゴでは、「“仕事の無駄”や “雑然とした情報が無秩序に漂う環境” から、気持ちよく働ける世界へ解放する」というストーリーを、SmartHR Design System:パーソナリティを踏まえた演出や質感で表現しました。


👯 2つのバリエーション

今回のモーションロゴ製作における一番の特徴であり一番の課題、それは「ノーマルVer.とフレンドリーVer.の、2種類のバリエーションを作る」ということでした。

SmartHRとして発信する動画コンテンツ全般に使用可能な「ノーマルVer.」と、イベントや展示会、配信コンテンツの “イントロ” や “アタックムービー” として使用することでSmartHR Design System:パーソナリティ」の表す特徴をより強調して伝えることを目的にした「フレンドリーVer.」

ノーマルVer.はどんな場面でも使用可能な取り回しの良さを意識し、約2秒で全てが完結する形で製作。

フレンドリーVer.は、サービスの印象を明るく見せたい、かつ長尺(6秒)のモーションロゴの使用が許されるような場面において、より印象的でメッセージ性の強い形が必要とされたため、製作にチャレンジしました。


🏋️ 製作の流れ

全体のクリエイティブは、まずアニメーションを完成させて、そこにナレーション / サウンドを追加する、というプロセスで製作されました

アニメーションとサウンドのデザインを同時進行で行う(総合的に製作を行えるプロダクションにお願いする)という選択肢もありましたが、企画全体が大掛かりになりがちなため、社内のコアメンバーが企画を握って、よりコンパクトなチームで製作できる形にしたかった、という背景があります。


①🎞 アニメーションができるまで

プロフィール_domaso@2x-100

アニメーション担当:domasoさん
●domaso(どまそ)/モーションやデザインをしています。
Website : https://doma.solutions/
Twitter : @d_maso

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企業のモーションロゴ製作経験が豊富なdomasoさんの的確なヒアリングを受けながら、「このアニメーションを見た人の心に残って欲しい印象や気持ち」を言語化した資料をdomasoさんにお渡ししました。

その資料はSmartHRのデザイナーが整備中の「SmartHR Design System」をアニメーション向けの言葉として再構築したもの。そしてこのSmartHR Design System:パーソナリティ」こそが、今回のモーションロゴ製作の要となりました。

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まだまだ目まぐるしい進化の最中であるSmartHR、はじめは、当社側でもモーションロゴの運用イメージ(耐用年数や伝えたいメッセージなど)が定まっていませんでした

そういった背景から、まずdomasoさんには、表現の振れ幅を大きく始めたいという意図で「ブランドに寄り添った案」「現行の広告クリエイティブに寄り添った案」という2つの大きな軸でラフを描いていただきました。

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👆「ペーパーレス」文脈を強く訴求する案も

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案の絞り込みとブラッシュアップを行う中で、domasoさんの「ブランドの本質を丁寧に表現したい」というロゴアニメーション(と言うよりもクリエイティブそのもの)に対する姿勢に刺激を受けて、「煩雑な世界からの解放」という、よりSmartHRのコアに近い思想を表現してみよう、という方向性に定まりました。

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「S」シンボル出現の際、フレンドリーver.にはオレンジのハイライトが入るが、ノーマルver.には入らない、といった調整が加えられています。冒頭に登場するオブジェクトたちによる呼び水的演出が無いノーマルver.では、オレンジのハイライトが孤立し浮いて見えてしまったためです。

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「無駄」や「非合理」のモチーフとして半月形や波線のオブジェクトが登場するのですが、SmartHRが本来なくしていきたい課題を象徴するものだからこそ、これらをSmartHRのロゴと馴染む形状である「角丸」にせずあえて角ばらせて、差をつけて表現した方が良いのでは? という議論も起こりました。しかし「無駄」や「非合理」だからといって、それらを安直に「悪」や「唾棄すべきもの」のように見せるようなことは、したくはありませんでした。

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最終的にはSmartHR Design Systemにあるカラーパレットの中から、注意深くバランスをとって仕上げられました。

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ラフ段階のフレンドリーVer.は、domasoさんの緻密な設計により、プロダクトのローディングなど幅広いシーンで使用できるよう(スマホなど)縦長画面での視聴にも対応できる形に調整されていましたが、

しかしSmartHRの暴れん坊ディレクターたちによる「もっと爆発しましょうよ!domasoさん!!」「あっと言わせるようなアニメーション作りましょう!爆発です!!」というディレクション(爆発)など無茶なご相談によって、最終的には16:9の画面全域にオブジェクトが発散するという、汎用性よりもメッセージ性を優先させた迫力のあるものになりました。

SmartHRの無茶な要望を、domasoさんのデザインに対する最後まで妥協のない姿勢によって、「煩雑な世界からの解放」というストーリーの分かりやすい表現・演出に昇華していただけました。本当にありがとうございました

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👆「爆発」を連呼しながら描いたイメージ図。本当にひどい

domasoさんコメント
様々なわずらわしい業務をスマートに効率化できる、SmartHR様のサービスをイメージできるようなモーションで表現致しました。
各オブジェクトの表示感覚やイージングなどSmartHR様のチームの皆様と何度もMTG / 検証を重ねることで全員がここだ!となるベストな感触にたどり着くことができました。


②🎧 サウンド / ナレーションができるまで

プロフィール_mochilon@2x-100

サウンド担当:柿本論理さん
●柿本論理(かきもと・ときのり)/作編曲家、作詞家、音楽プロデューサー。洗足学園音楽大学ジャズコース卒。在学中より音楽ユニット「Mikeneko Homeless」メンバーとして都内クラブを中心に活動開始。アーティスト活動と平行してフリーランスの作家としてアイドル、アニメソング、広告音楽、シティポップからヒップホップ、などを手掛ける。代表作にポカリスエットCM「エール編」、chelmico「Love is Over」など。
Website : https://www.mochilon.net/
Twitter : @mochilon

プロフィール_kotetsu@2x-100

ナレーション担当:Kenya "Kotetsu" Shiraniさん
●白仁賢哉(しらに・けんや)/JazzやR&B、Bluesへの深いリスペクトと国境を超えた新しい世代の音楽を感じさせるアーティスト。彼のスタイルを象徴する、その洗練されたスキャトテクニックやフレージングは日本のみならず、世界を感動させる。米国Berklee College of Musicを卒業後、プロミュージシャンとして活動を開始。ブラックミュージック全般に精通したその歌声は各方面に評価され、映画、CM、バックコーラス等で数々の作品やコンサートにに参加。
Website : http://www.kotetsujazz.com/
Twitter : @kotetsu_music

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フレンドリーVer.のアニメーションが「モーションロゴ」としてはかなりドラマチックなものだったため、その部分の表現方法と(使用する楽器などの)サウンドの方向性の模索が肝になりました。

SmartHRのデザインが掲げるパーソナリティである、「誠実」で「分かりやすい」、「ポジティブ」で「親しみやすい」サウンドとはどんなものか? ラフスケッチを重ねる中で、主旋律を奏でるのは “揺らぎ” が少なく “アタック” の強いピアノが適しているだろう、という結論に至りました。

👆曲としての完成度がとても高くて僕も大好きなんですが、「ファンタジーやコメディ感が強いかも」ということで没になったラフ案。

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今回の製作は、柿本さんとZoomを繋ぎながらサウンドをその場で打ち込みその場で書き出して、Slackのプロジェクトチャンネルに貼っていき、その場にはいない社内のプロジェクトメンバーから響いてくる「素直な反応」をリアルタイムで集め、それをヒントにプロトタイピングを続ける、という手法を採ったのですが、

ナレーションのレコーディングも含めて、この「作りきらないコミュニケーションを重視したプロセス」がとても上手く機能したことは、今回の製作過程で得られた一つの大きな学びでした。

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実際、これは全てのクリエイティブ分野に共通しそうだなと思っているのが、製作過程で自分の中では「完璧!」と思ったものでも、第三者の目に触れる場所に出すと気になる部分が見えてきたりすること。本当に不思議なんですが。

SF作家の小川一水さんが「ダストバーン現象(出すと、バーンと間違いが明らかになるの意)」を提唱していらっしゃいますが、それに近しいものを感じます。

第三者の目に触れる場所に出しただけで、特にフィードバックも受けていないのに、自分の中で「もう少しこうした方が良さそうだな」という部分が見えてくることもあり、Slackを活用した(リモートでありながらも)リアルタイムなワークフローの威力を目の当たりにしました。

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「解放感」と「SmartHRパーソナリティの表現」を模索するなかで、鍵となった響き👇

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ポジティブで明瞭、親しみやすくも先進性を感じるこのサウンドを発見した時、進むべき方向性が見えました。

「もう少し “謎めき感” を減らしたい」や「“注目!” ってニュアンスを出したい」など、抽象的にも程がある(エリック・サティの演奏指示の様な)ディレクションを見事に表現する柿本さんの音楽的解釈力と、それを具現化するアイデアの引き出しには、ただただ脱帽でした(お世話になりました...)。

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ナレーションの収録は最小限の人数(レコーディングエンジニア含めて4人)で集まり、レコーディングの途中経過を「仮」の状態で書き出して、それをDropboxにアップ、音源をプロジェクトのコアメンバーに都度共有して、Slack上でリアルタイムにフィードバックを受けながらディレクションしました。

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👆「すまーとえいちあーる」というフレーズを一文字ずつ丁寧に分析した上で、全体の抑揚と単語の区切りを絶妙なバランスで仕上げてくれたKOTETSUさん。単純に声がめちゃくちゃ良い。そしてオシャレでカッコいい。そんなことある?

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レコーディングの現場では、声を吹き込む際に「はい!分かりやすい!誠実!ポジティブ!親しみやすい!お任せください!SmartHRです!!ということで、どうぞ!!!」…といった感覚的なコミュニケーションでボイスディレクションを行なっていました。

かなり馬鹿っぽいですが、不思議とアウトプットにめちゃくちゃ効きました。おすすめです

柿本論理さんコメント
明るく、親しみやすく、誠実でポジティブ。頼りになるけれど、決して堅くはない。それがSmartHRさんと密にやり取りをする中で見えてきたテーマでした。
先に完成していたdomasoさんのアニメーションは明るくポップ、しなやかで親しみの湧くものだったので、そのイメージを決して浮ついた印象にしない適度な明るさと安定感のバランスを心がけてサウンドを制作しました。
今回のサウンドロゴはフレンドリーver.の尺が珍しい長さだったため参考となる前例も少なく、効果音と音楽の間を行き来する挑戦もありました。
その挑戦もSmartHRの担当さんが音楽に明るく、粘り強く相談に応えてくれたため自分なりのベストな答えを見つけることができたと考えております。

Kenya “KOTETSU” Shiraniさんコメント
音や言葉を通して、企業のイメージをたくさんの方々に伝えるサウンドロゴ。情報の価値が高まり、広告戦略の一挙手一投足が企業の行く末を左右する時代の中で、この様に大切なお仕事を私に任せて頂けた事を心から光栄に感じております。SmartHRさんが、顧客の皆様に“誠実”、“ポジティブ”そして、"親しみやすい"存在で在りたいと言う思いをカタチにする為に制作スタッフの皆様と試行錯誤を重ねながら大切に吹き込ませて頂きました。このサウンドロゴがSmartHRさんの素晴らしさと共に多くの人に届きます事を祈念しております。


💮 まとめ

SmartHRでは自社主催のイベントをはじめ、今後より一層配信を含めた動画コンテンツに注力する予定です。“導入事例動画” をはじめとするYouTubeチャンネルのコンテンツなどで、このモーションロゴを見かけると思います。

SmartHRロゴと今回のモーションロゴは、SmartHRとユーザーのみなさんが最初にコミュニケーションする場所です。「誠実」で「分かりやすい」、「ポジティブ」で「親しみやすい」、そんな「いいやつ間違いなし」なパーソナリティをお届けできたら幸いです。


🤝 あいさつ

クリエイティブを作るのは、本当に大変なことです。

“何もないところから何かを生み出す” という作業。つまり “モノ作り” に対して、「仕事として契約してるんだから」と放り投げるのではなく、クリエイターとクライアントは “一緒にクリエイティブを作る仲間” でいたい。達成するのが本当にしんどい目標に、一緒に立ち向かう味方同士でありたいと思っています。

今回ご協力いただいたクリエイターの皆さんには、この困難な課題 / プロジェクトに対して、“良いもの” を作ろうと真剣に、全力で取り組んでいただきました。その結果、こうしてユーザーのみなさんに “伝わる” モーションロゴがお届けできそうです。

そんな素晴らしい方々と “一緒にクリエイティブを作る仲間” となる機会をいただけたことに、心から感謝したいです。

最後に
この記事の執筆にあたり協力いただいた arakin氏、bebe氏、momo氏、samemaru氏、sekig氏に感謝!


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